文献情報
文献番号
201427003A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品の品質ガイドラインの実施に係る品質試験及び試験実施機関の品質システム等に関する研究
課題番号
H24-医薬-一般-003
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
四方田 千佳子(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
研究分担者(所属機関)
- 香取 典子(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
- 伊豆津 健一(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
1,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
公的試験機関における品質システムでは、医薬品査定協定及び医薬品査察共同スキーム(PIC/S)を通じ、欧州を中心に加盟が進んでおり、我が国もPICSへの早期加盟を目指し申請準備を行った。これまでのPIC/S加盟への対応が実を結び、H26年7月に日本のPIC/S加盟が承認された。GMP査察のための公的認定試験検査機関(OMCL)として位置づけられる地方衛生研究所と国立の試験機関群がGMP査察のための試験検査機能を担うための品質システム構築後の課題を探り、今後のOMCLの運営に当たっての問題点と改善の施策について検討を行った。
品質システムにおける製剤評価に関する研究では、新医薬品及びジェネリック医薬品の品質確保に向けたシステム向上を目的として、難溶性医薬品の可溶化技術と高機能製剤の新規乾燥技術の動向について調査するとともに、凍結乾燥製剤の微少領域における製剤成分の混合性制御による安定性確保と工程効率化について検討した。また複雑なジェネリック医薬品(NBCD, CGD)に関する欧米の施策から、国内における機能特性と治療学的同等性の確保に求められる公的機関の役割を検討した。
品質システムにおける製剤評価に関する研究では、新医薬品及びジェネリック医薬品の品質確保に向けたシステム向上を目的として、難溶性医薬品の可溶化技術と高機能製剤の新規乾燥技術の動向について調査するとともに、凍結乾燥製剤の微少領域における製剤成分の混合性制御による安定性確保と工程効率化について検討した。また複雑なジェネリック医薬品(NBCD, CGD)に関する欧米の施策から、国内における機能特性と治療学的同等性の確保に求められる公的機関の役割を検討した。
研究方法
品質システムでは、OMCLとしての試験検査機能を担うため必要な、試験検査機関のISO17025に準拠した品質システムの構築に向けて、試験機関管理の要件、共通の品質マニュアルの作成を検討した。特にPIC/S加盟後に定期的に行われるオンサイト査察に対し、OMCLの要件が満たされるよう各試験検査機関と連携し対策を行った。
製剤評価に関する研究では、欧米におけるNBCD ジェネリック医薬品の品質確保システムと、臨床における品質課題の発生等を調査し、国内の状況と比較した。可溶化技術を用いた経口製剤の腸内における結晶析出に対する試験液の影響を検討した。凍結乾燥製剤の品質管理手法について、タンパク質とアミノ酸類を含む凍結溶液の示差走査熱量計(DSC)を用いて、製剤成分混合性を中心に検討し、工程パラメータ制御の観点から解析評価した。
製剤評価に関する研究では、欧米におけるNBCD ジェネリック医薬品の品質確保システムと、臨床における品質課題の発生等を調査し、国内の状況と比較した。可溶化技術を用いた経口製剤の腸内における結晶析出に対する試験液の影響を検討した。凍結乾燥製剤の品質管理手法について、タンパク質とアミノ酸類を含む凍結溶液の示差走査熱量計(DSC)を用いて、製剤成分混合性を中心に検討し、工程パラメータ制御の観点から解析評価した。
結果と考察
公的試験機関の品質システムに関する研究では、我が国における公的試験機関には、国際基準を満たす品質システムを構築している例は少なかったが、全国共通のシステム構築を行うことにより、試験業務の信頼性の向上、透明度の確保に寄与するのみならず、我が国のGMP査察国際団体(PICS)への加盟に貢献した。加盟にあたって国内法的環境は整備されたが、実際の運用においてはまだまだ克服すべき課題が残された。公的認定試験検査機関として活動し始めた試験機関の状況(品質システムの整備状況、認定査察の際の指摘事項等)による事例研究を進める一方、GMP査察団体および他試験機関との連携の実情を調査するなどし、試験機関向けの連携(例えば教育)体制を提案し、さらにPIC/S加盟後の問題点をテーマとしたシンポジウム開催に貢献した。
製剤評価に関する研究では、ペプチド医薬品やDDS機能を賦与した製剤など複雑なジェネリック医薬品の開発にあたり、重要品質特性(CQA)に対応した個別の評価法ガイダンスの設定など、品質と同等性確保のシステム整備の重要性が示された。特に技術進歩の早い分野において、先発医薬品の開発時から大幅に向上した評価法や工程の技術水準への対応が、重要課題と考えられた。高温暴露による機能消失の可能性を持つ生体高分子やDDS医薬品を主な対象として、減圧と電磁波などによる非接触加熱を併用したハイブリッド型乾燥の開発と、さらに凍結や噴霧の併用により工程効率を大幅に向上させた新技術研究の顕著な増加が確認された。医薬品製造におけるマイクロ波の活用には、高分子構造に依存した製剤機能への影響解明など基礎情報の拡充が重要と考えられた。凍結水溶液の最大濃縮相ガラス転移温度(Tg´)の挙動から、遺伝子組換えヒトアルブミンとL-アルギニン塩酸塩が、濃度比により氷晶間へ非晶質の混合状態で濃縮される場合と複数相に分離する場合があることが示された。アミノ酸類の特徴として、混合性がpHや塩形成の影響を受けやすいことが明らかとなった。
製剤評価に関する研究では、ペプチド医薬品やDDS機能を賦与した製剤など複雑なジェネリック医薬品の開発にあたり、重要品質特性(CQA)に対応した個別の評価法ガイダンスの設定など、品質と同等性確保のシステム整備の重要性が示された。特に技術進歩の早い分野において、先発医薬品の開発時から大幅に向上した評価法や工程の技術水準への対応が、重要課題と考えられた。高温暴露による機能消失の可能性を持つ生体高分子やDDS医薬品を主な対象として、減圧と電磁波などによる非接触加熱を併用したハイブリッド型乾燥の開発と、さらに凍結や噴霧の併用により工程効率を大幅に向上させた新技術研究の顕著な増加が確認された。医薬品製造におけるマイクロ波の活用には、高分子構造に依存した製剤機能への影響解明など基礎情報の拡充が重要と考えられた。凍結水溶液の最大濃縮相ガラス転移温度(Tg´)の挙動から、遺伝子組換えヒトアルブミンとL-アルギニン塩酸塩が、濃度比により氷晶間へ非晶質の混合状態で濃縮される場合と複数相に分離する場合があることが示された。アミノ酸類の特徴として、混合性がpHや塩形成の影響を受けやすいことが明らかとなった。
結論
公的試験機関の品質システムに関する研究では、我が国のGMP査察国際団体(PICS)への加盟に大いに貢献した。今後のOMCLの運営に当たっての問題点と改善の施策についての検討結果は、今後、定期的に行われるPIC/Sからの日本への査察に際しての、OMCLオンサイト査察対策に生かされると考えられる。
製剤評価に関する研究では、高機能医薬品の開発とその後のジェネリック化に際して、一般的な製剤に適用される管理手法とともに、製剤の特性評価法の整備と、製剤設計から工程管理を一貫させた管理システム構築の重要性が示された。
製剤評価に関する研究では、高機能医薬品の開発とその後のジェネリック化に際して、一般的な製剤に適用される管理手法とともに、製剤の特性評価法の整備と、製剤設計から工程管理を一貫させた管理システム構築の重要性が示された。
公開日・更新日
公開日
2015-06-04
更新日
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