大腸がん肝転移切除例に適した新規抗がん剤を用いた術後補助化学療法の研究

文献情報

文献番号
201438043A
報告書区分
総括
研究課題名
大腸がん肝転移切除例に適した新規抗がん剤を用いた術後補助化学療法の研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
清水 泰博(愛知県がんセンター中央病院 消化器外科)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 敏彦(山形県立中央病院 外科)
  • 齋藤 典男(独立行政法人国立がん研究センター東病院大腸外科)
  • 植竹 宏之(東京医科歯科大学大学院歯学総合研究科総合外科学分野)
  • 塩澤 学(神奈川県立がんセンター 消化器外科)
  • 工藤 進英(昭和大学横浜市北部病院消化器外科)
  • 伴登宏行(石川県立中央病院 消化器外科)
  • 絹笠 祐介(静岡県立静岡がんセンター 大腸外科)
  • 山口 高史(京都医療センター 大腸・骨盤外科)
  • 能浦 真吾(大阪府立病院機構大阪府立成人病センター・消化器外科)
  • 関本 貢嗣(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 外科)
  • 馬場 秀夫(熊本大学大学院生命科学研究部 消化器外科)
  • 藤田 伸(栃木県立がんセンター 外科)
  • 滝口 伸浩(千葉県がんセンター 消化器外科)
  • 金光 幸秀(国立がん研究センター中央病院 大腸外科)
  • 池田 聡(県立広島病院 消化器外科)
  • 猪股 雅史(大分大学医学部附属病院 消化器外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 革新的がん医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
大腸癌は、肝転移を認めても切除可能であれば切除を行うのが標準治療であるが、肝転移切除後の術後補助化学療法が延命効果を有するかどうかは不明である。本研究では、進行大腸癌に対する標準治療で最も効果が高いFOLFOX療法の術後補助化学療法としての有用性を肝転移切除単独とのランダム化比較により検証する。
研究方法
肝転移治癒切除単独を対照とし、肝切除+FOLFOXを試験治療としたランダム化比較試験(優越性試験)であり、肝転移切除後のFOLFOXの安全性と実施可能性を確認するための第II相部分と、引き続いて行う第III相部分からなる。
第II相部分のprimary endpointは治療完遂割合、第III相部分のprimary endpointは無病生存期間、secondary endpointは生存期間、有害事象、再発形式である。
結果と考察
2007年2月より患者登録を開始、第II相部分の79例が登録されたため2009年2月に登録を一時中断し、有害事象中止が想定よりも多かったため2回目の第Ⅱ相部分を設けることとし、治療完遂割合を高めるためのプロトコール改訂を行った。改訂が2009年11月にJCOG効果・安全性評価委員会で承認された後、登録を再開し2回目の第II相部分の集積を2013年8月に完遂した。続いて第III相部分に進み、2015年3月末現在、参加50施設からの登録数は196例(予定300例の65%)である。200例の登録が得られた以降に、第一回目の中間解析が予定されている。
本試験は肝切除という大きな侵襲を伴う手術の後の投与に適したFOLFOX療法を評価し、その有用性を検証するものである。本試験の第II相部分により肝切除後にも安全にFOLFOX療法が行えることが既に示され、肝切除後の投与に適したFOLFOX修正レジメンが決定した。さらに今後、第III相部分によりFOLFOX療法の有用性が検証されれば、肝転移切除後の残肝再発と肺再発を主とする二次転移を予防して、無病生存期間や生存期間を延長する新たな標準治療の創出が期待される。また肝転移切除前後の補助療法は未だ有効な治療法が確立していないために、本邦の臨床現場では全身化学療法や動注化学療法がエビデンスなく行われており、使用薬剤も経口抗がん剤や静注抗がん剤など様々な薬剤や投与法が無秩序に用いられている(がん臨床研究事業・H16-がん臨床-一般032 アンケート調査)。ASCO2014で大腸癌肝転移切除後の補助化学療法としてのUFT/LV経口剤の有効性を検証する無作為化試験:UFT/LV試験の結果が報告されたが、真のエンドポイントであるOSについては、両群間に有意差を認めなかったことから、依然として大腸癌肝転移切除例に対する補助療法の至適投与法は確立していない。
結論
本試験により肝転移再発抑制と治癒率の向上が得られれば、高額の薬物療法が必要な患者を減らし、本邦の医療経済に貢献し得る。また、有用性が検証されなかった場合でも、肝切除という大きな手術を行った患者に、さらに負担をかける治療を抑制し、根拠のない術後補助化学療法による無駄な医療費を削減できる。

公開日・更新日

公開日
2015-09-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2015-09-14
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201438043C

収支報告書

文献番号
201438043Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
26,000,000円
(2)補助金確定額
24,777,558円
差引額 [(1)-(2)]
1,222,442円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 13,387,347円
人件費・謝金 836,605円
旅費 1,244,740円
その他 3,590,968円
間接経費 5,717,898円
合計 24,777,558円

備考

備考
未執行額が生じたため

公開日・更新日

公開日
2016-06-29
更新日
-