文献情報
文献番号
201428018A
報告書区分
総括
研究課題名
新規の安全性評価試験法を国際的なガイドラインにするための手法に関する研究
課題番号
H24-化学-指定-008
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
西川 秋佳(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 小島 肇(国立医薬品食品衛生研究所 薬理部新規試験法評価室)
- 小野 敦(国立医薬品食品衛生研究所 総合評価研究室)
- 本間 正充(国立医薬品食品衛生研究所 変異遺伝部)
- 森田 健(国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部第四室)
- 山影 康次(一般社団法人食品薬品安全センター 秦野研究所)
- 林 真(公益財団法人 食品農医薬品安全性評価センター)
- 一鬼 勉(一般社団法 日本化学工業協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
15,722,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、我が国で開発された化学物質の安全性評価試験法について、開発、バリデーションおよび第三者評価を通して試験法ガイドライン(TG)案をOECDに提出することを目標とし、その過程において日本におけるTG提案システムを構築することを目的とした。特に、第三者評価について、国際的に認められる手法を確立することに主眼をおいた。
研究方法
in vivoコメットアッセイは、バリデーションが実施され、プロトコールが固められ、施設内・施設間再現性が確認され、合計40の被験物質について予測性が検討された。
形質転換試験Bhas42アッセイ(Bhas法)は、バリデーションが終了し、欧州動物実験代替法センター科学諮問会議(ESAC)における第三者評価を経て、OECDにおいてTGまたはガイダンス文書(GD)案に関して議論された。
皮膚感作性試験h-CLATは、EURL ECVAMでバリデーションが実施され、日本の統計学者がデータ解析を行った。ESACによる第三者評価が実施され、並行してTG案が作成された。
眼刺激性試験 短時間曝露法(STE法)は、予測性を検討する追加バリデーションが実施され、ICCVAMによる第三者評価を経て、OECDによるTG案の協議が進められた。
ER STTA法によるアンタゴニスト試験法についてはバリデーションが終了し、TG修正案をOECDに再提出した。
AR STTA法については、測定化合物数が少ないことから、OECDの協力を得て測定化合物を追加選定し、追加バリデーションを実施した。
工業用ナノ物質のin vitro遺伝毒性評価に関するGD作成に携わった。また、TG 473、TG 474、TG 475及びTG 487について、改訂内容に関する調査を行った。
肝小核では肝細胞を、骨髄小核では幼若赤血球を、胃腸管小核では損傷のない上皮細胞をそれぞれ2000個観察し、小核を有する細胞を計数した。
Bhas42形質転換試験ハイスループット法では、96ウェルプレートにBhas 42細胞を播種した。培養終了後、過酸化水素で処理し、マイクロプレートリーダーで生細胞率を求めた。その後、ギムザ染色し、形質転換巣の有無を判定した。
形質転換試験Bhas42アッセイ(Bhas法)は、バリデーションが終了し、欧州動物実験代替法センター科学諮問会議(ESAC)における第三者評価を経て、OECDにおいてTGまたはガイダンス文書(GD)案に関して議論された。
皮膚感作性試験h-CLATは、EURL ECVAMでバリデーションが実施され、日本の統計学者がデータ解析を行った。ESACによる第三者評価が実施され、並行してTG案が作成された。
眼刺激性試験 短時間曝露法(STE法)は、予測性を検討する追加バリデーションが実施され、ICCVAMによる第三者評価を経て、OECDによるTG案の協議が進められた。
ER STTA法によるアンタゴニスト試験法についてはバリデーションが終了し、TG修正案をOECDに再提出した。
AR STTA法については、測定化合物数が少ないことから、OECDの協力を得て測定化合物を追加選定し、追加バリデーションを実施した。
工業用ナノ物質のin vitro遺伝毒性評価に関するGD作成に携わった。また、TG 473、TG 474、TG 475及びTG 487について、改訂内容に関する調査を行った。
肝小核では肝細胞を、骨髄小核では幼若赤血球を、胃腸管小核では損傷のない上皮細胞をそれぞれ2000個観察し、小核を有する細胞を計数した。
Bhas42形質転換試験ハイスループット法では、96ウェルプレートにBhas 42細胞を播種した。培養終了後、過酸化水素で処理し、マイクロプレートリーダーで生細胞率を求めた。その後、ギムザ染色し、形質転換巣の有無を判定した。
結果と考察
in vivoコメットアッセイ: 日本からのTG案は、種々の条件(性差、匹数、観察細胞数など)が追加された上で、平成26年のOECDにおいてTG489として承認された。
形質転換試験(Bhas法): 類似法であるSHEアッセイがTGではなく、GDとなることが決まったため、Bhas法のGD案をOECDに提出した。
皮膚感作性試験(h-CLAT): 日本の専門家が作成しEURL ECVAMが修正したTG案について、日欧の統計家で施設間再現性を統計解析により解決する手段を検討したのち、改訂TG案をOECDに提出した。
眼刺激性試験 短時間曝露法(STE法): 改訂版がOECDにおいて承認され、WNT会議でTG案の最終検討されることになった。
ER STTA法: ER STTAアンタゴニスト試験法を定性的評価系としてTG化する方針についてOECD で合意された。
AR STTA法: バリデーションを実施した結果、非常に再現性(施設内、施設間とも)の良い結果が得られたことにより、本試験系の信頼性・再現性が確認された。
in vitroコメットアッセイ: ナノ物質を現行の遺伝毒性試験に適用するための情報が不足していることが認識されたため、国際共同研究(ring trial)を行い、方法の標準化を目指すことになった。
多臓器小核試験: DENにより肝小核が用量依存的に増加した。遺伝毒性発がん物質14物質中12物質が陽性で、肝臓を標的としない遺伝毒性発がん物質6物質中4物質は陰性であった。反復投与胃腸管小核試験では、試験した5物質全てが両投与期間で同じ結果(陽性/陰性)を示した。
Bhas42形質転換試験ハイスループット法: 観察法および吸光度法の結果を比較すると、発がん物質の検出率は観察法では88%、吸光度法では82%であった。非発がん物質の検出率は観察法では67%、吸光度法では44%であった。
形質転換試験(Bhas法): 類似法であるSHEアッセイがTGではなく、GDとなることが決まったため、Bhas法のGD案をOECDに提出した。
皮膚感作性試験(h-CLAT): 日本の専門家が作成しEURL ECVAMが修正したTG案について、日欧の統計家で施設間再現性を統計解析により解決する手段を検討したのち、改訂TG案をOECDに提出した。
眼刺激性試験 短時間曝露法(STE法): 改訂版がOECDにおいて承認され、WNT会議でTG案の最終検討されることになった。
ER STTA法: ER STTAアンタゴニスト試験法を定性的評価系としてTG化する方針についてOECD で合意された。
AR STTA法: バリデーションを実施した結果、非常に再現性(施設内、施設間とも)の良い結果が得られたことにより、本試験系の信頼性・再現性が確認された。
in vitroコメットアッセイ: ナノ物質を現行の遺伝毒性試験に適用するための情報が不足していることが認識されたため、国際共同研究(ring trial)を行い、方法の標準化を目指すことになった。
多臓器小核試験: DENにより肝小核が用量依存的に増加した。遺伝毒性発がん物質14物質中12物質が陽性で、肝臓を標的としない遺伝毒性発がん物質6物質中4物質は陰性であった。反復投与胃腸管小核試験では、試験した5物質全てが両投与期間で同じ結果(陽性/陰性)を示した。
Bhas42形質転換試験ハイスループット法: 観察法および吸光度法の結果を比較すると、発がん物質の検出率は観察法では88%、吸光度法では82%であった。非発がん物質の検出率は観察法では67%、吸光度法では44%であった。
結論
in vivoコメットアッセイをOECD TG489として成立させた。ER-STTA法、h-CLAT法、Bhas法およびSTE法については、TG案の検討を進め次年度の成立を目指している。肝小核試験、胃小核試験およびBhas法のハイスループット化については、プロトコールを開発し論文を作成した。AR-STTA法については、追加バリデーションを終了した。工業用ナノ物質in vitro小核試験の国際共同研究に加わった。
公開日・更新日
公開日
2015-08-21
更新日
-