文献情報
文献番号
201438017A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性固形がんに有効なPARG阻害剤の実用化研究(新規PARG阻害剤の開発)
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
松野 研司(岡山大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
- 益谷 美都子(国立がん研究センター)
- 下山 達(都立駒込病院)
- 井上 謙吾(静岡県産業振興財団ファルマバレーセンター)
- 入江 徹美(熊本大学 薬学部)
- 石川 吉伸(静岡県立大学 薬学部)
- 高村 岳樹(神奈川工科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【委託費】 革新的がん医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
75,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
DNA修復応答経路を標的とした治療法開発として、ポリ(ADP-リボース)の主な分解酵素ポリ(ADP-リボース)グリコヒドロラーゼ(PARG)を阻害する化合物を開発し、世界初となるPARG阻害剤の治験開始(phase 0/1)を目指す。同時に薬力学的マーカーおよび効果予測(薬効)マーカーを同定し、有効ながん種を特定する。
研究方法
①PARG 阻害剤の構造最適化による臨床開発化合物の取得
すでに我々が見出している4種類のリード化合物のうち、MO2282誘導体から臨床開発化合物候補の取得を目指し、in silico分子設計および独自の評価系を交えた構造最適化を推進した。開発候補化合物として位置づけたMO2455は、各種毒性試験を実施した。また、GLP(&信頼性基準)準拠の非臨床試験に向けたMO2455のCMC研究を実施した。さらにMO2455の静脈注射投与可能な製剤処方を検討した。平行して、ヒト癌細胞株の感受性スペクトラムおよびバックアップ化合物を探索した。
②薬力学的マーカーの最適化および薬効予測マーカーの同定
PARG阻害剤の暴露後に起こるPAR集積や代謝物を薬力学的マーカーとして活用を検討した。また薬効予測マーカー同定を目的とし、合成致死仮説に基づく手法で特定の遺伝子発現を抑制し、PARG阻害剤の感受性を規定する分子を探索した。
すでに我々が見出している4種類のリード化合物のうち、MO2282誘導体から臨床開発化合物候補の取得を目指し、in silico分子設計および独自の評価系を交えた構造最適化を推進した。開発候補化合物として位置づけたMO2455は、各種毒性試験を実施した。また、GLP(&信頼性基準)準拠の非臨床試験に向けたMO2455のCMC研究を実施した。さらにMO2455の静脈注射投与可能な製剤処方を検討した。平行して、ヒト癌細胞株の感受性スペクトラムおよびバックアップ化合物を探索した。
②薬力学的マーカーの最適化および薬効予測マーカーの同定
PARG阻害剤の暴露後に起こるPAR集積や代謝物を薬力学的マーカーとして活用を検討した。また薬効予測マーカー同定を目的とし、合成致死仮説に基づく手法で特定の遺伝子発現を抑制し、PARG阻害剤の感受性を規定する分子を探索した。
結果と考察
①PARG 阻害剤の構造最適化による臨床開発化合物の取得
臨床開発化合物候補の取得を目的としたMO2282誘導体合成により、強力なPAR集積作用および細胞障害活性を示すMO2455を見出した。本化合物は、有意なin vivo抗腫瘍効果が認められ、肝MSクリアランス値も比較的小さく、CYP阻害なども認められなかったことから、開発候補化合物として位置づけた。In vivo毒性試験(2週間連投@ラット)における一般行動での異常等は認められていない。cGMP原薬合成に向けたMO2455のCMC研究においては、現行のメディシナルケミストリールートは、スケールアップ合成には適していないことが判明したため、工程短縮した別合成ルートを開拓し、総収率を2倍向上させることに成功した。これらの成果をもとに、外注によるスケールアップ製造を実施し、50gスケールでMO2455を取得することに成功した。本スケールアップ製造研究において、MO2455に結晶多形が存在することが明らかとなったが、精製法および塩形の検討により品質をコントロールする方向性を見出した。またMO2455の静脈注射投与可能な製剤処方を見出すことに成功した。さらにMO2455に対して高感受性を示す数種のがん細胞株が同定するとともに複数のバックアップ化合物も見出した。
②薬力学的マーカーの最適化および薬効予測マーカーの同定
PAR集積と細胞障害活性には強い相関があることが明らかになった。PAR集積は、PARG阻害剤の暴露後に起こるため、predictive markerとして用いることは難しいが、薬力学的マーカーとしては活用可能と考えられる。また、これまでに薬効予測マーカー候補として同定した因子と新たな探索系により薬効予測マーカー候補を単離・検証を進めた。
③上記の目的を達成するため、月に1回の頻度でFace to Face meeting又はWEB会議を催し、研究代表者及び他の分担研究者の情報を共有化するとともに、方向性と手段について頻回に打ち合わせを行った。また、不定期に電話会議やメールで各研究者と連絡を密にとり、研究班における研究調整を行った。
臨床開発化合物候補の取得を目的としたMO2282誘導体合成により、強力なPAR集積作用および細胞障害活性を示すMO2455を見出した。本化合物は、有意なin vivo抗腫瘍効果が認められ、肝MSクリアランス値も比較的小さく、CYP阻害なども認められなかったことから、開発候補化合物として位置づけた。In vivo毒性試験(2週間連投@ラット)における一般行動での異常等は認められていない。cGMP原薬合成に向けたMO2455のCMC研究においては、現行のメディシナルケミストリールートは、スケールアップ合成には適していないことが判明したため、工程短縮した別合成ルートを開拓し、総収率を2倍向上させることに成功した。これらの成果をもとに、外注によるスケールアップ製造を実施し、50gスケールでMO2455を取得することに成功した。本スケールアップ製造研究において、MO2455に結晶多形が存在することが明らかとなったが、精製法および塩形の検討により品質をコントロールする方向性を見出した。またMO2455の静脈注射投与可能な製剤処方を見出すことに成功した。さらにMO2455に対して高感受性を示す数種のがん細胞株が同定するとともに複数のバックアップ化合物も見出した。
②薬力学的マーカーの最適化および薬効予測マーカーの同定
PAR集積と細胞障害活性には強い相関があることが明らかになった。PAR集積は、PARG阻害剤の暴露後に起こるため、predictive markerとして用いることは難しいが、薬力学的マーカーとしては活用可能と考えられる。また、これまでに薬効予測マーカー候補として同定した因子と新たな探索系により薬効予測マーカー候補を単離・検証を進めた。
③上記の目的を達成するため、月に1回の頻度でFace to Face meeting又はWEB会議を催し、研究代表者及び他の分担研究者の情報を共有化するとともに、方向性と手段について頻回に打ち合わせを行った。また、不定期に電話会議やメールで各研究者と連絡を密にとり、研究班における研究調整を行った。
結論
PARG阻害剤として見出しているMO2282誘導体の構造最適化により開発候補化合物MO2455を同定した。本化合物は、強力なPAR集積作用および細胞障害活性に加え、ヒトxenograftヌードマウスモデルで有意な抗腫瘍効果を示した。また、本化合物には重篤な毒性は認められなかったことから、医薬品候補化合物としての確度が高いと考えられる。cGMP原薬合成に向けたMO2455のCMC研究により、工程短縮した合成法を開拓し、収率向上に成功するとともに、スケールアップ外注合成に成功した。次年度以降に世界初となるPARG阻害剤の治験開始(phase 0/1)を目指す。
公開日・更新日
公開日
2015-09-11
更新日
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