文献情報
文献番号
201426018A
報告書区分
総括
研究課題名
畜水産食品中に含まれる動物用医薬品等の安全性確保に関する研究
課題番号
H25-食品-一般-005
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
渋谷 淳(国立大学法人東京農工大学大学院 農学研究院動物生命科学部門)
研究分担者(所属機関)
- 梅村 隆志(国立医薬品食品衛生研究所 病理部)
- 吉田 敏則(国立大学法人東京農工大学大学院 農学研究院動物生命科学部門 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
4,550,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
動物薬の発がん性に関して、細胞周期障害に焦点を当てた発がん性短期予測指標の確立、ニトロフラン(NF)類の腎遺伝毒性発がん機序の解明、新たな非遺伝毒性発がん機序の解明を目指す。
研究方法
細胞周期指標解析では、ラットを用いて、肝発がん物質を最長28日間投与時の肝臓でのG1/S期チェックポイント関連分子、動物薬等の細胞増殖誘導性に乏しい肝発がん物質・プロモーターを最長90日間投与時の肝臓や腎発がん物質を最長28日間投与時の腎臓でのM期スピンドルチェックポイント関連分子の発現を経時的に解析した。NF類の腎遺伝毒性解析では、Nrf2欠損gpt deltaマウスでのニトロフラントイン(NFT)とニトロフルフラール (NAF)のin vivo変異原性を解析した。また、新たな非遺伝毒性発がん機構として非ミクロソームROS産生源であるNOXに着目し、高脂肪飼料給餌による高NOX状態で、マラカイトグリーン (MG)によるラット肝発がん促進時でのNOX阻害剤のアポシアニン(APO)等の併用効果を検討した。
結果と考察
細胞周期変化の解析では、投与28日目で肝発がん物質特異的なG1/S期チェックポイント機能の破綻が見出された。細胞増殖誘導性に乏しい肝発がん物質・プロモーターは、90日間投与してもM期チェックポイント機能障害指標は反応しなかった。腎発がん物質には投与28日目にM期チェックポイント機能破綻を示す物質の他に、細胞周期障害を伴わずに細胞増殖を促進する物質もあった。NF類の解析では、Nrf2ホモ欠損マウスのNFT投与群のみでgpt 変異体頻度が上昇したため、NFTの遺伝毒性機序への酸化ストレスの関与と、それに対するNRF2の防御機能が示唆された。一方、NFAは遺伝毒性を示さず、NF骨格の側鎖構造に依存した遺伝毒性が示唆された。肝発がん促進シグナルの解析では、APOの併用により、MG投与により増加した肝前がん病変数と、前がん病変内での細胞増殖とアポトーシスの指数、NOX蛋白陽性細胞率が抑制され、MGによる肝発がん機序にNOXの関与が示唆された。
結論
動物薬等の発がん物質により誘導される細胞増殖活性の亢進や細胞周期変化の獲得過程が明らかとなった。NFTの遺伝毒性発現機序に酸化ストレスの関与が示唆された。高NOX環境下でのMGによる発がん促進による過程にNOXの関与が示唆された。
公開日・更新日
公開日
2015-06-08
更新日
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