非代償性肝硬変患者に対する培養自己骨髄細胞を用いた低侵襲肝臓再生療法の安全性に関する研究

文献情報

文献番号
201432016A
報告書区分
総括
研究課題名
非代償性肝硬変患者に対する培養自己骨髄細胞を用いた低侵襲肝臓再生療法の安全性に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
坂井田 功(国立大学法人山口大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 高見 太郎(国立大学法人山口大学 大学院医学系研究科)
  • 石川 剛(国立大学法人山口大学 大学院医学系研究科)
  • 松本 俊彦(国立大学法人山口大学 大学院医学系研究科 )
  • 丸本 芳雄(国立大学法人山口大学医学部附属病院 臨床研究センター)
  • 藤澤 浩一(国立大学法人山口大学 大学院医学系研究科附属再生医療教育研究センター)
  • 藤井 康彦(国立大学法人山口大学医学部附属病院 再生・細胞治療センター)
  • 野島 順三(国立大学法人山口大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【委託費】 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
38,462,000円
研究者交替、所属機関変更
寺井崇二(平成26年12月3日~同年12月31日山口大学大学院医学系研究科准教授・研究分担者、平成27年1月1日~同年3月31日山口大学大学院医学系研究科非常勤講師・研究協力者)

研究報告書(概要版)

研究目的
先進医療Bとして実施している「肝硬変患者に対する自己骨髄細胞投与療法(ABMi療法:Autologous Bone Marrow cell infusion therapy)」は、患者自身の自己骨髄細胞を採取して末梢静脈から投与することで、骨髄細胞の肝線維化改善作用により肝機能を改善させる方法であるが、全身麻酔下に骨髄液を約400 mL採取する必要があり、全身麻酔可能例に適応が制限される。そこで、より重症な肝硬変症患者を救命するため、ABMi療法をさらに低侵襲なものへと発展させ、局所麻酔下に採取した骨髄液約30mLから肝線維化改善効果のある骨髄間葉系幹細胞を培養増殖し、末梢静脈から投与する「培養自己骨髄細胞を用いた低侵襲肝臓再生療法」を開発した。本研究では、平成26年8月6日(厚生労働省発医政0806第8号)に厚生労働大臣よりその実施について許可を得た「非代償性肝硬変患者に対する培養自己骨髄細胞を用いた低侵襲肝臓再生療法の安全性に関する研究」について検討することを目的とする。
研究方法
登録された症例は、骨髄細胞の採取・培養に関する同意を得た後に治療前評価を行い、入院の上、自己骨髄細胞を採取する。局所麻酔下に両腸骨より骨髄液約30mLを採取し、ヘパリンを添加した後に骨片等を除去する。山口大学医学部附属病院の再生・細胞治療センターで骨髄液を受け入れ、赤血球沈降促進剤hydroxyl ethyl starch(HES)を添加し、有核球細胞分画を調製する。これに培地を加えて細胞懸濁液とした後、培養フラスコに播種して約3週間継代培養を行い、骨髄間葉系幹細胞を含む細胞群を回収する。この細胞に対して品質管理試験(無菌試験、エンドトキシン試験、マイコプラズマ否定試験等)を行い、安全性を確認する。投与する細胞数は約2x10^7個であり、細胞投与時は約200mLの細胞懸濁液を約2時間かけてゆっくりと末梢静脈から点滴投与する(濃度は約1x10^5/mL)。細胞投与後は、有害事象が発生しないか等の安全性を調べることを目的に術後1週間は原則として入院下で厳重な観察を行い、以後定期的に経過を追跡し24週間の観察を行う。規定された時期以外でも担当医師が必要と認めた場合は調査を行う。最初の3例目までを3ヶ月観察し、因果関係の否定できない重篤な有害事象が発生していなければ、4例目以降の登録を進める。
結果と考察
平成26年12月にデータモニタリングシステムの整備(先端医療振興財団 臨床研究情報センター)および臨床研究保険への加入手続を完了し、平成27年1月の山口大学医学部附属病院 再生・細胞治療センター内Cell processing centerバリデーションを経て、同年2月から症例登録および臨床研究の開始が可能となった。そして、選択基準を満たし、除外基準に該当しないとデータモニタリング機関である先端医療振興財団 臨床研究情報センターでも確認された50代 男性 非代償性B型肝硬変患者が、治療前検査を経て、平成27年3月12日に第1症例として症例登録された。非代償性肝硬変患者を対象にした「培養自己骨髄細胞を用いた低侵襲肝臓再生療法」の臨床研究の第1例目を開始しており、今後もその実施を継続する。また、SOPに従い自己骨髄細胞の培養が可能であることが示唆された。
結論
第1症例において培養自己骨髄細胞の製造過程における安全性が示された。今後、培養自己骨髄細胞の投与過程における安全性の評価へと進み、さらに目標症例数10例に向けて実施症例数を重ねる予定である。

公開日・更新日

公開日
2015-06-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2016-01-22
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201432016C

収支報告書

文献番号
201432016Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
50,000,000円
(2)補助金確定額
50,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 35,861,846円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 2,600,154円
間接経費 11,538,000円
合計 50,000,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2016-01-28
更新日
-