文献情報
文献番号
201432005A
報告書区分
総括
研究課題名
細胞シート治療の臨床推進とデータベース構築
課題番号
-
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
岡野 光夫(東京女子医科大学先端生命医科学研究所)
研究分担者(所属機関)
- 江口 晋(長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科)
- 村垣 善浩(東京女子医科大学先端生命医科学研究所 )
- 岩田 隆紀(東京女子医科大学先端生命医科学研究所)
- 金井 信雄(東京女子医科大学先端生命医科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【委託費】 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
46,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
細胞を培養加工した細胞シートによる再生治療が実用化し、多くの患者に提供していくには、安定した品質で細胞シートを作製する技術だけでなく、CPCから多施設に輸送するシステム、そしてデリバリーデバイスや移植手技の開発が重要である。そこで本研究では、東京女子医科大学ならびに長崎大学で「ヒト幹指針」に沿って進められているヒト臨床研究を適切に実施するとともに、ヒト臨床研究で蓄積されている細胞シート作製技術、輸送システム評価、新型移植デバイスを含む治療手技を細胞シート再生医療実用化にむけた包括的な細胞治療に関するデータベースの構築を行う。
研究方法
東京女子医科大学・長崎大学において「ヒト幹指針」に合致した臨床研究を推進する。東京女子医科大学では平成23年から「自己ヒト歯根膜細胞シートを用いた歯周組織の再建」を実施している。また、女子医大と長崎大学が共同臨床研究「早期食道癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)後食道潰瘍への自家口腔粘膜上皮細胞シート移植の臨床研究」を平成25年より開始している。本臨床研究では長崎の患者の口腔粘膜組織を採取し、東京に輸送し、女子医大で作製した口腔粘膜上皮細胞シートを長崎に移動し、長崎大学で移植手術を行う細胞製品を輸送して移植する臨床研究である。平成26年度内に女子医大・長崎大それぞれ10例、合計20症例の細胞シート移植と予後追跡が終了する予定であり、この期間までに実施中の有害事象や問題点を抽出・共有する仕組みを確立する。また臨床研究の実施と平行して、匿名化されたデータベースの構築を図る。臨床のデータと細胞の性能試験から得られたデータを紐付け、これらのデータを比較検討することで最適な適応症・有効なマネージメント方法などを導き出す。現在までのほとんどの細胞治療は単独で行われており、日本再生医療学会でも領域毎のデータベース化を推奨していることから、本研究グループが窓口となって体性幹細胞を利用した細胞シート治療のデータベースの構築を推進する。
結果と考察
【結果】2011年から東京女子医科大学にて実施している臨床研究課題:「自己培養歯根膜細胞シートを用いた歯周組織の再建」の移植ならびに予後追跡調査が全10例において完了し、臨床研究を終了することができ、安全性ならびに有効性を確認した。また東京女子医科大学・長崎大学と共同で細胞シート輸送に伴うヒト臨床研究課題:「早期食道癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)後食道潰瘍への自家口腔粘膜上皮細胞シート移植の臨床研究」を推進し、26年10月30日までに予定されていた10症例を完了した。これにより多施設間での細胞シート製造と治療の分担、共同して治療を行う基盤を作り上げた。さらに細胞シート作製工程に関しては、このヒト臨床研究で得られた安全性評価を参考に、治験に対応した品質規格を設定し、上皮細胞シート製品としての開発をPMDAと相談し進めている。また開発された移植デバイスにおいても論文報告し、治験で使用できるグレードの開発をPMDAと戦略相談を進めている。上皮細胞シートの長崎・東京間での空輸ヒト臨床研究において、開発された輸送システムによる輸送前後の細胞シートの解析を行い、論文投稿中である。
細胞シートのデータベース(以下DB)構築に関しては、DBの構造に将来的な発展性を持たせることと2つの臨床試験(歯根膜および食道)のプロトコールを参照し共通性と特殊性を抽出すること、の2点で設計を行い、3つのモジュールによって構築された。
【考察】本邦では「細胞シート工学」を用いたヒト臨床研究が積極的に導入され、「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」に合致した臨床試験が多くの拠点で実施されており、特に体性幹細胞を用いた再生治療においては安全性も蓄積しつつある。本研究で推進された細胞シートによるヒト臨床研究の2研究はそれぞれ予定症例を完了しており、今後速やかに治験に移行するためには細胞シート作製技術、細胞シート輸送技術さらに細胞シート移植技術などのバリデーションは急務で、本研究で進められた細胞シートに関する一連の技術開発やデータベース構築などの分担研究の成果により、すみやかに改正薬事法のもとで治験の準備を進めるとともに、本研究成果を公開・共有することによって再生治療のヒト応用の推進に貢献できるものと考えている。
細胞シートのデータベース(以下DB)構築に関しては、DBの構造に将来的な発展性を持たせることと2つの臨床試験(歯根膜および食道)のプロトコールを参照し共通性と特殊性を抽出すること、の2点で設計を行い、3つのモジュールによって構築された。
【考察】本邦では「細胞シート工学」を用いたヒト臨床研究が積極的に導入され、「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」に合致した臨床試験が多くの拠点で実施されており、特に体性幹細胞を用いた再生治療においては安全性も蓄積しつつある。本研究で推進された細胞シートによるヒト臨床研究の2研究はそれぞれ予定症例を完了しており、今後速やかに治験に移行するためには細胞シート作製技術、細胞シート輸送技術さらに細胞シート移植技術などのバリデーションは急務で、本研究で進められた細胞シートに関する一連の技術開発やデータベース構築などの分担研究の成果により、すみやかに改正薬事法のもとで治験の準備を進めるとともに、本研究成果を公開・共有することによって再生治療のヒト応用の推進に貢献できるものと考えている。
結論
「自己培養間葉系幹細胞シートによる歯周再生」ならびに「自己培養上皮細胞シートによる食道再生」ヒト臨床研究を推進し、細胞加工・細胞輸送・細胞移植などの細胞シート治療一連の技術開発を行った。さらに今後の細胞シート治療のヒト臨床応用を推進していく際に、最適と思われるデータベースを構築した。
公開日・更新日
公開日
2016-01-28
更新日
-