文献情報
文献番号
201432022A
報告書区分
総括
研究課題名
パーキンソン病治療を可能とするiPS創薬研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 良輔(京都大学 大学院医学研究科・臨床神経学)
研究分担者(所属機関)
- 萩原 正敏(京都大学 大学院医学研究科・形態形成機構学)
- 高橋 淳(京都大学 iPS細胞研究所・臨床応用研究部門)
- 堀 修(金沢大学 大学院医薬保健学総合研究科・神経分子標的学)
- 細谷 孝充(東京医科歯科大学 生体材料工学研究所・ケミカルバイオロジー)
- 武内 章英(京都大学 大学院医学研究科・形態形成機構学)
- 喜井 勲(京都大学 大学院医学研究科・形態形成機構学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【委託費】 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
38,462,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
パーキンソン病は高齢者に多い難治性神経疾患で、中脳黒質ドパミンニューロンを中心とする多系統の神経系の変性により、進行性の運動障害、精神症状、自律神経症状などを呈する。パーキンソン病の治療として、対症療法としてドパミン補充療法などが有効であるが、神経変性を遅延・停止あるいは神経再生を促進させ、疾病の経過に影響を与える根治療法(Disease Modifying Therapy;DMT)は知られていない。本研究の目的は、京都大学で見出された神経細胞の再生を促進する新規低分子化合物のパーキンソン病に対する薬効を、パーキンソン病動物モデルやヒトiPS細胞を用いて検討し、パーキンソン病の根治治療が可能な革新的再生治療薬を開発することである。また、我々はiPS細胞の増殖・分化の制御や癌化阻止能を有する新規低分子化合物も見出しており、これらの化合物の再生医療分野での有用性についても検討する。
研究方法
【神経新生促進能を有する新規化合物の開発】
マウス神経幹細胞を用い、DNAヌクレオシドチミジンの類縁体ブロモデオキシウリジンのゲノムへの取り込みを指標に、神経幹細胞の増殖を促進する新規低分子化合物の探索を行う。取得した候補化合物の薬効を神経幹細胞で確認する。動物での薬効薬理試験を行うため、薬物動態の検討および投与方法の最適化を行う。並行して動物での薬効薬理試験を行うため、候補化合物の大量合成法を確立する。またパーキンソン病モデルマウスで取得化合物の薬効試験を行い、候補化合物の薬理効果を確認する。
【癌化抑制能を有する新規化合物の開発】
正常細胞および癌細胞における増殖を指標に、増殖制御能・腫瘍化抑制能を有する化合物を探索する。
【iPS細胞を用いた薬効薬理試験のための研究体制整備】
研究過程で得られた候補化合物を評価するため、ヒトiPS細胞由来ドパミン産生細胞分化培養系を確立する。
マウス神経幹細胞を用い、DNAヌクレオシドチミジンの類縁体ブロモデオキシウリジンのゲノムへの取り込みを指標に、神経幹細胞の増殖を促進する新規低分子化合物の探索を行う。取得した候補化合物の薬効を神経幹細胞で確認する。動物での薬効薬理試験を行うため、薬物動態の検討および投与方法の最適化を行う。並行して動物での薬効薬理試験を行うため、候補化合物の大量合成法を確立する。またパーキンソン病モデルマウスで取得化合物の薬効試験を行い、候補化合物の薬理効果を確認する。
【癌化抑制能を有する新規化合物の開発】
正常細胞および癌細胞における増殖を指標に、増殖制御能・腫瘍化抑制能を有する化合物を探索する。
【iPS細胞を用いた薬効薬理試験のための研究体制整備】
研究過程で得られた候補化合物を評価するため、ヒトiPS細胞由来ドパミン産生細胞分化培養系を確立する。
結果と考察
今年度は当初計画されていた通り、取得した神経新生促進作用をもつ新規化合物の動物モデルにおける薬効薬理試験と、その大量合成方法の確立を推進した。さらに細胞増殖および癌化阻止能を指標に新規スルホンアニリド類を含む類縁化合物の探索を進めた。
【神経新生促進能を有する新規化合物の開発】
神経幹細胞の増殖を指標に見いだした神経細胞の新生を促進する新規候補化合物の薬効評価を疾患動物モデルにおいて行った。その結果候補化合物投与群においてドパミン神経細胞の脱落が軽減することが観察され、候補化合物のin vivoにおける薬効を確認することができた。さらに動物個体(齧歯類)における体内動態解析を行い、投薬プロトコルの最適化をはかった結果、候補化合物が経口投与可能であることを見出した。非侵襲的な方法での適用が可能であることは、実用化する上で非常に有用な点である。さらに次年度からの霊長類での薬効薬理試験のため、新規化合物の大量合成法を検討してきたが、7つの合成ステップに最適化することができた。以上のように、当初の研究計画通りに本研究事業を進捗させている。
【癌化抑制能を有する新規化合物の開発】
iPS細胞の増殖および分化制御を目的に独自ライブラリーより探索を行い、癌化抑止能をもつ新規スルホンアニリド類を取得した。取得した化合物はヒト膵臓腺癌細胞に対しては抗がん作用を示す一方で、マクロファージなどの正常初代培養細胞に対しては増殖を抑制しなかった。以上のことから、癌抑止能をもつ候補化合物の取得に成功し、当初計画を達成することができた。
【iPS細胞を用いた薬効薬理試験のための研究体制整備】
さらに薬効評価のためのiPS細胞の培養系・分化系の構築を行っており、当初事業計画に従って本事業は進捗し計画は達成されている。
【神経新生促進能を有する新規化合物の開発】
神経幹細胞の増殖を指標に見いだした神経細胞の新生を促進する新規候補化合物の薬効評価を疾患動物モデルにおいて行った。その結果候補化合物投与群においてドパミン神経細胞の脱落が軽減することが観察され、候補化合物のin vivoにおける薬効を確認することができた。さらに動物個体(齧歯類)における体内動態解析を行い、投薬プロトコルの最適化をはかった結果、候補化合物が経口投与可能であることを見出した。非侵襲的な方法での適用が可能であることは、実用化する上で非常に有用な点である。さらに次年度からの霊長類での薬効薬理試験のため、新規化合物の大量合成法を検討してきたが、7つの合成ステップに最適化することができた。以上のように、当初の研究計画通りに本研究事業を進捗させている。
【癌化抑制能を有する新規化合物の開発】
iPS細胞の増殖および分化制御を目的に独自ライブラリーより探索を行い、癌化抑止能をもつ新規スルホンアニリド類を取得した。取得した化合物はヒト膵臓腺癌細胞に対しては抗がん作用を示す一方で、マクロファージなどの正常初代培養細胞に対しては増殖を抑制しなかった。以上のことから、癌抑止能をもつ候補化合物の取得に成功し、当初計画を達成することができた。
【iPS細胞を用いた薬効薬理試験のための研究体制整備】
さらに薬効評価のためのiPS細胞の培養系・分化系の構築を行っており、当初事業計画に従って本事業は進捗し計画は達成されている。
結論
「チアゾール系新規化合物」と「スルホンアニリド類化合物」ともに順調に推進し、特に候補化合物のin vivoにおける薬効が明らかになった点は特筆すべきであると考えられる。今後は、動物モデルを用いた薬効薬理確認を目指した研究を加速すべきである。難治性疾患に対する治療薬は、社会の強く望むものであり、これら候補化合物についての迅速な研究と臨床展開を進めることには大きな意義があると考えられる。
公開日・更新日
公開日
2015-06-09
更新日
-