既存添加物の安全性確保のための規格基準設定に関する研究

文献情報

文献番号
201426031A
報告書区分
総括
研究課題名
既存添加物の安全性確保のための規格基準設定に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H26-食品-一般-001
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
穐山 浩(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
  • 天倉 吉章(松山大学 薬学部)
  • 多田 敦子(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
  • 杉本 直樹(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
  • 受田 浩之(高知大学 教育研究部総合科学系生命環境医学部門)
  • 井之上 浩一(静岡県立大学 薬学部)
  • 永津 明人(金城学院大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
国の成分規格が設定されていない既存添加物約140品目について、流通実態や今後の成分規格作成の技術的実現性を調査研究し、成分規格作成の優先順序を判断する。また今後の規格設定が可能と考えられる品目については、含有成分の解析と基原確認及び成分規格試験法の検討を進める。また規格試験として、酸化防止剤には抗酸化活性測定法の導入を検討し、酸化防止剤の規格試験法素案を作成する。また苦味料や増粘剤等、複雑な混合物の品目に関しても特性値を指標とした規格試験法の開発を模索する。また第9版公定書に収載予定の酵素の基原に関しては、種の同定に至っていない菌種があることから、種の同定を解析する方法を確立する。
研究方法
既存添加物の流通状況、安全性試験実施状況、成分規格の整備状況を調査した。成分規格未設定の品目について含有成分を解析した。有効成分(指標成分)の標準品設定のため、定量NMRを利用した純度検定等を行った。公的な規格試験法に利用できる抗酸化活性標準操作法の確立を検討した。DPPH法による酸化防止剤評価方法を確立し,含有成分が多種のため分離分析が困難な酸化防止剤の抗酸化活性評価を実施し、活性成分含有量との比較を行った。食品添加物公定書、日本薬局方、JECFA、EU、FCC、JIS、JCSS等における粘度測定法を調査し比較整理した。第9版公定書に収載予定の酵素の基原に関しては、種の同定に至っていない菌種があることから、種の同定を解析する方法を検討した。
結果と考察
第9版公定書に未収載の既存添加物の中から、第10版公定書の作成に備え検証規格の作成を実施した。既存添加物名簿収載のゲンチアナ抽出物の品質規格作成のための化学的検討を行い、gentiopicroside及びamarogentinを指標成分として確認、定量する方法を作成した。「クチナシ黄色素」および「サフラン色素」の成分規格を行うため、比較検討を実施し、ゲニポシドにおいては、クチナシ黄色素から僅かであるが検出した。「ムラサキイモ色素」と「ムラサキヤマイモ色素」の含有成分解析の検討では、LC-MSによる成分分析を行った結果、ムラサキイモ色素成分に関しては、ほぼ同定した。チコリ色素の規格試験法の含有成分解析の検討では、指標成分の有無の調査、試験法案を作成した。モウソウチク抽出物の含有成分解析の検討では、1種の新規化合物を単離し、その構造を明らかにした。生コーヒー豆抽出物の含有成分解析の検討では、主検出成分はcaffeine、カフェー酸及びフェルラ酸誘導体であった。既存添加物クエルセチンの定量法確立のための基礎的検討を行い、標準試薬(qNMR純度適用)を用いたLC/UVによるquercetinの定量が最も適切であることが示唆した。複数試験機関での評価研究が行われプロトコールの妥当性確認が終了しているDPPH法とORAC法を用い、既存添加物に分類される酸化防止剤の力価評価を行い、両方法による評価結果の相関は、酸化防止剤に含まれる主要抗酸化成分の種類に影響を受け、大きく異なることが判明した。食品添加物公定書、日本薬局方、JECFA、EU、FCC、JIS、 JCSS等における粘度測定法を調査し比較整理した。パパイヤ植物種から簡単にDNAを抽出する方法を確立した。
結論
第9版公定書に未収載の既存添加物の中から、第10版公定書の作成に備え検証規格の作成を実施した。ゲンチアナ抽出物の成分解析を行い、定量する方法を作成した。「クチナシ黄色素」および「サフラン色素」の比較検討を実施し、ゲニポシドにおいては、クチナシ黄色素から僅かであるが検出した。「ムラサキイモ色素」と「ムラサキヤマイモ色素」の検討では、ムラサキイモ色素成分はほぼ同定した。チコリ色素の基礎的な検討として、指標成分の有無の調査、試験法案を作成した。モウソウチク抽出物の品質規格作成のための化学的検討では、1種の新規化合物を単離し、その構造を明らかにした。生コーヒー豆抽出物の品質規格作成のための化学的検討では、主検出成分はcaffeine、カフェー酸及びフェルラ酸誘導体であった。既存添加物クエルセチンの定量法確立の基礎的検討を行い、標準試薬(qNMR純度適用)を用いたLC/UVによるquercetinの定量が最も適切であることが示唆した。複数試験機関での評価研究が行われプロトコールの妥当性確認が終了しているDPPH法とORAC法を用い、酸化防止剤の力価評価を行った。両方法による評価結果の相関は、酸化防止剤に含まれる主要抗酸化成分の種類に影響を受け、大きく異なることが判明した。食品添加物公定書やJECFA等における粘度測定法を調査し比較整理した。パパイヤ植物種から簡単にDNAを抽出する方法を確立した。

公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201426031Z