小児医薬品の早期実用化に資するレギュラトリーサイエンス研究

文献情報

文献番号
201427048A
報告書区分
総括
研究課題名
小児医薬品の早期実用化に資するレギュラトリーサイエンス研究
課題番号
H25-医薬-指定-013
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
中村 秀文(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 臨床研究開発センター 開発企画部)
研究分担者(所属機関)
  • 中川 雅生(医療法人 啓信会 京都きづ川病院)
  • 石川 洋一(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 薬剤部)
  • 矢野 育子(京都大学大学院 薬学研究科)
  • 森 雅亮(公立大学法人 横浜市立大学 市民総合医療センター 小児科)
  • 平野 慎也(地方独立行政法人 大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター 新生児科)
  • 松井 健志(独立行政法人国立循環器病研究センター 研究開発基盤センター)
  • 尾崎 雅弘(ユーシービージャパン株式会社 開発本部 薬事部 日本製薬工業協会)
  • 秋山 裕一(協和発酵キリン株式会社 営業本部  マーケティング部 腎領域グループ 日本製薬工業協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国内外における取り組み・現状などを参考に,小児科領域の医薬品開発・評価研究者と日本製薬工業協会代表を研究分担者とし,PMDA等からも研究協力者・オブザーバーを迎え,小児医薬品の早期実用化のための方法論・方策の検討を行う.
研究方法
今年度は,各研究分担テーマごとに,その国内外の現状・取り組みについて情報収集を継続し,特に新しい取り組み・方法論とそのメリットや限界などについて検討し,課題や提言案の検討を行った.
結果と考察
中川は,中村,石川と共に平成26年3月にEMA,イギリス小児臨床試験ネットワーク本部及びロンドン大学薬学部を訪問し,最新の状況とそれを支えるインフラについて把握し,関係者との意見交換を行った.EUをモデルに,本邦における小児用医薬品開発の必要性を検討するための枠組み作り,人材育成や臨床試験の体制整備,企業が必要とするインセンティブ等について具体的な検討を進めた.さらに,実現化に向けた具体的な取り組み方や要望事項について関係者から意見を求めた.
石川は,平成26年3月の欧州視察において,小児剤形検討に関する取り組みや,イギリスにおける小児剤形への対応の最新情報を把握し,専門家との意見交換を行った.また平成26年10月には,デュッセルドルフ大学のブライトクロイツ教授及び製薬協の関係者と小児剤形開発についての意見交換を行った.さらに研究協力者である鵜飼と連携して,製薬協加盟企業との「小児剤形についての意見交換」を開始し,アンケート調査を実施し,鵜飼は製薬協の製剤研究部会にてその結果を紹介し意見交換を行った.またジェネリック製薬企業からの情報収集も行った.
矢野は小児臨床試験におけるModel and Simulationの利用法について,国内外の規制当局の対応や実際の申請事例の現状について調査し,リフレクションペーパー「小児領域の医薬品開発におけるファーマコメトリクスの活用について」の内容を研究協力者と議論し,原案を作成した.またこの作業の一環として平成26年10月には,アメリカにおける小児臨床試験ネットワークの活動について調査・意見交換するために,活動の中心となっているDuke大学と,Pharmacometric Coreであるカリフォルニア大学サンディエゴ校を,中村及び研究協力者の福田,庄司とともに視察した.
森は,本邦で承認された4バイオ医薬品について,開発承認までの国内・国外もしくは,海外・国内の時間的差異について検討した.さらに,来年度の目標である提言作成に向けて,関連学会から意見聴取し基礎データの作成を行った.特に「レジストリー」と「センター化」が重要なキーワードであると考えられた.
平野は,海外での新生児臨床試験の状況を調査し,また国内で今まで行われた新生児での治験での問題点を医師の視点,企業の視点より整理した.また,我が国の総合周産期母子医療センターにおける治験実施体制及び整備状況調査を行った.また平成27年3月には,中村と共に米国Neonatal Research Network と新生児医薬品開発の状況について把握するためにNIH FDA デューク大学を視察し情報収集・意見交換を行った.これらを踏まえて,リフレクションペーパーを纏める予定である.
松井は,小児対象研究に特有と考えられる倫理的課題および対応策について検討を行い,小児の問題を考える上での前提となる「弱者性(vulnerability)」について理論的検討を行った.さらに,倫理ガイドラインのたたき台案の骨子作りに着手し,平成27年度前半を目標に倫理ガイドライン案の全体像を完成する予定である.
尾崎と秋山は,平成24,25年に小児の承認を取得した医薬品について,承認審査情報より臨床データパッケージを調査し,平成24年度に提案した日本版DECISION TREEに基づきどのパターンに該当するかを検討した.また他の研究分担班の活動に参加し,製薬企業からの情報・意見を提示した.
中村は,これらの分担作業のすべてを総括し,適宜実質的な検討・視察・意見交換にも参加した.また研究班の活動・検討内容について,平成26年10月3日に日本小児臨床薬理学会学術集会で発表し,また12月5日の日本臨床薬理学会学術集会では,座長としてシンポジウムを企画し,本研究班の検討の中間結果について研究分担者が発表を行った.平成27年度には,それぞれの検討分野についてリフレクションペーパー案を完成し,関係者に意見聴取を行ったうえで,内容を確定する予定である.
結論
平成26年度は,各研究分担テーマごとにリフレクションペーパー案作成のための情報収集,骨子の検討を行った,平成27年度には案を作成し,関連学会等から意見聴取の上で,公表する予定である.

公開日・更新日

公開日
2015-06-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201427048Z