治験活性化に資するGCPの運用等に関する研究

文献情報

文献番号
201427043A
報告書区分
総括
研究課題名
治験活性化に資するGCPの運用等に関する研究
課題番号
H25-医薬-指定-007
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
渡邉 裕司(浜松医科大学 医学部臨床薬理学)
研究分担者(所属機関)
  • 楠岡 英雄((独)国立病院機構 大阪医療センター)
  • 花岡 英紀(千葉大学医学部附属病院 臨床試験部)
  • 熊谷 雄治(北里大学医学部附属病院 臨床研究センター)
  • 宮崎 生子((独)医薬品医療機器総合機構)
  • 大津  敦((独)国立がん研究センター 早期・探索臨床研究センター)
  • 小池 竜司(東京医科歯科大学医学部附属病院 臨床試験管理センター)
  • 今村 知世(慶應義塾大学医学部)
  • 笠井 宏委(京都大学医学部附属病院 臨床研究総合センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
4,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医師主導治験等が我が国で定着する対策を提案するとともに、医師が実施した臨床試験データを企業が引き継ぎ、治験データとして有効に活用する等、産官学の連携により革新的医薬品創出を促す臨床試験・治験実施体制を提言する。また、海外の規制当局との連携等により国際的な整合性を図りながら、被験者の安全性やデータの信頼性を確保し効率的な治験実施体制を整備するため、現状の問題点を抽出し、その解決策を提案する。
研究方法
平成26年度は3年間の研究期間の中間年度研究として、以下の項目について調査研究を実施した。
(1) グローバルな視点に立った臨床試験・治験の人材育成に関する研究
・医学系、薬学系、看護系、臨床検査系大学での臨床試験に関する教育の実態調査
・臨床研究・治験に従事する責任医師・分担医師の要件
・海外における臨床試験の人材育成に関する研究
(2) ICH-GCP水準を担保する臨床試験体制整備と規制対応
・臨床試験のモニタリングと監査のあり方に関する研究
・海外規制当局との連携について
・医師主導治験におけるリスクに関する研究
・医療機関における被験者健康被害補償のあり方に関する研究
・治験の安全性情報の伝達・共有に関する研究
・早期臨床試験に参加する健康成人被験者の意識調査
・医師主導臨床試験の資金調達と拠点病院での支援体制・資金調達実態調査
(3) 効率的な医師主導治験等の実施の検討
・治験関連文書の電磁的取り扱い
・電磁的記録の効率的運用-データ抽出システムのバリデーションによるSDVの簡略化
・共同IRB等利用の実態調査
結果と考察
【グローバルな視点に立った臨床試験・治験の人材育成に関する研究】
医療系大学を対象としたアンケート調査では、409校中244校より回答が得られた。「研究倫理や規定」に関する教育は、いずれの学部においてもほぼ実施されていた。臨床試験・治験、医薬品・医療機器の開発に関する教育には学部間差が認められ、大学では薬学系にて、大学院では医学系にて積極的に行われていた。
医療機関を対象にした調査では、期間中に111件の回答を得た。治験における責任医師・分担医師の要件を定めている施設は77施設であった。臨床研究主任研究者に求められる要件は、人材養成の到達目標となるものであり今後、他の厚生労働省研究班とも連携し、この項目に基づきテキストやe-learningのコンテンツの構成を目指していく。
【ICH-GCP水準を担保する臨床試験体制整備と規制対応】
『臨床試験のモニタリングと監査に関するガイドライン』を大学病院臨床試験アライアンスと共同して作成した。臨床試験におけるモニタリングおよび監査は、被験者保護と臨床試験の品質の確保のために重要であり、その効率的な計画が臨床試験の成功に必要である。またこの成果は企業治験の効率化や活性化に繋がることが期待される。
医師主導治験では、スタッフの雇用条件の不一致による人材の流出、必要な業務スキルの体系化や共有化の困難さ、教育機会の制限・制約が、以前より問題視されている。環境の改善や治験運用に関連するスタッフ間および部署間のミスコミュニケーションを防ぐことが、効果性と効率性の改善に大きく寄与する可能性が示唆された。
さらに医師主導治験における最も高いリスクは、コストに関連しており、限られた公的研究費ですべての医師主導治験経費を賄うのは困難な現状が明らかとなった。今後、①資金受け入れの透明化、②COIの慎重な管理を前提とした上で、積極的な外部資金獲得が求められる。
海外規制当局との連携については、EMAが主催するEU GCP IWGを通じて欧州各国規制当局にアンケート調査を実施した。30か国中11か国からの回答には、違いは散見されたものの、GCP実務に関しては欧州各国と日本でほぼ同様の結果であることが判明した。
【効率的な医師主導治験等の実施の検討】
治験作業の電子化は、施設により着手した範囲の差や設備投資等により、大きな隔たりがあった。施設における治験実施数等を踏まえ、施設にとって効果的な電子化の方法や範囲を検討する必要がある。また共同IRB等の活用を促進するためには、利用可能な共同IRB等を容易に探すことができるよう検索サイト等の環境整備も必要と考えられた。
結論
米国では新薬の中でアカデミア発シーズの割合が半数近くを占めるが、日本ではその率は極めて低い。今後、アカデミア創薬を活性化させることが医療イノベーションを実現させるためにも極めて重要であり、医師主導治験等の環境整備は喫緊の課題となる。

公開日・更新日

公開日
2015-06-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2015-06-25
更新日
-

収支報告書

文献番号
201427043Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,750,000円
(2)補助金確定額
4,750,010円
差引額 [(1)-(2)]
-10円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,865,490円
人件費・謝金 140,805円
旅費 1,881,830円
その他 861,885円
間接経費 0円
合計 4,750,010円

備考

備考
補助金交付額と補助金確定額に10円の差異があるが、分担研究者より10円は自己資金で支弁したと報告を受けている。

公開日・更新日

公開日
2015-06-25
更新日
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