後発医薬品の同等性ガイドラインにおける試験方法の改正に関する研究

文献情報

文献番号
201427045A
報告書区分
総括
研究課題名
後発医薬品の同等性ガイドラインにおける試験方法の改正に関する研究
課題番号
H25-医薬-指定-009
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
四方田 千佳子(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
研究分担者(所属機関)
  • 川上  亘作(独立行政法人物質材料研究機構)
  • 柴田  寛子(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
  • 吉田  寛幸(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
  • 緒方  宏泰(一般社団法人日本ジェネリック医薬品学会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
3,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
生物学的同等性試験は製剤の臨床効果の同等性を保証しうる試験として大きな役割を果たしているが、国際的な動きや,製剤の多様化につれて、新たな手法や考え方を取り込んでいく必要がある。本研究では、生物学的同試験ガイドラインの改定を念頭に、国際的なガイドラインの動向を探ると共に,過飽和型経口製剤,長期徐放性注射製剤,吸入製剤などの評価方法の検討, BCSやIVIVCの我が国における活用に関する検討、異なる結晶形の原薬を経口固形製剤に用いる場合に必要となるデータ等を検討した。
研究方法
過飽和型経口製剤では,結晶化度はX線回折,示差操作熱量測定(DSC)により,過飽和状態を形成する非晶質製剤の経口吸収性をフロースルーセル法による溶出試験により評価した.長期徐放性注射製剤では,ポリ乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)の分子量をELSDを検出器とするGPCにより測定し,放出率は経時的に残存量を測定した。吸入製剤では,吸入剤投与時の血中薬物濃度は、GastroPlus Optional modules (Nasal pulmonary dosage routes)を用いて解析した。生物学的同等性試験ガイドライン,IVIVC。異なる結晶形を用いる経口固形製剤において必要とされるデータ等の検討では,諸外国のガイドラインを精査し,我が国の進むべき方向性を検討した。
結果と考察
過飽和型経口製剤では,リトナビル(RTV)とロピナビル(LPV)をPVPとともに内相に封入し、外相をオイドラギットL-100としてESD粒子を調製したところ、いずれの薬物も再現性よく完全に非晶化することが、XRPDおよびDSC測定より確認された。フロースルーセル法によるESD粒子の溶出試験では、膜透過性が高い薬物であれば、生体内では再析出の前に吸収が進行するために、溶出試験ではそれに注目すれば、過飽和状態を形成する非晶質製剤の経口吸収性予測に有用である可能性が示された。膜透過性が低いLPVの場合は溶質成分に注目するのが適切であると考えられた。
 長期徐放性注射製剤では,薬物放出挙動とPLGAポリマー分子量は相関性が示されなかった。先発製剤では,初期バーストと緩やかな放出に続いて、比較的速い放出と、およそ3つの放出期が観察されたが,後発製剤では初期放出の後は明確な0次の放出相が観察され,放出率も5-10%程度高かった。
吸入剤では,血中薬物動態の予測解析では、ソフトウェアのデフォルト値をもとに、10製剤の吸入後の血中薬物濃度予測解析を行なった。予測値と引用実測値を比較したところ、ステロイド薬であるパルミコート、キュバールおよびフルタイドの3製剤において、寄与率がいずれも0.7以上となり、良好な血中濃度予測が可能であったが,2刺激薬のメプチン、抗コリン薬のシーブリ、ステロイド薬のアズマネックス、抗インフルエンザ薬のリレンザでは、予測値の最高血中濃度(Cmax)が引用実測値よりも高くなる傾向にあり、寄与率も0.5程度と、比較的予測精度が低かった。 
後発医薬品等の生物学的同等性評価のあり方に関する研究では,FDAのBCS Biowaiverのガイドライン改訂案を概説し,我が国においても,即放性経口固形製剤については、BCSクラス1及び3の医薬品では,BE試験免除が可能と考えるが,クラス3の医薬品については、添加物が膜透過性に与える影響につき検討が必要である。食後投与のBE試験の要否に関しては、即放性製剤及び腸溶性製剤については、用法として食後投与が推奨される医薬品や、食事条件により溶出性の変動を起こしやすい特殊製剤の場合には、追加検討することが適切である。
IVIVCの活用に関する検討では, EMAの経口徐放性製剤の品質に関するガイドラインにおけるIVIVC活用について精査し,製品変更時の必要要件は、変更の程度、レベルAのIVIVCの確立の有無、溶出試験方法/規格値の変更の有無に依存していた。
経口固形製剤に異なる結晶形を用いる場合の要求事項に関しては,特に提示されることが望ましい情報について,原薬の結晶形特性に応じて文書化を試みた。
結論
本研究では、難溶性薬物の経口固形製剤,長期徐放性注射製剤,吸入剤などの特殊な製剤に関する品質評価方法に関して有用な知見を得た。また,我が国の生物学的同等性試験ガイドラインに関して,国際的な動向を捉えつつ検討を行い,ガイドラインのグローバル化に向け一定の方向性を示した。

公開日・更新日

公開日
2015-06-12
更新日
-

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収支報告書

文献番号
201427045Z