バイオ3Dプリンタを用いた高度変性半月板損傷に対するあたらしい再生医療の開発

文献情報

文献番号
201432008A
報告書区分
総括
研究課題名
バイオ3Dプリンタを用いた高度変性半月板損傷に対するあたらしい再生医療の開発
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
中山 功一(佐賀大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 松田 秀一(京都大学医学部)
  • 三角 一浩(鹿児島大学共同獣医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【委託費】 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
23,077,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動 佐賀大学工学系研究科から 佐賀大学医学部臓器再生医工学講座(20150401~)

研究報告書(概要版)

研究目的
膝関節半月板には、膝関節の安定性と衝撃吸収といった二足歩行を行う人類にとって重要な器官である。外傷などによる損傷、断裂や膝関節部分の変性により半月板損傷が起こると、スポーツを中心に様々な問題が発生する。半月板損傷治療法として、現状では損傷、断裂部分への縫合術や切除術が主流となっている。また、膝関節部分の衝撃を緩衝する役割をもつ半月板の切除を行うと、膝関節部分軟骨へ直接的な負荷がかかるため、膝軟骨部分がすり減り、変形性関節症を引き起こすリスクが高くなるとされている。そのため半月板損傷の新たな治療法が、高齢者のみならず、アスリートなどの若年層のスポーツ者にも望まれている。
 我々は、半月板の機能再生を行う新規の治療法の確立を目指している。これまで、構造体組織構築の足場を必要としないスキャフォールドフリーのバイオ3Dプリンタ(3次元細胞積層システム)を企業共同開発し、この装置をもちいて細胞だけで構築された立体的な細胞構造体の作製に成功している。本研究では、移植可能な強度をもった半月板型インプラント様細胞構造体の作製に成功した。さらに独自のバイオリアクターを開発し、異なる強度を持った構造体の作製に成功し、ウサギやブタなどの中・大動物へ移植する非臨床試験を実施した。今後これらの成果をもとにさらなる条件の検討を行い半月板治療のための新規の治療法として臨床応用を目的とした非臨床POC取得を目指す。
研究方法
中動物への移植と非臨床POCの取得
 
日本白色家兎の膝関節を展開し移植方法の確立を試みた。
右内側半月板の全置換を目指し解剖学的な観点から術式を再検討した。

大動物への移植の検討と術式の最適化
 
家兎での術式は元来の骨のサイズの問題で技術的には非常に高度な手術テクニックが求められ、かつ、ヒトと関節の荷重分布がことなることが軟骨再生医療の分野で古くから指摘されていたことも相まって、ブタでの移植を行うこととした。
 鹿児島大学獣医学部付属病院でブタの膝関節を展開し、家兎と同様の骨切りを試みた。


(倫理面への配慮)
本研究は佐賀大学および鹿児島大学の動物実験施設で行われた。 
各大学の動物実験に関する倫理員会に審査され、規定に沿って動物に過度な苦痛を与えないよう十分な麻酔・鎮静鎮痛剤を用いて行っており、倫理的に十分な配慮を行っている。

結果と考察

中動物への移植と非臨床POCの取得
関節裂隙が非常に狭いため、内側側副靭帯(MCL)および後十字靭帯(PCL)を切除して関節の展開を試みた。しかし、それでも十分な視野および術野が確保できなかった。
 そこで大腿骨内顆にMCLを付着させたまま骨切りしたところ、十分な視野が確保できた。

大動物への移植の検討と術式の最適化
内顆の顆間部にあるPCL前方を一部切除することで、家兎と同様の術野が得られた。

半月板を部分的に切除し細胞構造体を移植、骨切り部を整復し海綿骨螺子2本で固定した。固定性は良好であった。術後1か月に抜釘し、CTおよびMRIで骨切り部および移植部を観察した。
CT、MRIともに骨切り部の癒合は良好で、あきらかな骨壊死は認められなかった。MRIでも滑らかな関節面が維持できると推測され、ブタは安楽死させずにそのまま経過観察とした。
移植から2か月目に安楽死し、骨切り部、および移植部を展開・露出した。骨切り部は非常に滑らかに治癒しており、一部切り込んだ関節面も滑らかな修復されていた。
  
 また、大腿骨および脛骨にあきらかな変形性関節症を示唆するような関節面の不整や骨棘などは認められなかった。細胞を移植した半月板は一部分修復を示唆する肉眼所見であった
結論
我々は細胞だけで正常半月板と類似した形状の細胞構造体を作成することに成功した。
また、ウサギおよびミニブタへの移植も行った。
さらなる研究が必要でいあるが本研究は我が国の国民のQOL向上、および医療費の削減に貢献できると思われる。

公開日・更新日

公開日
2015-06-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2016-05-13
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201432008C

収支報告書

文献番号
201432008Z