文献情報
文献番号
201426045A
報告書区分
総括
研究課題名
国内における食品を介した種々の放射性物質による暴露量の評価
課題番号
H24-食品-指定(復興)-004
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
寺田 宙(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
研究分担者(所属機関)
- 飯島 育代(石田 育代)(神奈川県衛生研究所)
- 三宅 定明(埼玉県衛生研究所)
- 太田 智子(日本分析センター)
- 山口 一郎(国立保健医療科学院 生活環境研究部 )
- 児玉 浩子(帝京大学 医学部)
- 杉山 英男(松本大学大学院 健康科学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
東京電力(株)福島第一原子力発電所事故後、多くの都市を対象とした放射性物質の摂取量調査を実施することが求められていることから、陰膳方式による食品中の放射性物質のトータルダイエットスタディ(TDS)を行っている。本研究の3年目にあたる平成26年度はγ線スペクトロメトリにより陰膳試料中の放射性CsとK-40を分析するとともに、一部の試料についてはPu、Sr-90と自然放射性物質であるPo-210の分析も行った。さらに、厚生労働省の食品中の放射性物質の検査ならびに平成22年国民健康・栄養調査の結果を基に食事由来の預託実効線量の推計を試みた。
研究方法
(1)対象集団と試料
対象地域については以下の10都道府県とした。
北海道、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、埼玉県、東京都、神奈川県、大阪府、高知県
(福島県は相馬市、南相馬市、福島市、郡山市、伊達市、会津若松市の6都市)
成人については福島県内の6都市と、福島県以外の9都道府県の計15地域を対象とし、それぞれの地域から3名を選定して研究協力者とした。幼児については前述の15地域のうち、岩手県、神奈川県、高知県の3県を除いた12地域において3名の研究協力者を選定した。研究協力者には2日分の食事(陰膳試料)を提供していただいた。預託実効線量は当該試料を1年間摂取し続けたものとし、陰膳試料中の放射性物質濃度、2日分の食事の量とICRPの預託実効線量係数を基に算出、評価した。
(2)測定方法
陰膳試料は大型のブレンダ―を用いて混合・均一化し、乾熱乾燥した後、450℃で24時間灰化処理した。灰化物をプラスチック製容器に充填し、分析用試料とした。放射性Cs、K-40は「ゲルマニウム半導体検出器によるガンマ線スペクトロメトリー」(文部科学省放射能測定法シリーズ7、平成4年改訂)、Puは「プルトニウム分析法」(放射能測定法シリーズNo.12)、Sr-90は「放射性ストロンチウム分析法」(放射能測定法シリーズNo.2)に準じて分析した。Po-210はMiuraらの方法に従って測定した。なお、定量結果は試料採取終了日(Po-210はPb-210の分離日)における測定試料あたりの放射能として算出した。
対象地域については以下の10都道府県とした。
北海道、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、埼玉県、東京都、神奈川県、大阪府、高知県
(福島県は相馬市、南相馬市、福島市、郡山市、伊達市、会津若松市の6都市)
成人については福島県内の6都市と、福島県以外の9都道府県の計15地域を対象とし、それぞれの地域から3名を選定して研究協力者とした。幼児については前述の15地域のうち、岩手県、神奈川県、高知県の3県を除いた12地域において3名の研究協力者を選定した。研究協力者には2日分の食事(陰膳試料)を提供していただいた。預託実効線量は当該試料を1年間摂取し続けたものとし、陰膳試料中の放射性物質濃度、2日分の食事の量とICRPの預託実効線量係数を基に算出、評価した。
(2)測定方法
陰膳試料は大型のブレンダ―を用いて混合・均一化し、乾熱乾燥した後、450℃で24時間灰化処理した。灰化物をプラスチック製容器に充填し、分析用試料とした。放射性Cs、K-40は「ゲルマニウム半導体検出器によるガンマ線スペクトロメトリー」(文部科学省放射能測定法シリーズ7、平成4年改訂)、Puは「プルトニウム分析法」(放射能測定法シリーズNo.12)、Sr-90は「放射性ストロンチウム分析法」(放射能測定法シリーズNo.2)に準じて分析した。Po-210はMiuraらの方法に従って測定した。なお、定量結果は試料採取終了日(Po-210はPb-210の分離日)における測定試料あたりの放射能として算出した。
結果と考察
全80試料中、放射性Cs濃度(Cs-134 と Cs-137の合計値)が最も高かったのは伊達市(成人)の0.467 Bq/kgで、平成24、25年度の結果と比較すると低めの値を示し、現在の一般食品に対する放射性物質の基準値(100 Bq/kg)の約210分の1であった。放射性Csによる預託実効線量の最大値は5.30μSvで、現行の食品の基準値を設定する上で基となった年間線量の上限値1 mSvの約190分の1であった。また、Puは分析を行った全27試料から検出されず、Sr-90についても福島原発事故前の2001~2008年度と同レベルにあることが示され、福島原発事故の影響は認められなかった。預託実効線量については自然放射性物質であるK-40とPo-210由来の線量の方が大きく、平成26年度にSr-90を分析した試料に限定すると放射性CsとSr-90の寄与は最大でも0.69%であった。
結論
平成26年度のTDSでは陰膳試料中の放射性Cs濃度は最大でも一般食品に対する放射性物質の基準値(100 Bq/kg)の約210分の1であり、預託実効線量も最大で食品摂取による年間線量の上限値1 mSvの約190分の1と、十分に小さい値であった。また、Pu、Sr-90についても福島原発事故の影響は認められず、今回分析対象とした放射性Cs、Pu、Sr-90については食事による暴露量は幼児を含めて十分に低いレベルにあると評価できる。
公開日・更新日
公開日
2018-07-12
更新日
-