健康なまちづくりのためのソーシャル・キャピタル形成手法を活用した介入実証と評価に関する研究

文献情報

文献番号
201429004A
報告書区分
総括
研究課題名
健康なまちづくりのためのソーシャル・キャピタル形成手法を活用した介入実証と評価に関する研究
課題番号
H25-健危-一般-003
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
福島 富士子(東邦大学 看護学部看護学科家族・生殖看護学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 平野 かよ子(長崎県立大学)
  • 尾島 俊之(浜松医科大学 健康社会医学講座)
  • 信友 浩一(信友ムラ事務所)
  • 児玉 知子(あんずクリニック)
  • 斎籐 益子(帝京科学大学)
  • 待鳥 美光(NPO法人こども・みらい・わこう)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
4,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、健康なまちづくりの実現に向け、地域の母子保健の課題の一つである産前産後ケアの支援に着目し、地域での産み育てから始まるソーシャル・キャピタルについての介入実証を行うことであった。
また先行事例や海外事例を参考に、ソーシャル・キャピタル形成のために必要な環境や体制づくり、行政に求められる役割を明らかにした。
さらに各地域の特性から見る産前産後ケアのあり方に関する類型化・標準化に向けた評価を行い、こうした一連の介入を通じて、「産前産後ケア拠点施設づくり・母子保健政策」のための展開プロセスの評価と拠点施設がソーシャル・キャピタル醸成に果たす役割を明らかにすること。併せて、ソーシャル・キャピタル形成のための手引書の作成と人材の育成のためのプログラム開発を行うことである。
研究方法
本研究の1年目にあたる平成25年度は、『1)先行モデル事業の評価・分析』と『2)自治体が計画する産前産後ケア拠点施設計画への介入実証』を行った。
その結果、地域の母子保健の課題解決のために設立された産前産後ケアセンターには、1.安心して子育てできる支援ネットワークの構築、2.地域のソーシャル・キャピタルの醸成、の2つの機能があることが分かった。
次年度の本年平成26年度は、さいたま市、枚方市、浦安市の3箇所にソーシャル・キャピタル形成を視野に入れた産後ケア事業の展開についての研修会を行った。
海外における事例のヒアリング、また政策についての情報収集をもとに、上記草案に関する再度検討、精査を行った。研究結果を踏まえて、各地域の特色を考慮したソーシャル・キャピタル形成のための手引書の作成にあたった。
結果と考察
研究により、地方主権による独自のソーシャル・キャピタル醸成を踏まえた母子保健政策を進めていく必要があると考えられた。この政策提言は平成26年11月に全国町村会から出された「地方創生の推進に関する提言」の中にも取り入れられた。今後は全国の都道府県および市町村に対して、必要に応じ報告書及び手引書を送付し、活用を促していく。国で始まった「切れ目のない 妊娠・出産・子育て支援」の実施自治体からの研修要請を受け、研修の際の資料として手引書を活用し、ソーシャル・キャピタルの内容について説明を行い、母子保健システムに地方の文化や歴史等、特性に応じたソーシャル・キャピタルの醸成に向けたしくみづくりを取り入れる考え方や方法について研修会、検討会で活用していく。
結論
本研究により明らかとなったソーシャル・キャピタル形成を活用した産前産後ケア拠点施設づくりの展開は、1.地域課題の共有、目的の共有、2.役割の認識、3.協働事業の展開、4.困難な状況の遭遇と省察、5.持続的発展、の5ステップであった。そして、この5つのステップは決して一方向に段階的に動くのではなく、螺旋を描くように前進後退を繰り返すことが明らになった。
これらの結果から、拠点施設(産前産後ケアセンター)のソーシャル・キャピタル形成に果たす役割を基に、産前産後ケアセンターに焦点をあてた健康なまちづくりのためのソーシャル・キャピタル形成のための手引書を作成した。
住民のニーズに加えて、自治体と住民が協働で、地域の社会資源を発掘・有効利用し、地方主権による独自のソーシャル・キャピタル形成を踏まえた母子保健政策を進めていく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2016-06-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201429004B
報告書区分
総合
研究課題名
健康なまちづくりのためのソーシャル・キャピタル形成手法を活用した介入実証と評価に関する研究
課題番号
H25-健危-一般-003
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
福島 富士子(東邦大学 看護学部看護学科家族・生殖看護学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 平野 かよ子(長崎県立大学)
  • 尾島 俊之(浜松歯科大学 健康社会医学講座)
  • 信友 浩一(信友ムラ事務所)
  • 児玉 知子(あんずクリニック)
  • 斎籐 益子(帝京科学大学)
  • 待鳥 美光(NPO法人こども・みらい・わこう)
  • 米澤 純子(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 川崎 千恵(国立保健医療科学院 生涯健康研究部)
  • 大澤 絵里(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は健康なまちづくりの実現に向け、地域の母子保健の課題の一つである産前産
後ケアに着目し、地域での産み育てに関わるソーシャル・キャピタル形成
手法を活用した介入実証を行うことにある。
また、先行事例や海外事例を参考にソーシャル・キャピタル形成のために必要な環境や体制づくり、行政に求められる役割を明らかにするとともに、地域特性から見る産前産後ケアのあり方に関す
る類型化・標準化に向けた評価を行う。
こうした一連の介入を通じて、産前産後ケアセンター創設のための展開のプロセスの評価と、産後ケアセンターがソーシャル・キャピタル形成に果たす役割を明らかする。さらに各地域の特色を考慮したソーシャル・キャピタル形成のための手引書の作成と人材育のためのプログラムの開発を行う。
研究方法
本研究の1年目にあたる平成25年度は、『1)先行モデル事業の評価・分析』と『2)自治体が計画する産前産後ケア拠点施設計画への介入実証』を行った。
その結果、地域の母子保健の課題解決のために設立された産前産後ケアセンターには、1.安心して子育てできる支援ネットワークの構築、2.地域のソーシャル・キャピタルの醸成、の2つの機能があることが分かった。
次年度の本年平成26年度は、さいたま市、枚方市、浦安市の3箇所にソーシャル・キャピタル形成を視野に入れた産後ケア事業の展開についての研修会を行った。
海外における事例のヒアリング、また政策についての情報収集をもとに、上記草案に関する再度検討、精査を行った。研究結果を踏まえて、各地域の特色を考慮したソーシャル・キャピタル形成のための手引書の作成にあたった。
結果と考察
研究により、地方主権による独自のソーシャル・キャピタル醸成を踏まえた母子保健政策を進めていく必要があると考えられた。この政策提言は平成26年11月に全国町村会から出された「地方創生の推進に関する提言」の中にも取り入れられた。今後は全国の都道府県および市町村に対して、必要に応じ報告書及び手引書を送付し、活用を促していく。国で始まった「切れ目のない妊娠・出産・子育て支援」の実施自治体からの研修要請を受け、研修の際の資料として手引書を活用し、ソーシャル・キャピタルの内容について説明を行う。母子保健システムに地方の文化や歴史等、特性に応じたソーシャル・キャピタルの醸成に向けたしくみづくりを取り入れる考え方や方法について研修会、検討会で活用していく。
結論
本研究により明らかとなったソーシャル・キャピタル形成を活用した産前産後ケア拠点施設づくりの展開は、1.地域課題の共有、目的の共有、2.役割の認識、3.協働事業の展開、4.困難な状況の遭遇と省察、5.持続的発展、の5ステップであった。そして、この5つのステップは決して一方向に段階的に動くのではなく、螺旋を描くように前進後退を繰り返すことが明らになった。
加えて重要な要素は以下の5点である。
1.母子の愛着形成をサポートする 2.生活モデルに基づいたケアであること 3.妊娠・出産・産後・子育ての切れ目ない支援の必要性 4.専門職である助産師を拠点に配置すること 5.ソーシャル・キャピタル醸成を図る拠点であること であった。
これらの結果から、拠点施設(産前産後ケアセンター)のソーシャル・キャピタル形成に果たす役割を基に、産前産後ケアセンターに焦点をあてた健康なまちづくりのためのソーシャル・キャピタル形成のための手引書を作成した。
住民のニーズに加えて、自治体と住民が協働で、地域の社会資源を発掘・有効利用し、地方主権による独自のソーシャル・キャピタル形成を踏まえた母子保健政策を進めていく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2017-09-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201429004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
母子保健にソーシャル・キャピタルの原理を導入した点は独創的であることと、フィールドでの研修の実施等、実践的で効果的な介入手法の提案ができたこと。また、各地域の特色を考慮したソーシャル・キャピタル形成のための手引書を完成させた。全国にソーシャル・キャピタル醸成を視野に入れた「切れ目のない妊娠出産・母子保健政策、子育て世代包括支援事業」を広げていくことを示唆した。
臨床的観点からの成果
医療と地域の連携を図るための臨床医を対象とした研修を開催。病院勤務の医師および看護職員の研修。意見交換会を行い、臨床サイドへのソーシャル・キャピタルの理解を深めた。
ガイドライン等の開発
平成29年度に出されたガイドライン「子育て世代包括支援センター」「産前産後サポーター事業」「産後ケア事業」に関するガイドライン作成に関与し、当研究の結果を反映させた。

その他行政的観点からの成果
高知県、世田谷区新たに品川区、文京区、三重県、北海道、東海市、秦野市、浦安市の行政職員に向けた研修会での講師およびアドバイザーとして招聘されて、29年度から30年度にかけて研究結果を還元している。
その他のインパクト
朝日新聞、日本経済新聞、文化放送、
厚生労働省主催の保健師対象のブロック研修、保健所長会での公演等

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
2件
2015.1月間地域保健46(1)妊娠・出産・子育ての切れ目ない支援 2015.02.15医学書院 政策につながる看護研究の実践
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
2件
2014.11第73回日本公衆衛生学会総会 2015.12第74回日本公衆衛生学会総会
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
平成26年11月に全国町村会から出された「地方創生の推進に関する提言」に取り入れられた。
その他成果(普及・啓発活動)
17件
2014.09.14子育て支援研究セミナー講演2014.09.16人口減少対策に関する有識者懇談会 メディアでの普及。県や市区の行政への研修。

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2016-06-09
更新日
2018-06-19

収支報告書

文献番号
201429004Z