薬剤師が担うチーム医療と地域医療の調査とアウトカムの評価研究

文献情報

文献番号
201427050A
報告書区分
総括
研究課題名
薬剤師が担うチーム医療と地域医療の調査とアウトカムの評価研究
課題番号
H25-医薬-指定-025
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
安原 眞人(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科薬物動態学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木 均(長崎大学病院)
  • 長谷川 洋一(名城大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
4,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
少子超高齢化社会における医療提供体制の再構築が求められる中で、チーム医療の進展や地域医療の拡充に向けて、薬剤師の担う役割を明確にし、求められる専門性を活かすための実践的方法論を確立する。
研究方法
日本医療薬学会を中心として日本病院薬剤師会ならびに日本薬剤師会との連携のもとに、二つの分担研究班を組織した。
チーム医療研究班では、以下の事例収集を行った。①医師、薬剤師等で事前に作成・合意されたプロトコールに基づき、医師・看護師と協働して薬剤の種類、投与量、投与方法、投与間隔の変更や検査のオーダーを実施、②薬剤選択、投与量、投与方法、投与期間等について積極的な処方の提案、③薬物療法を受けている患者に対する薬学的管理(患者の副作用の状況の把握、服薬指導等)、④薬物の血中濃度や副作用のモニタリング等に基づき、副作用の発現状況や有効性の確認を行うとともに、薬剤の変更等を医師に提案、⑤薬物療法の経過等を確認した上で、前回処方と同一内容の処方を医師に提案、⑥入院患者の持参薬の確認・管理、⑦外来化学療法を受けている患者に対するインフォームドコンセントへの参画及び薬学的管理(薬剤師外来)。これらの事例について、医師の負担軽減、患者への安心・安全な医療提供に結び付くチーム医療への薬剤師の貢献について定量的な評価・解析を加えた。在宅医療・かかりつけ薬局推進研究班では、薬局における健康情報等の提供状況や要指導医薬品・一般用医薬品等の取扱状況の実態を調査し、健康情報拠点としての薬局のあり方について検討した。公益社団法人日本薬剤師会のセルフメディケーション・サポート薬局(969件)及び保険調剤・サポート薬局(1,023件)の計1,982件を母集団として、計1,000件(セルフメディケーション500件、保険調剤500件)を無作為抽出して調査対象とし、対象薬局の開設者又は管理薬剤師による自記式アンケート調査票を郵送し、FAX回収した。
結果と考察
1.チーム医療推進分担研究班(分担研究者:佐々木均):
研究班では、特にプロトコールに基づく薬物治療管理、PBPMにフォーカスを絞り、チーム医療によるアウトカム評価、薬剤師がチーム医療にかかわることによりどのようなアウトカムが得られるのか、医療の質の向上、安全性の改善、経済性、医療従事者の負担軽減など、科学的・客観的なアウトカム評価を試みた。その結果、6つの先進事例を選び、平成27年2月22日に開催したシンポジウムにおいてその活動を具体的に報告し、チーム医療における薬剤師の役割について総合的に考察した。
2.在宅医療・かかりつけ薬局推進分担研究班(分担研究者:長谷川洋一):
薬局における健康情報等の提供状況や、要指導医薬品・一般用医薬品等の取扱状況等に関するアンケート調査の回収率は50%であった。回答薬局の1施設当たり薬剤師数は2人以上3人未満が30.8%と最も多く、平均値は3.5人、中央値は2.5人であった。1施設当たり1カ月間の処方箋受付回数は1~500回が22%と最も多く、次いで501~1000回が19.4%であった(平均値1459.3回、中央値1173.5回)。薬局利用者の生活習慣全般に関係る相談対応の過去半年間の実績は「ある」が70%、「ない」が25%であった。要指導医薬品及び一般用医薬品の取扱い品目数は1~50品目が35.8%と最も多く、次いで51~100品目が15.8%であった(平均値173.4品目、中央値72品目)。前年度に取り纏めた「薬局の求められる機能とあるべき姿」の報告書と本アンケート調査結果に基づき、健康情報拠点としての薬局の機能と、具体的に薬局に求められる構造・設備等の要件、医薬品・衛生材料等の供給体制、薬剤師の資質、健康相談・健康づくり支援、かかりつけ薬局としての機能、地域における連携体制の構築、その他について考察した。

結論
薬剤師が担うプロトコールに基づく薬物治療管理の実践は、医療の質の向上、安全性の改善、薬剤費の削減、医師・看護師の負担軽減などを通して、患者と医療者の両者にメリットがあることが示された。
健康情報拠点としての薬局の基本的な機能には次の3点が挙げられる。
・調剤による薬剤の提供はもとより、要指導医薬品・一般用医薬品等の適正な使用に関する助言や健康に関する相談、情報提供を積極的に行う。
・かかりつけ医を中心とした多職種連携の中で地域に密着した健康情報の拠点としての機能を果たす。
・国民の病気の予防や健康づくりに貢献している。

公開日・更新日

公開日
2018-02-22
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-06-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201427050Z