文献情報
文献番号
201429017A
報告書区分
総括
研究課題名
地域保健に従事する人材の計画的育成に関する研究
課題番号
H26-健危-一般-002
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
奥田 博子(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
研究分担者(所属機関)
- 宮崎美砂子(千葉大学大学院 看護学研究科)
- 守田 孝恵(山口大学大学院 医学系研究科)
- 中板 育美(公益社団法人日本看護協会)
- 福島富士子(東邦大学 看護学部)
- 橘 とも子(国立保健医療科学院 健康危機管理研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
3,600,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者交替
米澤純子(平成26年4月1日~5月28日)→中板育美(平成26年9月3日以降)
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は体系的な保健師等の人材育成プログラムの開発し「人材育成計画策定ガイドライン」を作成することにより、保健師の資質向上に資する人材育成システムの確立を図ることを目的とする。H26年度はベースライン調査として、以下の5つの課題について取り組んだ。
研究方法
1.保健師の専門能力向上のための研修会等に関する研究
全国47都道府県の保健師人材育成担当者を対象に、研修の企画、内容、方法等に関する自記式質問紙による郵送調査を実施した。
2. 統括的な役割を担う保健師の機能推進要因と人材育成に関する研究
自治体の統括的立場の保健師を対象に、統括保健師の実態と機能推進要因に関するグループインタビュー調査を実施した。
3. Competency獲得に必要な教育プログラム量の検討に関する研究
統括的立場の保健師を対象に、経験すべき教育,経験などに関するグループインタビュー調査を実施した。
4.「保健師のキャリア」に関する概念の分析
既存の文献等を分析し、概念の定義的特性や先行要件や帰結を明らかにし概念を明確にした。これらの手法は、現在看護学領域で主に用いられているWalker&Avant、Rogers、Chinn&Kramer、Schwatz-Barcott&Kimなどを参考とした。
5.保健師ガイドラインの他職種への適応可能性の検証に関する研究
1)地域保健人材の育成に係る知見等の整理
2)公衆衛生専門職の現任教育に関する調査・情報収集
全国47都道府県の保健師人材育成担当者を対象に、研修の企画、内容、方法等に関する自記式質問紙による郵送調査を実施した。
2. 統括的な役割を担う保健師の機能推進要因と人材育成に関する研究
自治体の統括的立場の保健師を対象に、統括保健師の実態と機能推進要因に関するグループインタビュー調査を実施した。
3. Competency獲得に必要な教育プログラム量の検討に関する研究
統括的立場の保健師を対象に、経験すべき教育,経験などに関するグループインタビュー調査を実施した。
4.「保健師のキャリア」に関する概念の分析
既存の文献等を分析し、概念の定義的特性や先行要件や帰結を明らかにし概念を明確にした。これらの手法は、現在看護学領域で主に用いられているWalker&Avant、Rogers、Chinn&Kramer、Schwatz-Barcott&Kimなどを参考とした。
5.保健師ガイドラインの他職種への適応可能性の検証に関する研究
1)地域保健人材の育成に係る知見等の整理
2)公衆衛生専門職の現任教育に関する調査・情報収集
結果と考察
1.保健師の専門能力向上のための研修に関する研究
新任期研修は、ほぼ全県で独自の内容を検討・実施されていた。中堅期と管理期はその実施状況に自治体格差が認められた。また、研修受講歴を昇任ポイントにする実績や、人材育成担当者のジョブローテーションに反映させている現況もあった。さらに研修は、対象者の受講に留まらず、その企画運営、OJT等の多角的な人材育成の仕組みを各自治体が検討している状況が明らかとなった。
2.統括的な役割を担う保健師の実態と機能推進要因に関する研究
統括保健師の機能推進要因は、①個人的要件では、能力(調整力,指導力,危機管理力など)、資質(内外から評価される人材、保健師マインドが明確,広い視野を持つ,メンタルの強さなど)、意識(覚悟,傾聴,統括保健師としての実績を残すなど)②組織的要件では組織内の統括保健師への理解・位置づけ,複数の管理者による統括保健師のバックアップ体制の存在などであることが明らかになった。
3.Competency獲得に必要な教育プログラム量の検討に関する研究
統括的立場となるために、新任期から専門能力と行政能力の獲得に向け経験を積み上げる必要性が明らかになった。とりわけ中堅期において、複数回本庁勤務、一人職場での勤務、管理職の資格獲得、中長期の派遣が重要である。人材育成においては、専門能力と行政能力の継続的なアセスメントと、見込みのあるものを選択し、リーダーシップが発揮できる経験を積めるよう、意図的、組織的に育成していく重要性が示唆された。
4.保健師のキャリアに関する概念の分析
保健師アイデンティティ(美意識)は、狭義の職業意識(既成の定例的業務の遂行など)を越えた自己規定概念であり、基礎教育や現任教育など企画された教育プログラムからのみ成立するものではないことが明らかとなった。
5.保健師ガイドラインの他職種への適応可能性の検証に関する研究
自治体の職種横断的・計画的な地域保健行政従事者の人材育成体制づくりにおいて,統括的立場の保健師職等には職責を十分に果たすことが期待できると思われ,その際に必要なコンピテンシーは,「自治体の施策等に関するアンテナを役所内外に幅広く巡らせることができる」,「行政文書作成能力」等と考えられた。
新任期研修は、ほぼ全県で独自の内容を検討・実施されていた。中堅期と管理期はその実施状況に自治体格差が認められた。また、研修受講歴を昇任ポイントにする実績や、人材育成担当者のジョブローテーションに反映させている現況もあった。さらに研修は、対象者の受講に留まらず、その企画運営、OJT等の多角的な人材育成の仕組みを各自治体が検討している状況が明らかとなった。
2.統括的な役割を担う保健師の実態と機能推進要因に関する研究
統括保健師の機能推進要因は、①個人的要件では、能力(調整力,指導力,危機管理力など)、資質(内外から評価される人材、保健師マインドが明確,広い視野を持つ,メンタルの強さなど)、意識(覚悟,傾聴,統括保健師としての実績を残すなど)②組織的要件では組織内の統括保健師への理解・位置づけ,複数の管理者による統括保健師のバックアップ体制の存在などであることが明らかになった。
3.Competency獲得に必要な教育プログラム量の検討に関する研究
統括的立場となるために、新任期から専門能力と行政能力の獲得に向け経験を積み上げる必要性が明らかになった。とりわけ中堅期において、複数回本庁勤務、一人職場での勤務、管理職の資格獲得、中長期の派遣が重要である。人材育成においては、専門能力と行政能力の継続的なアセスメントと、見込みのあるものを選択し、リーダーシップが発揮できる経験を積めるよう、意図的、組織的に育成していく重要性が示唆された。
4.保健師のキャリアに関する概念の分析
保健師アイデンティティ(美意識)は、狭義の職業意識(既成の定例的業務の遂行など)を越えた自己規定概念であり、基礎教育や現任教育など企画された教育プログラムからのみ成立するものではないことが明らかとなった。
5.保健師ガイドラインの他職種への適応可能性の検証に関する研究
自治体の職種横断的・計画的な地域保健行政従事者の人材育成体制づくりにおいて,統括的立場の保健師職等には職責を十分に果たすことが期待できると思われ,その際に必要なコンピテンシーは,「自治体の施策等に関するアンテナを役所内外に幅広く巡らせることができる」,「行政文書作成能力」等と考えられた。
結論
統括的立場の保健師の実態は多様であるが、求められる能力は、多くの自治体のマニュアル等で示されている管理期保健師に求められる“組織運営管理”や“人材育成”に関する能力であった。一方、統括的立場の保健師を含む管理期保健師の研修の機会は乏しく、「管理期」の捉え方においても、管理職の職位の有無など自治体による定義が異なり、その相違が中央研修等の参加者や受講生のニーズの多様性の一因となっていた。今年度の研究成果を踏まえ、次年度においては統括的立場の保健師を含む管理期の再整理(機能、能力含む)、リーダー養成を見据えた体系的な教育体制の確立、職務・研修履歴等のキャリア・アップへの活用、キャリア・パスの明確化、統括保健師の組織内サポート体制を示した、人材育成プログラムの開発を図る。
公開日・更新日
公開日
2016-06-20
更新日
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