進行頭頸部がんに対する術後補助療法の標準治療確立のための多施設共同研究

文献情報

文献番号
201438051A
報告書区分
総括
研究課題名
進行頭頸部がんに対する術後補助療法の標準治療確立のための多施設共同研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
田原 信(国立がんセンター東病院)
研究分担者(所属機関)
  • 藤井 正人(東京医療センター 臨床研究センター 聴覚平衡研究部)
  • 清田 尚臣(神戸大学医学部附属病院 腫瘍・血液内科)
  • 田原 栄俊(広島大学 大学院医歯薬保健学研究院 細胞分子生物学)
  • 古平 毅(愛知県がんセンター中央病院 放射線治療科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 革新的がん医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
・局所進行頭頸部扁平上皮癌術後再発High-Risk患者に対するweekly CDDP+RTが、標準治療である3-weekly CDDP+RTに生存期間で劣らないこと(非劣性)をランダム化比較試験(JCOG1008)によって検証する。
・手術時の腫瘍組織検体のマイクロRNA解析、さらに、術前、術後及び再発時の血液中のマイクロRNAの発現変化の解析にて新たなバイオマーカーを探索する。
研究方法
試験デザイン:
適格患者にA群、B群いずれかの治療をランダム割付けし、第II相部分では両群の治療の安全性を確認し、第III相部分にて全生存期間をPrimary endpointとしてweekly CDDP+RTの、標準治療である3-weekly CDDP+RTに対する非劣性を検証する。
A群: CDDP 100mg/m2, day 1, 22, 43, RT 一日1回、週5回分割法、Total 66Gy(術後RT標準用量)
B群: CDDP 40mg/m2, day 1, 8, 15, 22, 29, 36, RT 一日1回、週5回分割法、Total 66Gy
Primary endpoint:第III相部分:全生存期間、第II相部分:治療完遂割合
Secondary endpoints:第III相部分:無再発生存期間、局所無再発生存期間、有害事象
            第II相部分:有害事象
臨床的仮説と予定登録数:
3-weekly CDDP+RTの3年生存割合を49%、非劣性マージンを10%、片側α=0.05、検出力75%として、必要適格例数は1群128名、両群計256名となる。若干の不適格例などを考慮して両群計260名を当初の予定登録数とした。
研究実施施設:JCOG頭頸部がんグループ20施設
マイクロRNA解析:
次世代シーケンサーIon PGMを用いて、エクソソームから調製したマイクロRNAの種類を同定し、それらの発現量および遺伝子配列を調べる。同年令の健常者のエクソソームに含まれるマイクロRNA・の種類・発現量および遺伝子配列と比較する。
同定されたマイクロRNA・mRNAについて、術前、術後、再発時のサンプルを用いて比較し、頭頸部癌特異的なマーカーとなりうるかどうかを調べる。
結果と考察
JCOG1008試験は、2016年2月にPhase II部分を終了し規定の統計学的設定を満たすことが確定した。これは多施設共同試験において3-Weekly CDDP+RT群及びWeekly CDDP+RT群の実施可能性及び安全性を証明したことになり、我が国における術後補助化学放射線療法の普及に一歩前進したと考えられ非常に意義深い。また、時代の趨勢としてIMRTで放射線治療を行うことが求められており、これに対応するために迅速に本試験をIMRT対応のプロトコールに改訂したことは、本邦における術後照射のIMRT標準化にも貢献するものと考えられる。
マイクロRNA解析に関しては、収集したサンプルから、RNAを精製し、次世代シーケンサーIon PGMを用いて、サンプルに含まれる小分子RNAの遺伝配列を網羅的に解析した。得られたデータを解析し、既知のマイクロRNAについてMiRBaseに登録されているマイクロRNAのシークエンスとの相同性を解析し、そのリード数から術前および術後で変化するマイクロRNAの発現量の定量を行った。

結論
今後、本試験はPhase III部分で標準治療である3-Weekly CDDP+RT群に対して、less toxicであると考えられているWeekly CDDP+RT群の非劣性を検証するための患者集積を継続していく予定である。
RNA解析に関しては、術前、術後、再発時のサンプルを用いて比較し、頭頸部癌特異的なマーカーとなりうるかどうかを検討する予定である。

公開日・更新日

公開日
2015-09-14
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201438051C

収支報告書

文献番号
201438051Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
32,500,000円
(2)補助金確定額
32,134,304円
差引額 [(1)-(2)]
365,696円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 19,729,210円
人件費・謝金 0円
旅費 1,119,242円
その他 3,785,852円
間接経費 7,500,000円
合計 32,134,304円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2018-06-04
更新日
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