文献情報
文献番号
201426023A
報告書区分
総括
研究課題名
非動物性の加工食品等における病原微生物の汚染実態に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-食品-一般-010
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
朝倉 宏(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
研究分担者(所属機関)
- 春日 文子(国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部)
- 窪田 邦宏(国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部)
- 杉山 広(国立感染症研究所 寄生動物部)
- 田口 真澄(大阪府立公衆衛生研究所 感染症部)
- 廣井 豊子(帯広畜産大学 畜産衛生学研究部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
7,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、(1)病原微生物(細菌・寄生虫)の汚染実態に関する研究、(2)容器包装詰低酸性食品のボツリヌス対策に関する研究、(3)食中毒や食品汚染実態等に関する情報収集研究、より構成され、非動物性食品における病原微生物の汚染実態を把握すると共に当該食品に対してとるべき対策を議論する上での基礎知見の集積を図ることを目的とする。
研究方法
リステリアの検出はISO 11290-1 (2004)及びISO 11290-2 (2004)に準拠し、定性・定量試験を行った。また、分離株の遺伝子解析としてはリボプリンターシステム及びPFGEを用いた。菌叢解析には16s rRNA pyrosequencing法を用いた。回虫汚染実態は、日本臨床寄生虫学会誌から検索・抽出して求めた。寄生虫卵の検出法として超音波洗浄法の有効性を検討した。たくあん中のボツリヌス生存試験には、A型菌5種混合或はB型菌5種混合の芽胞液を添加後、0-360日の間で回収試験を行った。酸化還元電位の測定には、電気培養装置を用いた。微生物規格基準の動向に関する情報調査には、EFSA報告書を用いた。
結果と考察
浅漬の細菌汚染実態に関する検討では、同一製品から継続的にリステリア・モノサイトゲネス(以下LM)陽性を示す検体が見出されたため、当該検体の製造施設事業者と管轄行政食品衛生担当者に協力を求め、製造環境調査を行った。計3施設の製造環境からLM検出を試みた結果、何れも冷蔵庫、包装室床の溜水、製品充填機周辺からLMが検出され汚染箇所が特定された。分離株の遺伝子型別成績より、各施設内での持続LM汚染が推察された。行政担当者の指導下で改善方法が検討され、複数回の調査を行った2施設では最終製品からLMが検出されない状況へと改善された。また、昨年度実施した、衛生的な浅漬製造施設でのパイロットスタディで採取した中間製品を菌叢解析に供し、塩漬と殺菌工程を通じた菌叢の顕著な変動が確認され、同工程の有効性が改めて実証された。更に、衛生規範改正後の浅漬検体における指標菌検出状況を改正前と比較したところ、顕著な生菌数と大腸菌群数の低下が認められ、同規範の有効性が確認された。
寄生虫に関する検討としては、昨年度の回虫症に続いて文献資料の検索に取り組み,最近の鉤虫症と鞭虫症の発生状況の詳細を調べた。その結果、鉤虫症と鞭虫症も少数ながら実際に日本国内で発生している事実が分かった。土壌媒介寄生蠕虫の感染源となる非動物性食品の特定は重要であり、その作業を効率的に実施するため、今年度は超音波を用いた非動物性食品の寄生虫卵検査法を構築して検討し、従来法と同等の虫卵回収率を示しつつ、効率的に検出できることを明らかにした。
容器包装詰低酸性食品のボツリヌス対策としては、昨年度の検討で指導内容(pH)を逸脱していることが明らかとなった「たくあん」製品を検体として保存実験を行なった。4 °Cおよび30 °Cでの保存試験では、経時的なpH、酸化還元電位値の上昇が見られた。ボツリヌス菌は、保存初期15日目で減少したが、その後は維持或は微細な上昇傾向も見られ、更に継続して長期的な保存試験の必要性があると思われた。また、クロストリジア属菌の発育を許容する酸化還元電位幅は約-200~+200mVの広範囲に及ぶことが明らかとなり、同値をボツリヌス菌の発育阻止する理化学指標として用いる意義は必ずしも大きくはないと考えられた。
情報収集に関する項目では、欧州食品安全機関(EFSA)が2014年に発表した一連の報告書を中心に文献調査を行い、1)サラダ用葉物野菜の一次生産過程に大腸菌に関する衛生規格基準を設定すべきである、2)カット済み果物・野菜等を対象とした大腸菌に関する工程衛生規格基準は、サラダ用葉物野菜の加工工程における適正農業規範、適正衛生規範、適正製造規範、HACCP実施の評価の指標となる、3)サラダ用の丸ごとの葉物野菜、ベビーリーフ、マルチリーフ、丸ごとのトマト、丸ごとのメロン・スイカにサルモネラに関する食品安全規格基準を設定することを検討してもよい、等の科学的見解を把握した。
寄生虫に関する検討としては、昨年度の回虫症に続いて文献資料の検索に取り組み,最近の鉤虫症と鞭虫症の発生状況の詳細を調べた。その結果、鉤虫症と鞭虫症も少数ながら実際に日本国内で発生している事実が分かった。土壌媒介寄生蠕虫の感染源となる非動物性食品の特定は重要であり、その作業を効率的に実施するため、今年度は超音波を用いた非動物性食品の寄生虫卵検査法を構築して検討し、従来法と同等の虫卵回収率を示しつつ、効率的に検出できることを明らかにした。
容器包装詰低酸性食品のボツリヌス対策としては、昨年度の検討で指導内容(pH)を逸脱していることが明らかとなった「たくあん」製品を検体として保存実験を行なった。4 °Cおよび30 °Cでの保存試験では、経時的なpH、酸化還元電位値の上昇が見られた。ボツリヌス菌は、保存初期15日目で減少したが、その後は維持或は微細な上昇傾向も見られ、更に継続して長期的な保存試験の必要性があると思われた。また、クロストリジア属菌の発育を許容する酸化還元電位幅は約-200~+200mVの広範囲に及ぶことが明らかとなり、同値をボツリヌス菌の発育阻止する理化学指標として用いる意義は必ずしも大きくはないと考えられた。
情報収集に関する項目では、欧州食品安全機関(EFSA)が2014年に発表した一連の報告書を中心に文献調査を行い、1)サラダ用葉物野菜の一次生産過程に大腸菌に関する衛生規格基準を設定すべきである、2)カット済み果物・野菜等を対象とした大腸菌に関する工程衛生規格基準は、サラダ用葉物野菜の加工工程における適正農業規範、適正衛生規範、適正製造規範、HACCP実施の評価の指標となる、3)サラダ用の丸ごとの葉物野菜、ベビーリーフ、マルチリーフ、丸ごとのトマト、丸ごとのメロン・スイカにサルモネラに関する食品安全規格基準を設定することを検討してもよい、等の科学的見解を把握した。
結論
少ない菌数ながらもリステリア汚染を認めた浅漬製品の製造環境を調査し、汚染源を特定した上で、清浄化指導を通じた最終製品からの当該菌除去に成功した。寄生虫汚染実態は引き続き行う必要があるが、実態把握に有用となる迅速簡便な虫卵検査法に係る検証を来年度実施予定である。容器包装詰低酸性食品で常温流通している「たくあん」製品でのボツリヌス菌生存挙動をより長期的に精査する必要性が考えられた。製造加工に係る規範・基準設定を考える上で優先度の高い、食品-微生物の組み合わせを情報収集した。
公開日・更新日
公開日
2015-06-26
更新日
-