文献情報
文献番号
201427010A
報告書区分
総括
研究課題名
ウイルス検出を目的とした体外診断薬の再評価技術基盤に関する研究
課題番号
H25-医薬-一般-015
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
浜口 功(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
研究分担者(所属機関)
- 多屋 馨子(国立感染症研究所 感染症疫学センター)
- 岡本 貴世子(国立感染症研究所 ウイルス第三部)
- 阿戸 学(国立感染症研究所 免疫部)
- 加藤 孝宣(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
- 草川 茂(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
- 百瀬 暖佳(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
季節性、および新型インフルエンザウイルス、風疹ウイルス、肝炎ウイルス、エイズウイルスにおけるウイルス抗原、遺伝子、および抗ウイルス抗体に関し、ウイルス検出用の体外診断薬の検出感度・特異性等を再評価し、感度、特異性、有用性等、医療上の必要性も踏まえた再評価方法等の技術基盤の検討を行う。
研究方法
平成26年度は当初の研究計画に従い、B型肝炎ウイルス、HIV、インフルエンザ、ロタウイルス、風疹の検出キットの検出感度、特異性に関するそれぞれの課題を明確にするとともに評価、改善を行う。同時に、病原体の変異等に対応する技術の開発も実施する。また、本年度より感染症を専門にする臨床医に、臨床の現場から求められる検査試薬のあり方について検討をいただく。
結果と考察
1)B型肝炎ウイルス: HBs抗原測定用体外診断薬の評価のため、HBs抗原のin vitro発現系の構築を行った。EFプロモーターからFLAGタグが付加されたコンストラクトを作製し、培養細胞でHBs抗原を発現させた。培養上清のHBs抗原量をアーキテクトHBsAg-QT(アボットジャパン)とルミパルスHBSAg-HQ(富士レビオ)にて測定した結果、それらの測定値にある程度の相関は認めたものの、遺伝子型によりその相関が異なる可能性が示唆された。これらの結果に基づき、今後HBs抗原測定用体外診断薬の性能調査を行い、体外診断薬の再評価に供する。
2)ヒト免疫不全症ウイルス: HIV検出能力評価のために、Real-time PCR法を用いた、多様なHIV-1サブタイプ/CRF/グループを等しい効率で定量する方法を確立し、それを使って作製したHIV-1抗原検出感度用パネルの試作品が、性能評価に有用であることを示した。今後性能調査のためのパネルを整備するとともに性能調査を計画する。
3)迅速診断キットの検討: インフルエンザ迅速診断キットは多くの製品が臨床現場で使用されているが、各キットの添付文書に記載されている検出感度は、用いられたウイルス株や定量方法が異なるため一概に比較することが困難である。平成26年度は臨床現場で多く用いられているキットおよび新たに市販されたキットの種類について検討した。いずれのウイルス株についてもキット間で101~102 copies/testの差がみられた。今後も流行シーズンごとに抗原性の変異が比較的大きいA(H3N2)亜型についてさらなる検討を行う。また、ロタウイルスについては、12種類の迅速診断キットについて2倍階段希釈したウイルス液を用いて検出感度の検討を行ったところ、各キットの検出感度(希釈倍数)の幾何平均は1:29、中央値は1:32とキット間で感度に差が認められた。
4)インフルエンザウイルス(亜型等): インフルエンザ亜型鑑別が可能な迅速診断法の確立を目指し、ヘマグルチニン(HA)抗体を利用したウイルス検出系の構築を試みた。今後、他の亜型(H7など)を選択的に検出する方法の開発を進め、検出可能な亜型の種類を増やすとともに、検査技術基盤向上のための検討を行う。
5)風疹ウイルス: 風疹パネル血清の検索・選定を行った。今年度は検討に用いるパネル血清の検索・選定を行った。今後HI価8以上16未満のパネル収集しパネルを拡充するとともに、市販されている風疹診断キットの性能調査を行い、体外診断薬の再評価に供する。
6)国際標準品: 体外診断薬の国際標準品は、ウイルス検出を目的とした体外診断用医薬品の再評価には不可欠である。体外診断薬の再評価に用いる高品質の国際標準品整備の状況を調査した。今後も引き続き国際標準品等の動向調査を行うと共に、欧州における体外診断用医薬品の品質管理について情報収集を行う。
2)ヒト免疫不全症ウイルス: HIV検出能力評価のために、Real-time PCR法を用いた、多様なHIV-1サブタイプ/CRF/グループを等しい効率で定量する方法を確立し、それを使って作製したHIV-1抗原検出感度用パネルの試作品が、性能評価に有用であることを示した。今後性能調査のためのパネルを整備するとともに性能調査を計画する。
3)迅速診断キットの検討: インフルエンザ迅速診断キットは多くの製品が臨床現場で使用されているが、各キットの添付文書に記載されている検出感度は、用いられたウイルス株や定量方法が異なるため一概に比較することが困難である。平成26年度は臨床現場で多く用いられているキットおよび新たに市販されたキットの種類について検討した。いずれのウイルス株についてもキット間で101~102 copies/testの差がみられた。今後も流行シーズンごとに抗原性の変異が比較的大きいA(H3N2)亜型についてさらなる検討を行う。また、ロタウイルスについては、12種類の迅速診断キットについて2倍階段希釈したウイルス液を用いて検出感度の検討を行ったところ、各キットの検出感度(希釈倍数)の幾何平均は1:29、中央値は1:32とキット間で感度に差が認められた。
4)インフルエンザウイルス(亜型等): インフルエンザ亜型鑑別が可能な迅速診断法の確立を目指し、ヘマグルチニン(HA)抗体を利用したウイルス検出系の構築を試みた。今後、他の亜型(H7など)を選択的に検出する方法の開発を進め、検出可能な亜型の種類を増やすとともに、検査技術基盤向上のための検討を行う。
5)風疹ウイルス: 風疹パネル血清の検索・選定を行った。今年度は検討に用いるパネル血清の検索・選定を行った。今後HI価8以上16未満のパネル収集しパネルを拡充するとともに、市販されている風疹診断キットの性能調査を行い、体外診断薬の再評価に供する。
6)国際標準品: 体外診断薬の国際標準品は、ウイルス検出を目的とした体外診断用医薬品の再評価には不可欠である。体外診断薬の再評価に用いる高品質の国際標準品整備の状況を調査した。今後も引き続き国際標準品等の動向調査を行うと共に、欧州における体外診断用医薬品の品質管理について情報収集を行う。
結論
本研究で検討する検出技術の対象ウイルスは、季節性、および新型インフルエンザウイルス、ロタウイルス、風疹ウイルス、肝炎ウイルス、HIVであり、「感染症の予防及び感染症患者に対する医療に関する法律(感染症法)」に規定される医療上の必要性が高い。平成26年度は当初の研究計画に従い、B型肝炎ウイルス、HIV、インフルエンザウイルス、ロタウイルス、風疹ウイルスの検出キットの検出感度、特異性に関するそれぞれの課題を明確にするとともに評価、改善を行った。一方で、流行株の変化など病原体自身の変異に対応すべく、病原体検出技術は、絶えず検出技術の改良が必要となる。本研究課題に基づく成果は現状に即した有効な体外診断薬の整備を促進するものであり、厚生労働行政、国民の保健・医療・福祉の向上に大いに寄与することが期待される。また、国際標準品は体外診断薬の精度管理に必須のものであり、最新の情報を入手するとともに、国内の体外診断薬用の標準品の整備に貢献することができる。
公開日・更新日
公開日
2018-06-11
更新日
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