文献情報
文献番号
201435005A
報告書区分
総括
研究課題名
早期乳がんに対するイメージガイド下ラジオ波熱焼灼療法の標準化に係る多施設共同試験
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
麻賀 創太(独立行政法人 国立がん研究センター中央病院)
研究分担者(所属機関)
- 山本 尚人(千葉県立がんセンター)
- 藤澤 知巳(群馬県立がんセンター)
- 増田 慎三(国立病院機構 大阪医療センター)
- 津田 均(防衛医科大学校)
- 和田 徳昭(国立がん研究センター東病院)
- 土井原 博義(岡山大学病院)
- 高橋 將人(国立病院機構 北海道がんセンター)
- 大谷 彰一郎(広島市立広島市民病院)
- 高橋 三奈(国立病院機構 四国がんセンター)
- 吉田 正行(国立がん研究センター中央病院)
- 佐藤 信昭(新潟県立がんセンター)
- 有賀 智之(都立駒込病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【委託費】 医療技術実用化総合研究(臨床研究・治験推進研究事業)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
近年、本邦における検診発見早期乳癌患者の増加と、それに対応した局所治療の低侵襲化および簡便化は、乳がん治療の大きな課題である。乳がん検診先進国である米国においては、増加し続ける早期乳がんへの対応が、社会的な問題として上がっている。
本研究では、肝悪性腫瘍に対して保険収載されているイメージガイド下ラジオ波熱焼灼療法(以下RFA)が、早期乳がんにおいても乳房部分切除術に対して劣らない長期成績を得られるかどうかを評価し、早期乳がんに対するRFAの保険収載化を目指すことを目的とする。
本研究では、肝悪性腫瘍に対して保険収載されているイメージガイド下ラジオ波熱焼灼療法(以下RFA)が、早期乳がんにおいても乳房部分切除術に対して劣らない長期成績を得られるかどうかを評価し、早期乳がんに対するRFAの保険収載化を目指すことを目的とする。
研究方法
組織学的に乳がんと診断され、各種画像診断で腫瘍径1.5cm以下の腋窩リンパ節転移を示唆する所見を認めない症例に対し、文書を用いて説明し、研究協力の同意を得る。
RFAは全身麻酔下にて手術室で行う。RFAの穿刺針ならびにジェネレータは、肝臓悪性腫瘍に対して薬事承認がされている、COVIDIEN社製クールチップRFシングルニードル、Cool‐tip RFシステム/Cool‐tip RFAシステムEシリーズを使用する。イメージガイド下に標的病変に対してニードルを穿刺し、熱焼灼を開始する。焼灼中および焼灼後は氷嚢にて乳房を冷却し、熱傷を予防する。焼灼が終了したら、ニードルの先端温度を測定し、病変に対して十分な熱焼灼がなされていることを確認する。
RFA終了後は、すべての症例に対し全乳房照射を施行する。また、ガイドラインに従った薬物療法を実施する。放射線治療終了後3か月の時点で画像検査および吸引式針生検を実施し、焼灼不全の有無を確認する。焼灼不全が確認された場合、乳房部分切除術を実施する。
以上がプロトコール治療であり、プロトコール治療終了後は定期的に画像検査を実施して経過観察を行う。試験の主要評価項目は、5年温存乳房内無再発生存割合、副次的評価項目は、治療後病変残存割合、全生存期間、遠隔無再発生存期間、有害事象とし、有効性、安全性の評価を行い、治療法の標準化を目指す。登録予定症例数は、標準治療である乳房部分切除術をヒストリカルコントロールとして372例とした。試験予定期間は、登録期間3年、観察期間5年である。
加えて、RFAの特徴である優れた術後整容性を客観的に評価するための写真撮影や、QOL評価のための患者アンケートを1年ごとにRFA終了後5年まで行う。
この他、分担研究として、腫瘍サイズや患者乳房サイズに応じた穿刺針選択法の検討、熱焼灼が加えられた組織における腫瘍のviabilityの評価法、熱焼灼時の組織内温度上昇を左右する要因に関する検討を行った。
RFAは全身麻酔下にて手術室で行う。RFAの穿刺針ならびにジェネレータは、肝臓悪性腫瘍に対して薬事承認がされている、COVIDIEN社製クールチップRFシングルニードル、Cool‐tip RFシステム/Cool‐tip RFAシステムEシリーズを使用する。イメージガイド下に標的病変に対してニードルを穿刺し、熱焼灼を開始する。焼灼中および焼灼後は氷嚢にて乳房を冷却し、熱傷を予防する。焼灼が終了したら、ニードルの先端温度を測定し、病変に対して十分な熱焼灼がなされていることを確認する。
RFA終了後は、すべての症例に対し全乳房照射を施行する。また、ガイドラインに従った薬物療法を実施する。放射線治療終了後3か月の時点で画像検査および吸引式針生検を実施し、焼灼不全の有無を確認する。焼灼不全が確認された場合、乳房部分切除術を実施する。
以上がプロトコール治療であり、プロトコール治療終了後は定期的に画像検査を実施して経過観察を行う。試験の主要評価項目は、5年温存乳房内無再発生存割合、副次的評価項目は、治療後病変残存割合、全生存期間、遠隔無再発生存期間、有害事象とし、有効性、安全性の評価を行い、治療法の標準化を目指す。登録予定症例数は、標準治療である乳房部分切除術をヒストリカルコントロールとして372例とした。試験予定期間は、登録期間3年、観察期間5年である。
加えて、RFAの特徴である優れた術後整容性を客観的に評価するための写真撮影や、QOL評価のための患者アンケートを1年ごとにRFA終了後5年まで行う。
この他、分担研究として、腫瘍サイズや患者乳房サイズに応じた穿刺針選択法の検討、熱焼灼が加えられた組織における腫瘍のviabilityの評価法、熱焼灼時の組織内温度上昇を左右する要因に関する検討を行った。
結果と考察
平成27年1月末にモニタリングを行い、3月16日にモニタリングレポートが報告された。その時点での登録症例は105例であり、うち3例がRFA施行前、もしくは施行後に試験中止となった。RFAとの関連を強く疑う有害事象としてGrade2の熱傷が1例、Grade1の皮膚硬結が6例存在したが、重篤な有害事象の発生はなかった。また、温存乳房内再発を来した症例は現時点において認められていない。
3年間で372例の予定数に対し、105例(1月末現在)と、症例登録は予定をやや下回るペースであった。本年度は登録予定期間のうちの初年度であるので、次年度以降、乳がん早期発見に向け努力するとともに、同意取得率向上を目指す必要があると考えられる。
3年間で372例の予定数に対し、105例(1月末現在)と、症例登録は予定をやや下回るペースであった。本年度は登録予定期間のうちの初年度であるので、次年度以降、乳がん早期発見に向け努力するとともに、同意取得率向上を目指す必要があると考えられる。
結論
腫瘍径1.5cm以下の早期乳がんに対するRFAは、重篤な有害事象の発生もなく、安全性の高い治療法である。現時点においては温存乳房内再発もなく高い有効性を示しているが、有効性の正確な評価には更なる観察が必要である。
公開日・更新日
公開日
2015-06-12
更新日
-