文献情報
文献番号
201438052A
報告書区分
総括
研究課題名
患者のQOL向上をめざした胃がんに対する低侵襲標準治療確立に関する多施設共同試験
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
森田 信司(国立がん研究センター中央病院 消化管腫瘍科)
研究分担者(所属機関)
- 小嶋 一幸(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
- 木下 敬弘(国立がん研究センター東病院 上部消化管外科)
- 吉川 貴己(神奈川県立がんセンター 消化器外科)
- 徳永 正則(静岡県立靜岡がんセンター 消化器外科)
- 伊藤 誠二(愛知県立がんセンター中央病院 消化器外科)
- 高木 正和(静岡県立総合病院 消化器外科)
- 國崎 主税(横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター 外科)
- 桜本 信一(埼玉医科大学国際医療センター包括的がんセンター)
- 小寺 泰弘(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科学)
- 浅生 義人(天理よろづ相談所病院 腹部一般外科)
- 肥田 圭介(岩手医科大学 外科)
- 手島 伸(仙台医療センター 外科)
- 高金 明典(函館五稜郭病院 外科)
- 福島 紀雅(山形県立中央病院)
- 安藤 昌彦(名古屋大学医学部付属病院 先端医療・臨床研究支援センター)
- 菊池 史郎(北里大学東病院 消化器外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 革新的がん医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
32,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
低侵襲治療として腹腔鏡手術が早期胃癌治療に導入されたが、有用性のエビデンスはない。腹腔鏡手術の有用性を、安全性・根治性の両面から検証することを目的とする。術式には、幽門側胃切除、胃全摘、噴門側胃切除の3術式がある。幽切は、JCOG 0703を実施、安全性を検証した。根治性検証のため、JCOG0912を行っている。全摘、噴切については、安全性を検証する JCOG1401を行い、胃癌主要術式すべてについて検証する。
研究方法
臨床試験はすべて、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)胃がんグループで行う多施設共同試験となる。
1)「臨床病期I期胃癌に対する腹腔鏡下幽門側胃切除術の開腹幽門側胃切除に対する非劣性を検証するランダム化比較試験」(JCOG0912:UMIN000003319):腹腔鏡手術の開腹手術に対する非劣性を検証。primary endpointは全生存期間、登録期間5年、追跡期間5年、片側α5%、検出力80%。5年生存割合の非劣性許容下限は5%(ハザード比:1.54)で非劣性検証に必要な登録数は両群併せて920名。Cox 比例ハザードモデルを用い群間の治療効果のハザード比と信頼区間を求め非劣性検証を行う。H25年11月921例で登録完遂。event数が少ない対象を登録後5年間(H30年11月まで)、もれなく追跡中。
2)JCOG0912でのQOL調査:腹腔鏡手術の低侵襲性評価として、限定4施設(国がん中央、神奈川がん、静岡がん、愛知がん)の登録患者全例に3年間のQOL調査を行う。調査票はEORTC QLQ-C30、STO22を使用。登録時・術後30日・術後90日・術後1年・術後3年の5回調査。術後90日のGlobal health statusスコアが、登録時と比べて「臨床的に意味のある増悪」(登録時と比較して10点以上の低下)を示す患者の割合を開腹群で61%、腹腔鏡群で45%と仮定、有意水準両側0.05、検出力80%で一群152例、両群で304例以上の対象数が必要。JCOG0912登録完遂時に592例がQOL調査対象となった。登録後3年間(H28年11月まで)、各患者5回、延べ2960回のアンケート調査を行う。
3)「臨床病期I期胃癌に対する腹腔鏡下胃全摘術および腹腔鏡下噴門側胃切除術の安全性に関する非ランダム化検証的試験」(JCOG1401:UMIN000017155):腹腔鏡下全摘および噴切の安全性を単群試験で検証する。primary endpointは縫合不全発生割合。「真の発生割合が無効と判断する閾値割合(P0)8%以上」を帰無仮説(H0)とした検定を行う。対立仮説(HA)は「真の発生割合が、有効と判断する期待割合(PA)3%以下」。検定は二項分布、片側有意水準α=0.025で行い、予定登録数242名、登録期間3年とする。
1)「臨床病期I期胃癌に対する腹腔鏡下幽門側胃切除術の開腹幽門側胃切除に対する非劣性を検証するランダム化比較試験」(JCOG0912:UMIN000003319):腹腔鏡手術の開腹手術に対する非劣性を検証。primary endpointは全生存期間、登録期間5年、追跡期間5年、片側α5%、検出力80%。5年生存割合の非劣性許容下限は5%(ハザード比:1.54)で非劣性検証に必要な登録数は両群併せて920名。Cox 比例ハザードモデルを用い群間の治療効果のハザード比と信頼区間を求め非劣性検証を行う。H25年11月921例で登録完遂。event数が少ない対象を登録後5年間(H30年11月まで)、もれなく追跡中。
2)JCOG0912でのQOL調査:腹腔鏡手術の低侵襲性評価として、限定4施設(国がん中央、神奈川がん、静岡がん、愛知がん)の登録患者全例に3年間のQOL調査を行う。調査票はEORTC QLQ-C30、STO22を使用。登録時・術後30日・術後90日・術後1年・術後3年の5回調査。術後90日のGlobal health statusスコアが、登録時と比べて「臨床的に意味のある増悪」(登録時と比較して10点以上の低下)を示す患者の割合を開腹群で61%、腹腔鏡群で45%と仮定、有意水準両側0.05、検出力80%で一群152例、両群で304例以上の対象数が必要。JCOG0912登録完遂時に592例がQOL調査対象となった。登録後3年間(H28年11月まで)、各患者5回、延べ2960回のアンケート調査を行う。
3)「臨床病期I期胃癌に対する腹腔鏡下胃全摘術および腹腔鏡下噴門側胃切除術の安全性に関する非ランダム化検証的試験」(JCOG1401:UMIN000017155):腹腔鏡下全摘および噴切の安全性を単群試験で検証する。primary endpointは縫合不全発生割合。「真の発生割合が無効と判断する閾値割合(P0)8%以上」を帰無仮説(H0)とした検定を行う。対立仮説(HA)は「真の発生割合が、有効と判断する期待割合(PA)3%以下」。検定は二項分布、片側有意水準α=0.025で行い、予定登録数242名、登録期間3年とする。
結果と考察
1)JCOG0912 :登録患者の6か月ごとの退院後評価のデータ収集を行い、定期モニタリングレポートを作成した。早期死亡はなく、grade4の手術合併症があったが効果・安全性評価委員会に提出・審査され、登録患者のリスク最小化はされた。JCOG監査委員会・施設訪問監査を受けた1施設で問題はなかった。
2)JCOG0912登録患者での調査票によるQOL調査:調査票の発送と回収を行った。回収経過は、手術1年後調査573/592例で極めて良好。QOL調査状況レポートを3回作成した。
3)JCOG1401 :プロトコールを作成し登録を開始した。胃癌に対する腹腔鏡下手術の安全性と有効性が証明されれば、内視鏡切除適応外の早期胃癌患者に早期社会復帰や術後患者QOLを向上させうる治療手段を積極的に提供できる。患者QOLの向上は、社会的活動の向上、精神的安定、雇用機会の増加、経済的な改善などの成果をもたらすこととなる。腹腔鏡手術は、手術器具やロボティックシステムの開発により、さらなる低侵襲性を患者に提供可能である。この手術手技が一般化し、社会的な認知度が上がることにより、手術関連企業の開発への参画、市場の拡大などの多くの経済効果も期待できる。
2)JCOG0912登録患者での調査票によるQOL調査:調査票の発送と回収を行った。回収経過は、手術1年後調査573/592例で極めて良好。QOL調査状況レポートを3回作成した。
3)JCOG1401 :プロトコールを作成し登録を開始した。胃癌に対する腹腔鏡下手術の安全性と有効性が証明されれば、内視鏡切除適応外の早期胃癌患者に早期社会復帰や術後患者QOLを向上させうる治療手段を積極的に提供できる。患者QOLの向上は、社会的活動の向上、精神的安定、雇用機会の増加、経済的な改善などの成果をもたらすこととなる。腹腔鏡手術は、手術器具やロボティックシステムの開発により、さらなる低侵襲性を患者に提供可能である。この手術手技が一般化し、社会的な認知度が上がることにより、手術関連企業の開発への参画、市場の拡大などの多くの経済効果も期待できる。
結論
幽切に関するJCOG0912登録患者のデータ収集およびJCOG0912登録患者での調査票によるQOL調査の発送と回収は、予定通り順調に行われている。全摘、噴切では、安全性を検証するJCOG1401の患者登録が開始された。本研究は、予定通り順調に進んでいる。
公開日・更新日
公開日
2015-09-14
更新日
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