小児骨髄系腫瘍に対する標準的治療法の確立

文献情報

文献番号
201438060A
報告書区分
総括
研究課題名
小児骨髄系腫瘍に対する標準的治療法の確立
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
足立 壮一(京都大学 医学研究科人間健康科学系専攻)
研究分担者(所属機関)
  • 宮地 勇人(東海大学医学部基盤診療学系臨床検査学)
  • 齋藤 明子(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター 臨床試験研究部 臨床疫学研究室)
  • 林 泰秀(群馬県立小児医療センター)
  • 滝 智彦(京都府立医科大学・分子診断・治療医学・分子遺伝学)
  • 多賀 崇(滋賀医科大学小児科)
  • 工藤 寿子(藤田保健衛生大学小児科)
  • 富澤 大輔(独立行政法人国立成育医療研究センター小児がんセンター血液腫瘍科)
  • 岩本 彰太郎(三重大学附属病院)
  • 真部 淳(聖路加国際病院小児科)
  • 高橋 浩之(東邦大学医学部小児科)
  • 中山 秀樹(国立病院機構福岡東医療センター小児科)
  • 高橋 義行(名古屋大学大学院医学系研究科成長発達医学)
  • 石田 也寸志(愛媛県立中央病院小児医療センター)
  • 谷澤 昭彦(福井大学医学部がん専門医育成推進講座)
  • 平松 英文(京都大学医学研究科発達小児科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 革新的がん医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
30,760,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究はJCCGの研究として、難治性小児骨髄系腫瘍(AML、JMML、CML)に対して、高い長期生存率と晩期障害の軽減の見込める標準治療を確立するための質の高い臨床研究を実施してエビデンスを創出し、根拠に基づく医療を普及して国民の医療・福祉の向上に貢献することを目的とする。
研究方法
1.初発未治療 de novo AMLに対するシームレス第II-III相臨床試験(AML-12)UMIN000013288
寛解導入療法にAra-C大量を組み込む(試験アーム;HD-ECM、標準アーム;ECM)ことにより、治療成績の向上をめざす。HD-ECM療法の早期死亡率が、ECM療法の水準に比べて許容可能な程度に低いことが示されなければ、第III相試験を実施しないというシームレス第II-III相デザインを採用した。
2.APLに対する多施設共同第II相臨床試験(AML-P13)UMIN000015348
ATO併用により晩期障害の危険があるアントラサイクリン系抗癌剤の減量(標準リスク群は強化療法以降は中止)を、また、難治例については、新規薬剤を併用し、治療成績の向上を目指す。
3. AML-DSに対する多施設共同臨床試験(AML-D11)UMIN000007237
AML-D05と同様のプロトコールでFACS,GATA1変異、WT1によるMRDの系の確立を目指す。
4.AML再発例と寛解導入不能例の観察研究(AML-R13)
AML-再発難治例(de novo AML, APL, AML-DS)全例を登録し、臨床検体の遺伝子解析(キメラ遺伝子、FLT3-ITD含む網羅的遺伝子解析)、FACSのMRD解析を施行し、再発難治AMLに対する新規臨床試験を計画する。
5.小児慢性骨髄性白血病に対する臨床研究(CML-08) UMIN000002581 (STKI-14)
症例登録を完了した観察研究CML-08を追跡観察し、分子遺伝学的完全寛解を達成したCMLに対するチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)中止試験(STKI-14)及び第2世代TKIを用いた多施設共同第II相臨床試験を計画、遂行する。
6.JMMLに対する静注用Bu+Flu+L-PAM前処置法による同種造血幹細胞移植第Ⅱ相臨床試験(JMML-11)UMIN000005936
同種移植による治療成績向上を目指すJMML-11を継続し、予後不良症例に対する新薬を用いた臨床試験を計画する。
7. 第1・第2寛解期AMLに対するRTSTの安全性・有効性に対する臨床試験(AML-FLAMEL14)
前処置を軽減した移植法(RTST)を開発し、治癒率を低下させずに、晩期障害の軽減を目指す。
結果と考察
1.AML-12
順調に第II相臨床試験を遂行中である。第II相は、寛解導入2コースの安全性がプライマリーエンドポイントであるが、解析可能な44例(標準アーム;22例、試験アーム22例)の寛解導入2コースの治療を平成27年度中には完了予定であり、効果安全性評価委員会の判定を経て、予定通り第III相を開始する予定である。
2. AML-P13
小児血液がん学会および研究代表者施設の倫理審査委員会での承認を経て,平成26年12月1日に登録を開始した。また、AML-P05の研究解析を行い、昨年のアメリカ血液学会で報告した。
3. AML-D11
2011年3月より開始されたAML-D11を継続して行い、2015年2月28日に臨床試験登録終了した。AML-D11は,治療骨子をD05と同様とし、微小残存病変(MRD)が予後因子とならないかを検索している.さらに、2008年1月から2013年12月まで、行われたAML-D05の研究解析を行い、昨年のアメリカ血液学会で報告した。
4.CML-08
治療ハンドブック(ガイドライン解説)を用いてイマチニブによる治療を行い、規定の時期に治療効果判定と長期毒性を含めた有害事象の評価を行う多施設共同前方視的観察研究(CML-08)の平成26年度予備解析を行った。
5.JMML-11
2011年11月からJMML11試験として患者登録が行われている。予定登録数は43であり、2014年末までに19例が登録されている。現在のところ、試験の遂行に問題を与えるような重篤な有害事象は報告されていない。
結論
ML-12, AML-P13, JMML-11は順調に臨床試験を遂行中である。AML-D11, CML-08は登録終了し、結果を解析中である。再発AML観察研究, STKI-14、FLAMEL-14は、プロトコールを完成させた。今後もデータセンター、診断小委員会、長期フォローアップ委員会、新規予後因子探索の活動を継続して、小児骨髄系腫瘍の標準的治療法を確立する。

公開日・更新日

公開日
2015-09-14
更新日
2016-07-14

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201438060C

収支報告書

文献番号
201438060Z