トレーサビリティの確保された線源と画像誘導を利用した高線量率小線源治療の標準化と高度化の研究

文献情報

文献番号
201438035A
報告書区分
総括
研究課題名
トレーサビリティの確保された線源と画像誘導を利用した高線量率小線源治療の標準化と高度化の研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
伊丹 純(国立がんセンター中央病院放射線治療科)
研究分担者(所属機関)
  • 宇野 隆(千葉大学大学院医学研究院画像診断・放射線腫瘍学講座)
  • 岡本 裕之(国立がんセンター中央病院放射線治療科)
  • 小口 正彦(がん研究会有明病院放射線治療部)
  • 川村 慎二(山口大学医学部付属病院放射線部)
  • 岸 和史(北斗病院放射線治療科)
  • 櫻井 英幸(筑波大学大学院人間総合科学科)
  • 中野 隆史(群馬大学大学院放射線腫瘍学講座)
  • 能勢 隆之(日本医科大学多摩永山病院放射線治療科)
  • 平田 秀紀(九州大学大学院医学研究院保健学部門)
  • 平塚 純一(川崎医科大学放射線科(放射線治療))
  • 山中 竹春(横浜市立大学医学部医学科臨床統計学)
  • 吉岡 靖生(大阪大学大学院医学系放射線腫瘍学講座)
  • 吉田 謙(大阪医科大学放射線医学教室)
  • 吉村 亮一(東京医科歯科大学医学部医学科腫瘍放射線治療学)
  • 萬 篤憲(独立行政法人国立病院機構東京医療センター放射線科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 革新的がん医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
17,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高線量率小線源照射(HDRBT)は腔内照射や組織内照射として、腫瘍近傍に直接線源を配置することにより腫瘍に集中して大線量が投与される治療法であり、子宮頸がん、前立腺がん、乳がん、頭頸部がんなどの根治治療に大きな役割を果たしている。線源が腫瘍と一緒に動くため腫瘍の呼吸性移動などを無視して治療できる。しかし、我が国では国際的標準線量計が供給されず、線源放射能強度のトレーサビリティが確保されていなかった。2015年から国際標準線量計が国家線量計として設置され、それにより線源強度が国際的基準で評価可能となる。また、HDRBTではアプリケータを体内に留置し、そのなかに線源が遠隔挿入されて放射線治療されるが、アプリケータが体内に挿入された状態でMRIやCTを撮影し、標的体積や正常組織の3次元的線量分布を把握し、線量分布を至適化する画像誘導HDRBTが導入されつつあり、3次元線量分布を解析することにより技術を客観的に評価することが可能となった。線源強度のトレーサビリティの確保と画像誘導HDRBTによりHDRBTの施設・術者相互間の比較が始めて可能となったのである。わが国においてはHDRBTにおける第3相試験はもとより、多施設臨床試験もほとんど施行されておらず、HDRBTの臨床的有用性を科学的に裏付ける研究が発信されてこなかった。当研究においてはこのような状況を背景として、線源強度のトレーサビリティを担保した画像誘導HDRBTを施行して、HDRBTの有用性を多施設臨床試験として検証しようとするものである。対象としては、子宮頸がん、乳がん等とする。これらの悪性腫瘍におけるHDRBTの有用性が多施設臨床試験で示されれば、罹患数も非常に多いことから適応患者も多く、HDRBTがさらに多くの施設で施行される均てん化の契機ともなり、HDRBTにより十分な局所線量の投与が可能となり局所制御率の向上が期待される。さらに、HDRBTではその優れた集中性から1回大線量が投与可能なため1週間以内に治癒線量を投与し治療終了させることが可能である。今後、就業しつつがん治療が行われる機会がますます増加することが予想され、HDRBTの導入により局所制御率の向上と全治療期間の短縮がもたらされることの社会的効果・経済的効果は計り知れないものがある。
研究方法
国際標準線量計が産総研に設置されることから、2次標準線量計をアイソトープ協会に設置し、そこに各施設の線量計を集積し校正する体制を確立した。さらに、施設ごとの計測法が線源放射能計測結果に大きな影響を及ぼすことが示されたため、標準測定法確立のためのアンケート調査を行った。さらに、子宮頸がん根治放射線治療および乳がん術後照射の画像誘導小線源治療の第1/2相試験のプロトコール立案を行った。
結果と考察
国際標準線量計から各施設の線量計に至る階層的校正を維持するための体制を作ることができた。さらにより正確な放射能計測のための標準測定法作成のための基礎的データを集積できた。また、多施設臨床試験の基礎となる、子宮頸がんの画像誘導小線源治療のための高リスク臨床標的体積のCT上での定義のコンセンサスを得ることができた。また、線量分布の評価法についてもコンセンサスが得られ、これらは今後の子宮頸がん根治照射多施設臨床試験にとって非常に大きな一歩である。また、乳がん術後照射の小線源治療における線量規制値についてもコンセンサスが得られた
結論
我が国で初めての画像誘導小線源治療の多施設臨床試験の基礎を構築することができた

公開日・更新日

公開日
2015-09-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2016-05-13
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201438035C

収支報告書

文献番号
201438035Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
22,100,000円
(2)補助金確定額
22,058,273円
差引額 [(1)-(2)]
41,727円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 10,839,289円
人件費・謝金 335,940円
旅費 2,379,511円
その他 4,034,117円
間接経費 5,100,000円
合計 22,688,857円

備考

備考
物品費で498,587円(2品)、その他で131,997円(消費税相当額)、合計630,584円の自己充当額があるため

公開日・更新日

公開日
2016-08-08
更新日
-