薬害に関する資料等の調査・管理・活用等に関する研究

文献情報

文献番号
201427039A
報告書区分
総括
研究課題名
薬害に関する資料等の調査・管理・活用等に関する研究
課題番号
H25-医薬-指定-003
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
金 慶南(キム ギョンナム)(法政大学 大原社会問題研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
2,700,000円
研究者交替、所属機関変更
なし

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品等による薬害事件は、その発生以降の年月が経過するにつれて、被害者やその家族の高齢化が進み、事件に関わる貴重な資料群は、適切な管理・保存がなされないままに散逸し失われてしまう恐れがまさに高くなっている。そのため、被害者個人や団体が所有している資料等の保存状況について、速やかに調査を行い、資料等を統一的・体系的に分類・整理・保管するための手法を検討し、実践することが求められた。それにより資料の滅失を防ぎ、今後、薬害に関する啓発や教育、研究等への効果的な利用を促すと共に、被害者対策への検討材料としても有効活用され、加えて国民の医薬品等の安全対策への認識の向上、薬害の再発防止にも寄与することが、目的とされた。当研究は、2年間の研究計画である。1年目は、薬害被害とそれに対する支援運動がさまざまな場所で起こった過程の中で、蓄積された資料の現状を把握することを目指した。2年目は、現場の記録を体系的に分類・整理・管理する方法の構築を目的として、推進してきた。
研究方法
研究方法は、記録管理学的な観点からアプローチした。記録には作成・活用・廃棄あるいは保存というライフサイクルがある。すなわち、各個人・団体では、目的を達成するため、起案、議論、決定・決済が行われ、その過程で文書・視聴覚資料等が作成される。それらはプロジェクト終了後、永久保存または廃棄となる。記録管理学的な視点で見ると、<歴史的に価値がある記録/証拠となる記録/業務上後年の事業に活かす過去の記録>は、評価・選別作業・目録記述を経て永久保存となる。この歴史的・証拠的・業務的価値のある記録がどのような内容でどのくらいの量を保有しているか、調査が必要となる。調査方法としては、活動の流れに沿ったインタビュー調査、現状調査を行った。現状調査では、ファイリングの状態、レイアウト図、保存量計測、形態別調査、デジタル化有無、機密文書の管理状況などを観察し、保存の概要を把握した。当研究は、薬害に関する貴重な資料を体系的に管理・保存する目的のため、2013年度に薬害被害関連10団体の記録管理状況の概要調査報告と仮マニュアルを作成した。2014年度は、各現場を訪ね「記録管理の手引き・マニュアル」に基づき、目録作成・評価・選別・保存方法などに関する指導を行なった。
結果と考察
2013年度において、すでに作業人員・資金・保存書架など資料整理体制が整い、目録化・電子化まで進んでいる団体もある一方で、資料が放置されたままの団体も見受けられ、ギャップが大きいと感じられた。さらに薬害被害者団体の資料は、個人情報など機密管理を要する資料が多いため、記録を管理する際には十分注意を払う必要がある。調査では、まずインタビューから開始し、活動の経緯に従ってどのような資料が蓄積されてきたかについて、綿密な聞取り調査を行い、インタビューフォーマットに従い、現場で保存されている資料群を観察し、記録した。資料の種類別の資料量、資料保存・整理状況の全体的・体系的状況を把握しながら、それぞれの団体が抱える課題を明確化した。さらに、紙資料の保存や整理方法などについて、団体ごとに提案した。調査・聞取りに協力して頂く過程で、資料所蔵者の保存・整理に対する意識が徐々に向上していく姿も見受けられた。
結論
現在、運動中の団体の資料においては、記録管理に対する専門的知識の不足、人件費、スペ―スの確保等の課題があり、体系的な資料保存は難しい状態にある。運動が終了した団体は言うまでもないだろう。薬害に関する啓発や教育、研究等への効果的な利用のため、また薬害を受けた人が命をかけて作成してきた貴重な記録の永久保存のために、現在、使っている記録群を適切に分類・保存しなければならない。研究班と10の薬害団体は、資料を統一的・体系的に分類・整理・保管するための手法を検討・実践し、これにより資料等の滅失を防ぎ、重要な記録を啓蒙・教育素材としても利用できることを目指している。
2014年度の課題は、10の薬害団体の事例により、全体の内容を把握するため、研究班が配布する資料管理手引き、フォーマットにしたがって、各団体が資料整理を行うことであった。その際、各団体に資料整理人員・保存容器・ファイル用品等の確保が必要となった。
 また、薬害団体の活動のため、各地方自治体が保有する医療関連記録の保存状況や閲覧対応についても、過去の事例から考察し、海外での薬害被害事例と比較しながら、考察を進める必要があると思われる。それには、薬被連参加団体全体で足並みをそろえた、体系的な整理が必要であろう。

公開日・更新日

公開日
2018-06-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-06-21
更新日
-

文献情報

文献番号
201427039B
報告書区分
総合
研究課題名
薬害に関する資料等の調査・管理・活用等に関する研究
課題番号
H25-医薬-指定-003
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
金 慶南(キム ギョンナム)(法政大学 大原社会問題研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究者交替、所属機関変更
なし

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品等による薬害事件は、その発生以降の年月が経過するにつれて、被害者やその家族の高齢化が進み、事件に関わる貴重な資料群は、適切な管理・保存がなされないままに散逸し失われてしまう恐れがまさに高くなっている。そのため、被害者個人や団体が所有している資料等の保存状況について、速やかに調査を行い、資料等を統一的・体系的に分類・整理・保管するための手法を検討し、実践することが求められた。それにより資料の滅失を防ぎ、今後、薬害に関する啓発や教育、研究等への効果的な利用を促すと共に、被害者対策への検討材料としても有効活用され、加えて国民の医薬品等の安全対策への認識の向上、薬害の再発防止にも寄与することが、目的とされた。
 当研究は、2年間の研究計画である。1年目は、薬害被害とそれに対する支援運動がさまざまな場所で起こった過程の中で、蓄積された資料の現状を把握することを目指した。2年目は、現場の記録を体系的に分類・整理・管理する方法の構築を目的として、推進してきた。
研究方法
研究方法は、記録管理学的な観点からアプローチした。記録には作成・活用・廃棄あるいは保存というライフサイクルがある。すなわち、各個人・団体では、目的を達成するため、起案、議論、決定・決済が行われ、その過程で文書・視聴覚資料等が作成される。それらはプロジェクト終了後、永久保存または廃棄となる。記録管理学的な視点で見ると、<歴史的に価値がある記録/証拠となる記録/業務上後年の事業に活かす過去の記録>は、評価・選別作業・目録記述を経て永久保存となる。この歴史的・証拠的・業務的価値のある記録がどのような内容でどのくらいの量を保有しているか、調査が必要となる。調査方法としては、活動の流れに沿ったインタビュー調査、現状調査を行った。現状調査では、ファイリングの状態、レイアウト図、保存量計測、形態別調査、デジタル化有無、機密文書の管理状況などを観察し、保存の概要を把握した。
 当研究は、薬害に関する貴重な資料を体系的に管理・保存する目的のため、2013年度に薬害被害関連10団体の記録管理状況の概要調査報告と仮マニュアルを作成した。2014年度は、各現場を訪ね「記録管理の手引き・マニュアル」に基づき、目録作成・評価・選別・保存方法などに関する指導を行なった。
結果と考察
2013年度において、すでに作業人員・資金・保存書架など資料整理体制が整い、目録化・電子化まで進んでいる団体もある一方で、資料が放置されたままの団体も見受けられ、ギャップが大きいと感じられた。さらに薬害被害者団体の資料は、個人情報など機密管理を要する資料が多いため、記録を管理する際には十分注意を払う必要がある。調査では、まずインタビューから開始し、活動の経緯に従ってどのような資料が蓄積されてきたかについて、綿密な聞取り調査を行い、インタビューフォーマットに従い、現場で保存されている資料群を観察し、記録した。資料の種類別の資料量、資料保存・整理状況の全体的・体系的状況を把握しながら、それぞれの団体が抱える課題を明確化した。さらに、紙資料の保存や整理方法などについて、団体ごとに提案した。調査・聞取りに協力して頂く過程で、資料所蔵者の保存・整理に対する意識が徐々に向上していく姿も見受けられた。
結論
現在、運動中の団体の資料においては、記録管理に対する専門的知識の不足、人件費、スペ―スの確保等の課題があり、体系的な資料保存は難しい状態にある。運動が終了した団体は言うまでもないだろう。薬害に関する啓発や教育、研究等への効果的な利用のため、また薬害を受けた人が命をかけて作成してきた貴重な記録の永久保存のために、現在、使っている記録群を適切に分類・保存しなければならない。研究班と10の薬害団体は、資料を統一的・体系的に分類・整理・保管するための手法を検討・実践し、これにより資料等の滅失を防ぎ、重要な記録を啓蒙・教育素材としても利用できることを目指している。
2014年度の課題は、10の薬害団体の事例により、全体の内容を把握するため、研究班が配布する資料管理手引き、フォーマットにしたがって、各団体が資料整理を行うことであった。その際、各団体に資料整理人員・保存容器・ファイル用品等の確保が必要となった。
また、薬害団体の活動のため、各地方自治体が保有する医療関連記録の保存状況や閲覧対応についても、過去の事例から考察し、海外での薬害被害事例と比較しながら、考察を進める必要があると思われる。それには、薬被連参加団体全体で足並みをそろえた、体系的な整理が必要であろう。

公開日・更新日

公開日
2018-06-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2018-06-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201427039C

成果

専門的・学術的観点からの成果
研究成果は、1960年から現在まで行っている薬害被害者団体が所蔵している薬害資料を対象に、現場を訪ね専門的な実態調査(聞取調査・現地調査)を行った点、統一的・体系的な整理・保管方法等のためのマニュアルを作成し、被害者団体等へ配布、資料等の整理・保管を実施した点である。よって、この研究は、市民活動アーカイブズの一つの事例として、今後、多様な市民活動資料の専門的な・学術的なアプローチの見本として挙げられることができる。
臨床的観点からの成果
なし
ガイドライン等の開発
薬害資料整理マニュアルの開発、第2回 薬害資料調査のための会合について、2014年8月24日
場所:厚生労働省共用第5会議室、講演:薬害資料に関する調査・管理・活用等について
その他行政的観点からの成果
第13回 薬害を学び再発を防止するための教育に関する検討会に参加して、厚生労働省の薬害を防ぐための行政的な対策の一つとして、薬害資料の体系的な整理を行って活用する方法を提示した。
2014年11月18日 厚生労働省6階専用第23会議室、講演:薬害資料等の調査・管理・活用等に関する研究
その他のインパクト
1.第8回 環境・市民活動資料アーカイブズ資料整理研究会と共同で薬害資料整理研究会を開催した。2014年8月26日、場所:法政大学市ヶ谷キャンパス、ボアソナードタワー25階C会議室
2.第9回 環境・市民活動資料アーカイブズ資料整理研究会と共同で薬害資料整理研究会開催した。2015年1月29日、場所:大阪薬害被害者連絡協議会・会議室

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
2件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2018-02-22
更新日
-

収支報告書

文献番号
201427039Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,500,000円
(2)補助金確定額
3,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 268,719円
人件費・謝金 1,707,915円
旅費 358,980円
その他 364,864円
間接経費 800,000円
合計 3,500,478円

備考

備考
厚生労働科学研究費補助金の銀行口座において利息が発生したため。

公開日・更新日

公開日
2018-06-21
更新日
-