文献情報
文献番号
201426028A
報告書区分
総括
研究課題名
次世代バイオテクノロジー技術応用食品等の安全性確保に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-食品-一般-015
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 一成(国立医薬品食品衛生研究所 生化学部)
研究分担者(所属機関)
- 山本 卓(広島大学大学院理学研究科・ゲノム生物学)
- 吉松 嘉代(医薬基盤研究所・植物細胞工学)
- 中村 公亮 (国立医薬品食品衛生研究所・生化学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
13,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
遺伝子組換え(GM)技術の急速な進歩に伴い、ゲノム編集などの次世代バイオ技術が食品分野でも応用されつつあるため、これを用いて作出されたGM生物の安全性や規制の在り方や検知方法に関する検討が急務となっている。現在技術開発競争が先行し、安全性の観点からの研究が遅れていることから、食品の安全性確保の観点からの対応も遅れをとるのではないかと危惧されており、また、技術面においても標準プロトコールが存在しないなどの問題が指摘されている。用いる技術によっては痕跡が全く残らないGM生物が作出可能と予想されることから、食品用途として安全上問題があるGM生物が氾濫する危険性も示唆されている。このような状況を鑑み、技術の整理、開発、安全性および海外の開発状況よ規制の考えたかに関する情報収集を行う。
研究方法
次世代組換え技術の中で、ゲノム編集について、技術開発およびそれを用いた細胞あるいは生物の安全性を、TALEN, CRISPR/Cas9 を用いて行う。また、遺伝子導入による周辺遺伝子発現量に与える影響を3C解析で、またoff-target切断を次世代シークエンサーで解析する。Cas9リコンビナントタンパク質を作製して、毒性やアレルゲン性を検討する。遺伝子組換え食品データベース作成に関し,NBTの開発状況を調査する。イネ等植モデル植物を作成し、組換え形態、検知法検討等を検討する。各国の開発状況や規制状況は、各国の規制機関の報告や科学論文を精査し、問題点も明らかにする。
結果と考察
(1)技術開発について、遺伝子ノックインを簡便に行う新規手法(PITCh法)を開発した。ジャガイモにTALEN を適用して目的遺伝子のノックアウトを行った。(2)安全性について、TALENおよびCRISPR/Cas9を用いた時のオフターゲット効果は,エキソン領域のみの解析ではあるが,自然界で起きる変異以上の変化はなかった。染色体構造上の有意な変化は認められなかった。リコンビナントCas9タンパクの消化管内安定性のための分解性試験を行い、素早く分解し,毒性やアレルゲン性を示す可能性は低いことを明らかにした。(3)組換え食品を想定して、遺伝子ノックインによる周辺遺伝子発現量の変化を調べたところ、最大2桁変化することが示され、挿入位置の重要性が示唆された。また、次世代シークエンサーを用いてアグロバクテリウム法由来の短いボーダー配列等を指標に導入遺伝子の解明を可能にした(4)イネを用いてTALENによる変異体作製を行った。(5)情報収集について、次世代遺伝子組換え技術を用いた動物および植物について検索した結果,ヤギ、ヒツジ、ニジマス、サケなどの動物のほか、小麦、トウモロコシにも適用され始めており商業化も今後進んでいくことが考えられた。ゲノム編集技術では、CRISPR/Cas9の適応が多く、イネ、コムギ、トウモロコシ、トマトなど多くの作物に実施されていた。、国別ではアメリカと中国の研究が大部分であった。
結論
ゲノム編集技術は、動物のみならず植物でも適用されてきている。効率的な欠失による目的遺伝子のノックアウトなどが可能になったと考えられる。一方で、全ゲノム解析を行ってoff-target切断やside effectを詳細に検討した例は極めて少なく、安全面からの検討が不足している。今年度、細胞レベルで全ゲノム改解析を行った結果を詳細に検討して行く必要がある。また、遺伝子導入に伴う周辺遺伝子に与える影響から挿入位置も考慮する必要性が示唆された。技術面では、アメリカのほか中国が多くの生物に適用しており、今後の開発動向を注目する必要がある。
公開日・更新日
公開日
2015-06-01
更新日
-