高齢者進行非扁平上皮非小細胞肺癌に対する標準的化学療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
201438068A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者進行非扁平上皮非小細胞肺癌に対する標準的化学療法の確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
岡本 勇(九州大学病院呼吸器科・ARO次世代医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 中川 和彦(近畿大学医学部内科学腫瘍学・内科学)
  • 軒原 浩(国立がん研究センター中央病院 呼吸器内科)
  • 加藤 晃史(神奈川県立循環器呼吸器病センター 呼吸器内科)
  • 藤田 結花(国立病院機構旭川医療センター 呼吸器内科)
  • 後藤 功一(国立がん研究センター東病院 呼吸器内科)
  • 武田 晃司(大阪市立総合医療センター・臨床腫瘍センター 臨床腫瘍科)
  • 安宅 信二(近畿中央胸部疾患センター臨床研究センター 呼吸器内科)
  • 富澤 由雄(国立病院機構西群馬病院 呼吸器科)
  • 尾下 文浩(神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター 呼吸器内科)
  • 白尾 国昭(大分大学医学部腫瘍・血液内科)
  • 田中 洋史(新潟県立がんセンター 新潟病院)
  • 前門戸 任(宮城県立がんセンター 呼吸器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 革新的がん医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
28,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肺癌罹患率は年齢とともに急激に高くなり、年次肺癌死亡に75歳以上の占める割合が2015年には60%を超えると予想されている。高齢者により適した治療法が求められているものの、75歳以上の高齢者進行非小細胞肺癌におけるプラチナ製剤併用の有用性は本邦では示されておらず、安全性と有効性とを兼ね備えた治療の開発が急務となっている。
本研究目的は75歳以上の進行非扁平上皮非小細胞肺癌(扁平上皮癌以外の非小細胞肺癌)患者を対象とし、カルボプラチン・ペメトレキセド併用療法+ペメトレキセド維持療法の有用性を、標準治療であるドセタキセル単剤療法とのランダム化比較第III相試験にて検証することである
研究方法
オープンラベルランダム化比較第III相試験として実施する。Primary endpointは全生存期間とする。
【対象】
組織診または細胞診で非扁平上皮非小細胞肺癌と診断された、根治的放射線照射不能のIII期、IV期、術後再発のいずれかで、年齢が75歳以上の患者。Performance status(ECOG)が0-1。主要臓器機能が保たれている。試験参加について患者本人から文書で同意が得られている。
【治療】
登録にあたって治療群はJCOG、WJOGのデータセンターでそれぞれランダムに割り付けられる。ランダム化に際しては、①施設、②病期(III期 vs. IV期 vs. 再発)、③性別、④EGFR遺伝子変異(なしvs. ありvs. 不明)で大きな偏りが生じないようにこれらを調整因子とする最小化法を用いる。
標準治療群:ドセタキセル単剤療法
ドセタキセル:60 mg/m2、day 1:3 週毎、3週1コースとして「プロトコール治療中止規準」に該当しない限り、治療を継続する。

導入療法試験治療群:カルボプラチン・ペメトレキセド併用療法
カルボプラチン:AUC 5、ペメトレキセド:500 mg/m2
day1、3週毎 ×4コース
維持療法試験治療群:ペメトレキセド維持療法(CR、PR、SDの場合)
ペメトレキセド:500 mg/m2、day1: 3週毎
カルボプラチン・ペメトレキセド併用療法4コース完了後、病状進行が認められない場合はペメトレキセド単剤による維持療法を3週1コースとして「プロトコール治療中止規準」に該当しない限り、治療を継続する。          
結果と考察
本研究はJCOGとWJOGのインターグループ試験として予定登録数320例、予定登録期間4年として平成25年8月12日より登録開始されたランダム化比較第III相試験である。高齢者(70歳以上)進行非小細胞肺癌を対象とした先行試験における登録実績より年間80例の登録を見込んでいたが、登録開始1年7か月経過した平成27年3月21日現在、JCOGより123症例、WJOGより81例の計204例が登録されている。これは予定より1.6倍速い登録スピードであり登録は順調に推移している。
予定登録数の半数以上の登録が達成されたことから、JCOG及びWJOGの両データセンターと協議し、平成27年度に実施を予定していた、本試験の主たる目的が達成されたかどうか、登録中に登録を続けることが妥当かどうかを判断する目的で行われる第1回中間解析を平成26年度中に前倒しして行うこととした。追跡調査を実施し中間解析対象患者のデータはほぼ回収済みである。
結論
現在の登録ペースを維持出来れば予定していた登録終了予定(平成29年8月)よりも早期に登録完了出来ることが見込まれる。JCOG班会議及びWJOG呼吸器グループ会議等にてさらに症例登録を推進し、早ければ平成27年度中にも予定登録数320例を達成し早期にこの患者群における新たな標準治療を確立したい。

公開日・更新日

公開日
2015-09-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2016-01-22
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201438068C

収支報告書

文献番号
201438068Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
36,400,000円
(2)補助金確定額
32,954,898円
差引額 [(1)-(2)]
3,445,102円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 10,235,035円
人件費・謝金 2,638,820円
旅費 4,502,486円
その他 7,178,557円
間接経費 8,400,000円
合計 32,954,898円

備考

備考
本研究は全国90施設近い医療機関の参加する大規模臨床試験となっております。症例登録は予定より早いペースで進んでおり研究は順調に進行していますが、各研究費配分施設における諸々の事情により、年度内に一部の研究費を使用出来ず合計340万円を返金させて頂きました。平成26年度より委託契約にもとづく研究費配分と変更になり、各施設の研究費使用のペースが例年と異なっていたことも一因に上げられると思われます。

公開日・更新日

公開日
2016-08-08
更新日
-