高性能の新規RNAベクターによる血友病遺伝子治療の開発

文献情報

文献番号
201432020A
報告書区分
総括
研究課題名
高性能の新規RNAベクターによる血友病遺伝子治療の開発
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
須磨崎 亮(筑波大学 医学医療系)
研究分担者(所属機関)
  • 麻生 雅是(セルジェンテック株式会社遺伝子治療開発推進)
  • 中西 真人(産業技術総合研究所 幹細胞工学研究センター)
  • 伊藤 昌史(エーザイ㈱筑波研究所)
  • 千葉 滋(筑波大学医学医療系)
  • 長谷川 雄一(筑波大学医学医療系)
  • 三輪 佳宏(筑波大学医学医療系)
  • 久武  幸司(筑波大学医学医療系)
  • 西村  健(筑波大学医学医療系)
  • 柳  健一(筑波大学医学医療系)
  • 橋本 幸一(筑波大学医学医療系)
  • 福島 敬(筑波大学医学医療系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【委託費】 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
19,230,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
血友病の根治療法としての遺伝子治療を開発し、実用化するために、前臨床研究データを蓄積する。
研究方法
 筑波大学、産業技術総合研究所、エーザイ株式会社およびセルジェンテック株式会社の四者間で、「ステルス型RNAベクターを用いた遺伝子導入脂肪細胞の移植治療に関する前臨床研究」について平成26年3月24日付で共同研究計画(秘密保持を含む)を締結して役割分担に沿って作業を進めた。
結果と考察
 使用するベクターとして、遠赤外領域蛍光タンパク質iRFPをコードするcRNAを搭載したステルス型RNAベクター、およびヒト/マウスの第Ⅷ血液凝固因子遺伝子を搭載したステルス型RNAベクターの作製した。
 遺伝子導入脂肪細胞の実験に向けて、使用する蛍光タンパク質iRFPのマウス側への影響を検索し、一方ではiRFPそのものがマウスの免疫系から異種蛋白として認識され、排除されるメカニズムの回避方法を確立した。遺伝子導入脂肪細胞の体内動態を、非侵襲的に、長期間にわたって追跡することが可能なシステムを構築した。
 血友病Aモデルマウス(第VIII血液凝固因子ノックアウト)をJackson研究所から購入し、筑波大学生命科学動物資源センターに搬入した。検疫の後、仮親を利用して効率よく繁殖させるための作業を開始した。血友病Aモデルマウスに対する遺伝子導入脂肪細胞同系移植の薬理効果を予備的に評価するためのプロトコールを作成した。
結論
 それぞれ独立して開発された特許技術を合体させて、血友病に対する遺伝子治療の開発・実用化研究を開始した。

公開日・更新日

公開日
2015-06-09
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201432020C

成果

専門的・学術的観点からの成果
新規RNAベクターに、完全型第VIII血液凝固因子の遺伝子(7056bp)を搭載し、培養細胞に導入、上清中への第VIII血液凝固因子の分泌をELISAおよび活性測定によって確認した。従来の遺伝子治療用ベクターでは搭載不可能なサイズだったが、本ベクターによってブレイクスルーがもたらされた。
臨床的観点からの成果
血友病をはじめとして、タンパク製剤の反復注射を継続することでのみ、生命をつなぎ、または障害を回避している多くの患者にとって、本ベクターを用いた遺伝子治療の実用化によって、治療に伴う負担の大幅な軽減が期待できる。
ガイドライン等の開発
遺伝子治療が実用化されることにより、血友病治療ガイドライン(日本血栓止血学会による)の大幅修正に貢献できる。
その他行政的観点からの成果
現在の血友病治療は、遺伝子組換第VIIIまたは第IX血液凝固因子製剤や血漿分画製剤を頻繁に用い、非常に高額であり、しかも大部分が輸入である。遺伝子治療による根治療法が開発され、しかも国産技術でそれが実現すれば、世界の血友病患者、および広く日本国民に対する大きな貢献となる。
その他のインパクト
製薬メーカーを含む産官学共同研究のため、内容の詳細については非公開で進めている段階である。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
5件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
4件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-16
更新日
2017-06-20

収支報告書

文献番号
201432020Z