企業人材の育成と連動した革新的国産内視鏡治療機器の研究開発

文献情報

文献番号
201434009A
報告書区分
総括
研究課題名
企業人材の育成と連動した革新的国産内視鏡治療機器の研究開発
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
中島 清一(大阪大学 国際医工情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 雅昭(国立がん研究センター東病院)
  • 今枝 博之(埼玉医科大学)
  • 梅原 智(株式会社工販)
  • 浦岡 俊夫(東京医療センター)
  • 加藤 元彦(東京医療センター)
  • 川平 洋(千葉大学 フロンティア医工学センター)
  • 炭山 和毅(東京慈恵会医科大学 医学部)
  • 出口 治(株式会社トップ)
  • 西田 俊朗(国立がん研究センター東病院)
  • 宮本 学(富士フイルム株式会社)
  • 矢作 直久(慶應義塾大学 医学部)
  • 山崎 誠(大阪大学 大学院医学系研究科)
  • 山田 拓哉(大阪医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【委託費】 医療機器開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
17,692,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
厚生労働省平成26年度「国産医療機器創出促進基盤整備等事業」担当機関として、上市の近い2つの内視鏡治療機器を主たる対象に、担当3社をはじめとする開発グループ内の企業人材を積極的に非臨床部門、臨床部門へ受け入れ、医師らと共同で研究開発を完遂し早期の実用化をめざすとともに、上市後も引き続き医師と連携し、臨床研究による安全性・有用性確認、市場性向上のための改良に従事させ、新規医療機器の実用化促進と実践的開発人材育成の両立をめざすもの。
平成26年度は非臨床研究を通じて2機器の開発を完遂させるとともに、これら研究開発と連動した人材育成プログラムを立ち上げる。また、医工融合領域で活躍する「開発人材」像を定義し、必要とされるスキル・セットの見極めと、育成過程の達成度を客観的に評価するシステムの開発にも着手する。
研究方法
研究開発の3年を人材育成プログラムと連動させる。研究者は開発を主導しつつ現場で人材と向き合いプログラムの最適化をめざし、得られた知見は「整備等事業」と共有する。
平成26年度は非臨床研究を通じて上記2デバイスの開発を完遂。育成プログラムを立ち上げつつ、スキル・セットの可視化のため開発関係者へのインタビューに着手する。

(倫理面への配慮)
動物実験、臨床研究ともに法令・規定に基づき適切に実施。必要となる動物個体数はドライラボを活用することで可及的に軽減させる。企業人材は整備等事業での座学を通じ倫理・安全面の知識を習得させてから臨床実習へ参加させることとした。
結果と考察
結果
計画通り2医療機器の非臨床段階を事実上完了し、ともに薬事申請を終えた。この課程で人材育成プログラムを立ち上げ、得られた知見を「整備等事業」と共有した。平成26年12月末日現在の各項目の達成度は下記のとおり。

考察
これまで、開発人材の育成に当たっては機器開発の現場における on the job training を重視し、座学やセミナー、集中的なニーズ集約化プロセスを学ぶ機会は決して多くなかった。実際の機器開発のプロセスを「整備等事業」と連動させ、医療機器の実用化に必要な実学的知識を習得させる「座学・セミナー」、臨床現場への往来を含む「臨床実習」、ファシリテーション理論を活用した集中討議による「ニーズ集約化プロセス」、さらには同様に機器開発人材の育成に取り組む他施設との「交流シンポジウム」への参加を促すことで、企業人材に医療機器開発に必要な座学、実学的知識を体系的に習得させるシステム(開発基盤)の骨子がかたまり、次年度以降の本事業実施に向けて多くの知見を得た。
結論
平成26年度に予定していた事業内容を計画通り遂行し、開発中であった2つの医療機器の薬事申請を完了した。くわえて「整備等事業」との連動も計画通り行うことができた。次年度以降の本事業ならびに「整備等事業」の継続に必要となる有用な知見を多く得ることができた。

公開日・更新日

公開日
2015-06-12
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201434009C

成果

専門的・学術的観点からの成果
開発中の新規医療機器2品、①定圧自動送気対応型内視鏡用オーバーチューブ、②組織の牽引を実現する内視鏡用オーバーチューブ、それぞれの非臨床段階を完遂し、予定通り薬事承認を取得することができた。また上記の研究開発と連動して「国産医療機器創出促進基盤整備等事業」を実施、医療機器の開発に資する企業人材の育成を行い、これら成果の一部は学術的に内外で発信した。平成28年度は、これら過程で得られた各種知見を、連動する「国産医療機器創出促進基盤整備等事業」の機器開発人材の育成基盤整備へ還元した。
臨床的観点からの成果
平成26年度は、内視鏡周辺機器(①送気用オーバーチューブ、②回旋式オーバーチューブ)の基盤的研究開発を終了し、薬事申請を行った。平成27年度は、これら2デバイスに関する前臨床研究をさらに推進し、市販に備えた仕様細部の最適化を達成、①は同年7月に、②は平成28年3月に薬事製造承認を取得した。平成28年度は、両デバイスの臨床試用を実現した(①:平成28年6月、②:平成29年1月)。現在、①は手技の標準化をめざし臨床評価を継続中。②は臨床試用を通じて仕様を見直す必要があると判断されたため改良中である。
ガイドライン等の開発
関連2品について薬事製造承認を取得し、小規模臨床評価を終えた段階に留まっているため、ガイドライン開発等の成果は得られていない。
その他行政的観点からの成果
本件と連動して実施した「国産医療機器創出促進基盤整備等事業」では、平成26年度は27社より95名、平成27年度は39社より94名、平成28年度は58社より207名、平成29年度は55社より152名の開発人材を受け入れ、その育成に積極的に取り組むとともに、医療機器開発に必要となる教育・トレーニング、スキル・育成度を評価するシステムのあり方、さらには医療機器開発を支援するエコシステムのあり方について等、積極的に情報発信を行った。
その他のインパクト
本件と連動している日本医療研究開発機構「国産医療機器創出促進基盤整備等事業」の一環として、平成29年1月27日に公開シンポジウムを開催し、医療機器の研究開発に必要となる教育・トレーニングやスキル・育成度を評価するシステムのあり方につき、集中的な討論を行った。また、本研究成果の一部は米国DDW2015(ワシントン)、インドENDO2017(ハイデラバード)、米国DDW2017(シカゴ)、国内J-CASE2017(博多)その他の学術集会を通じて発信した。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
8件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
2件
学会発表(国際学会等)
4件
その他成果(特許の出願)
13件
その他成果(特許の取得)
7件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
2件

特許

特許の名称
送気システム
詳細情報
分類:
特許番号: JP2014/550189
発明者名: 林健太郎、中島清一
権利者名: 富士フイルム株式会社、国立大学法人大阪大学
出願年月日: 20150522
国内外の別: 国内

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Takahashi T, Nakajima K, Miyazaki Y et al.
Surgical strategy for the gastric gastrointestinal stromal tumors (GISTs) larger than 5 cm: Laparoscopic surgery is feasible, safe, and oncologically acceptable
Surg Laparosc Endosc Percutan Tech  (2015)
原著論文2
Kobayashi M, Sumiyama K, Nakajima K et al.
Closure of iatrogenic large mucosal and full-thickness defects of the stomach with endoscopic interrupted sutures in in vivo porcine models: Are they durable enough?
BMC Gastroenterology  (2015)
原著論文3
Masashi Hirota, Kiyokazu Nakajima, Yasuhiro Miyazaki, et al.
Clinical outcomes of laparoscopic partial gastrectomy for gastric submucosal tumors
Asian J Endosc Surg  (2015)
原著論文4
Fukuda S, Nakajima K, Miyazaki Y,et al.
Use of double-lumen peripherally inserted central catheters for safer perioperative management of esophageal cancer patients
JVA (The Journal of Vascular Access)  (2015)
原著論文5
中島清一、金村剛志
逆流性食道炎・アカラシア
消化器外科学レビュー2015-'16  (2015)
原著論文6
Hisashi Hara, Tsuyoshi Takahashi, Kiyokazu Nakajima,et al.
A case of transvaginaA novel approach of optical biopsy using probe-based confocal laser endomicroscopy for peritoneal metastasis.
Surgical Case Reports  (2015)
原著論文7
黒川幸典、瀧口修司、中島清一、他
食道胃接合部癌に対する腹腔鏡下リンパ節郭清手技:下縦隔・大動脈周囲リンパ節郭清
癌の臨床  (2015)
原著論文8
Takiguchi S., Fujiwara Y., Nakajima K.,et al.
Laparoscopic intraoperative navigation surgery for gastric cancer using real-time rendered 3D CT images.
Surg Today  (2015)
原著論文9
Yamada T, Hirota M, Nakajima K.,et al.
Gastric endoscopic submucosal dissecction under steady pressure automatically controlled endoscopy(SPACE): a multicenter randomized preclinical trial.
Surg Endosc  (2015)
原著論文10
Chiu PW, Phee SJ, Nakajima K.,et al.
Enhancing proficiency in performing endoscopic submucosal dissection (ESD) by using a prototype robotic endoscope.
Endosc Int Open.  (2015)

公開日・更新日

公開日
2015-06-16
更新日
2019-05-22

収支報告書

文献番号
201434009Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
30,000,000円
(2)補助金確定額
29,981,598円
差引額 [(1)-(2)]
18,402円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 10,595,425円
人件費・謝金 8,956,544円
旅費 2,620,534円
その他 1,044,111円
間接経費 6,764,984円
合計 29,981,598円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-06-06
更新日
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