医薬品の品質、有効性及び安全性確保のための規制の国際調和の推進に係わる研究

文献情報

文献番号
201427029A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品の品質、有効性及び安全性確保のための規制の国際調和の推進に係わる研究
課題番号
H24-医薬-指定-026
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
西川 秋佳(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 本間 正充(国立医薬品食品衛生研究所 変異遺伝部)
  • 阿曽 幸男(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
  • 小川久美子(国立医薬品食品衛生研究所 病理部)
  • 中江 大(東京都健康安全研究センター)
  • 平林 容子(国立医薬品食品衛生研究所 毒性部)
  • 関野 祐子(国立医薬品食品衛生研究所 薬理部)
  • 代田眞理子(麻布大学獣医学部)
  • 中村 秀文(国立成育医療研究センター)
  • 岡田美保子(川崎医療福祉大学)
  • 松本 峰男((独)医薬品医療機器総合機構)
  • 広瀬 明彦(国立医薬品食品衛生研究所 総合評価研究室)
  • 四方田千佳子((独)医薬品医療機器総合機構)
  • 斎藤 嘉朗(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部)
  • 山口 照英(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 奥田 晴宏(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 川崎 ナナ(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 橋井 則貴(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 石井 明子(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品学)
  • 内田恵理子(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 香取 典子(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
  • 堀本 政夫(千葉科学大学危機管理学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
承認審査、市販後調査を含め規制当局に提出すべきデータや審査に必要な資料の要件に関する国際調和を推進することにより、医薬品のグローバルな開発環境の整備及び安全性確保体制を確立し、試験の重複排除・医薬品の開発手順の提示により、世界最高水準の医薬品を国民に迅速に提供する環境整備を行うことを目的とした。このための研究として、医薬品承認申請書等に関連する品質、有効性、安全性評価に必要な試験の内容やガイドラインなどの国際調和文書に盛り込むべき要件についての裏付けとなる科学的データの取得や調和を進めるために先導的な調査および研究を行った。
研究方法
研究分担者を中心に産・学・官の専門家からなるワーキンググループを形成し、そのサポートを得ながら下記について検討を進めるとともに、国際的協議を実施した。医薬品の安全性に関する非臨床研究として、(1) がん原性試験、 (2) 抗がん剤の非臨床安全性評価、(3) バイオ医薬品及び核酸医薬品の安全性評価、(4) 発生毒性試験の代替法、(5) 薬物相互作用、(6) 遺伝毒性不純物、(7) 重金属不純物及び(8) ワクチンに関する研究を行った。医薬品の品質に関する非臨床研究として、(9) 遺伝子治療薬、(10) 医薬品一般試験法、(11) バイオ医薬品の規格、(12) バイオ医薬品の品質特性評価、(13) バイオ後続品の評価、(14) 先端バイオ医薬品規制及び(15) バイオアナリシス(生体試料分析)に関する研究を行った。医薬品の臨床試験等に関する検討として、(16) 小児治験ガイドライン及び(17) 医薬品情報の国際規格化に関する研究を行った。
結果と考察
(1) 前向き評価のためのがんがん原性評価文書17件の審査を終了し、うち8件について3規制当局間で審査結果を協議した結果、すべて合意に達した。(2) 抗がん剤の非臨床安全性評価ガイドラインに関する国内の現状を調査し、Q&Aに盛り込むべき項目について検討した。(3) 核酸医薬品の非臨床安全性試験ガイドラインについて、日米EUの専門家との情報共有を図り、従来の医薬品との違いに着目したいくつかの検討課題を設定して、とりまとめ作業を進めた。(4) 発生毒性試験の代替法について日米EUの現状を踏まえて議論した結果、単独で哺乳類試験に置換することは難しいが、組み合わせや予備試験の活用などでリスク評価を行える可能性が示唆された。(5) 昨年度作成した薬物相互作用評価に関する新規ガイドライン案をさらに微修正し、最終案の発出に貢献した。また、コメント意見をもとに、Q&A一次案を作成した。(6) 遺伝毒性不純物に関するガイドラインを最終化し、医薬品不純物としての許容摂取量に関する補遺の作成作業が進行中である。(7) 医薬品における金属不純物の規制に関するガイドラインについて、既存薬の取り扱いと大容量注射剤に関する対応案について議論した後、ステップ4文書を公開した。(8) 治療用ペプチドワクチンの非臨床安全性試験のための考察内容を国際誌に発表した。(9) 遺伝子治療薬の非臨床データ、環境影響評価、遺伝子治療を受けた患者の長期フォローアップなどに関するガイドラインの要件について明らかにした。(10) 医薬品一般試験法36項目の内29項目が、また同じく添加物各条62項目の内48項目が調和された。(11) バイオ医薬品の規格について調査した結果、最近新たに設定または変更されたpre-stemや命名ルールのあることが判明した。(12) バイオ医薬品の品質特性について、抗体親和性ペプチドは既存の分子とは異なる相互作用により抗体と結合することが実証された。(13) バイオ後続品の国際的動向を調査した結果、抗体医薬品のバイオ後続品が初めて承認されたことなどがわかった。(14) 先端バイオ医薬品規制について調査した結果、腫瘍溶解性ウイルス製品のうち、組換えによる弱毒化のみの場合や自然変異の場合に遺伝子治療に該当するかどうかは各国で異なっていた。(15) 生体試料分析バリデーションガイドラインおよびQ&Aの発出に寄与した。(16) 小児治験について、非臨床分野ではガイドライン制定に向けた動きが開始され、臨床分野では補遺が作成されることとなった。(17) 医薬品情報の国際規格化について、PDF/AはESTRI勧告として承認され、ISO/HL7 ICSR及びISO IDMP規格が制定された。
結論
産・学・官が協調して医薬品のグローバル開発における不調和の存在を明らかにし、その解決のために必要な研究を行うとともに、種々の医薬品の品質や安全性評価のためのガイドラインを調和・整備するための諸研究を行った。それぞれの研究は概ね計画通りに進捗し、特に光毒性試験、遺伝毒性不純物および重金属不純物のガイドライン策定に大きく寄与した。

公開日・更新日

公開日
2018-06-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2016-05-13
更新日
-

文献情報

文献番号
201427029B
報告書区分
総合
研究課題名
医薬品の品質、有効性及び安全性確保のための規制の国際調和の推進に係わる研究
課題番号
H24-医薬-指定-026
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
西川 秋佳(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 大野 泰雄(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 本間 正充(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター 変異遺伝部)
  • 阿曽 幸男(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
  • 中江  大(東京都健康安全研究センター)
  • 平林 容子(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター 毒性部)
  • 小島  肇(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター 薬理部)
  • 奥田 晴宏(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
  • 中村 秀文(国立成育医療センター)
  • 岡田美保子(川崎医療福祉大学)
  • 松本 峰男((独)医薬品医療機器総合機構)
  • 広瀬 明彦(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター 総合評価研究室)
  • 四方田千佳子(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
  • 山口 照英(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 川西   徹(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 川崎 ナナ(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 新見 伸吾(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 石井 明子(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 内田恵理子(国立医薬品食品衛生研究所 遺伝子細胞医薬部)
  • 香取 典子(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
  • 関野 祐子(国立医薬品食品衛生研究所 薬理部)
  • 代田眞理子(麻布大学)
  • 斎藤 嘉朗(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部)
  • 橋井 則貴(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 堀本 政夫(千葉科学大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
承認審査、市販後調査を含め規制当局に提出すべきデータや審査に必要な資料の要件に関する国際調和を推進することにより、医薬品のグローバルな開発環境の整備及び安全性確保体制を確立し、試験の重複排除・医薬品の開発手順の提示により、世界最高水準の医薬品を国民に迅速に提供する環境整備を行うことを目的とした。このための研究として、医薬品承認申請書等に関連する品質、有効性、安全性評価に必要な試験の内容やガイドラインなどの国際調和文書に盛り込むべき要件についての裏付けとなる科学的データの取得や調和を進めるために先導的な調査および研究を行った。
研究方法
研究分担者を中心に産・学・官の専門家からなるワーキンググループを形成し、そのサポートを得ながら下記について検討を進めるとともに、国際的協議を実施した。医薬品の安全性に関する非臨床研究として、(1) がん原性試験、(2) 光毒性試験及び抗がん剤の非臨床安全性評価、(3) バイオ医薬品及び核酸医薬品の安全性評価、(4) 発生毒性試験の代替法、(5) 薬物相互作用、(6) 遺伝毒性不純物、(7) 重金属不純物、(8) ワクチン及び(9) in vitro毒性試験の評価に関する研究を行った。医薬品の品質に関する非臨床研究として、(10) 遺伝子治療薬、(11) 医薬品一般試験法、(12) バイオ医薬品の規格及び試験法、(13) バイオ医薬品の品質特性評価手法、(14) バイオ後続品の評価、(15) 先端バイオ医薬品規制、(16) 生体試料分析、(17) バイオ医薬品の免疫原性及び(18) バイオマーカーに関する研究を行った。医薬品の臨床的研究として、(19) 小児治験ガイドライン及び(20) 医薬品情報の国際規格化に関する研究を行った。
結果と考察
(1) がん原性試験改定の前向き評価のためのがん原性評価文書17件について、審査を終了した。 (2) 光毒性試験及び抗がん剤の非臨床安全性評価ガイドラインのQ&Aに盛り込むべき項目について検討した。(3) バイオ医薬品及び核酸医薬品の非臨床安全性評価について、従来の医薬品との違いに着目したいくつかの検討課題を設定して、とりまとめ作業を進めた。(4) 発生毒性試験について検討した結果、代替法の組み合わせや予備試験の活用などでリスク評価を行える可能性が示唆された。(5) 薬物相互作用評価に関する新規ガイドライン案を微修正するとともに、Q&A一次案を作成した。(6) 遺伝毒性不純物に関するガイドラインを最終化し、許容摂取量に関する補遺の作成を進めている。(7) 金属不純物の規制に関するガイドラインのステップ4文書を公開した。(8) 治療用ペプチドワクチンの非臨床安全性試験関する総説を国際誌に発表した。(9) n vitro毒性試験として、光毒性スクリーニング法(ROSアッセイ)の第三者評価を実施した。(10) 遺伝子治療薬の非臨床データ、環境影響評価、患者の長期フォローアップなどに関するガイドラインの要件を明らかにした。(11) 医薬品一般試験法36項目の内29項目が、また同じく添加物各条62項目の内48項目が調和された。(12) バイオ医薬品の規格について、最近設定または変更されたpre-stemや命名ルールのあることが判明した。(13) バイオ医薬品について、抗体親和性ペプチドは既存の分子とは異なる相互作用により抗体と結合することが確認された。(14) 国際動向調査の結果、抗体医薬品のバイオ後続品が初めて承認されたことなどがわかった。(15) 先端バイオ医薬品規制について、腫瘍溶解性ウイルス製品のうち弱毒化のみや自然変異の場合に遺伝子治療に該当するかは各国で異なっていた。(16) 生体試料分析バリデーションガイドラインおよびQ&Aの発出に寄与した。(17) バイオ医薬品の免疫原性について調査し、有効性及び安全性に対する新知見を確認した。(18) バイオマーカーについて、心臓への影響を診断するパラメータの中には非臨床応用が十分可能であるものが確認された。(19) 小児治験について、非臨床分野ではガイドライン制定に向けた動きが開始され、臨床分野では補遺が作成されることとなった。(20) 医薬品情報の国際規格化について、PDF/AはESTRI勧告として承認され、ISO/HL7 ICSR及びISO IDMP規格が制定された。
結論
産・学・官が協調して医薬品のグローバル開発における不調和の存在を明らかにし、その解決のために必要な研究を行うとともに、種々の医薬品の品質や安全性評価のためのガイドラインを調和・整備するための諸研究を行った。それぞれの研究は概ね計画通りに進捗し、特に光毒性試験、遺伝毒性不純物および重金属不純物のガイドライン策定に大きく寄与した。

公開日・更新日

公開日
2018-06-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201427029C

収支報告書

文献番号
201427029Z