いわゆる健康食品による健康被害情報の因果関係解析法と報告手法に関する調査研究

文献情報

文献番号
201426006A
報告書区分
総括
研究課題名
いわゆる健康食品による健康被害情報の因果関係解析法と報告手法に関する調査研究
課題番号
H24-食品-一般-006
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
梅垣 敬三(独立行政法人国立健康・栄養研究所 情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 浩(静岡県立大学薬学部)
  • 石見 佳子(独立行政法人国立健康・栄養研究所 食品保健機能研究部)
  • 志村 二三夫(十文字学園女子大学)
  • 千葉 剛(独立行政法人国立健康・栄養研究所 情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
10,308,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
いわゆる健康食品(以下、健康食品)による健康被害の未然防止・拡大防止を目的に、健康被害情報の効果的な収集法、因果関係の分析法の開発、健康食品特有の健康被害に関する安全性の基礎実験ならびに調査研究を行う。
研究方法
健康食品による健康被害の因果関係評価法としてポイント付評価法と樹枝状評価法を開発し、本年は情報の偏りのない架空事例を用いた評価法の信頼性と妥当性を検討し、その実用性を主に薬局で検討した。健康食品素材の安全性の検討として、ハーブの薬物代謝酵素に対する影響、酵母中のセレンの分析法に関する検討を行った。また、幼児と医薬品服用者における健康食品・サプリメントの利用実態を調査した。
結果と考察
本研究において開発した有害事象の因果関係評価法は信頼性・汎用性が高く、種々雑多な情報のスクリーニング法として、実用的であることが明らかにできた。特に薬局における実用性検討では、薬剤師にそれほど負担をかけずに約2万名の患者の聞き取りができ、健康食品の利用率、有害事象の発生率、医薬品との相互作用に関する情報が収集可能なことが明らかとなった。ハーブ製品の安全性検討として、食品添加物の安全性試験手法を参考にした肝薬物代謝系酵素等の影響評価法が有害事象の検出に有用なこと、ミネラル酵母の分析法の妥当性を明らかにした。幼児と医薬品服用者における健康食品・サプリメントの利用実態調査では、幼児の利用経験者は8%であり、製品の詳細を把握しないで幼児に与えている母親が32%存在すること、医薬品服用者の中で医療機関受診者の利用目的として「病気の治療」が高く、利用者の約7割が医師・薬剤師に伝えておらず、全体の8.4%が利用により体調不良を経験していたことが明らかとなった。
結論
健康食品と健康被害の因果関係を評価する評価法が、種々雑多な健康食品関連の有害事象のスクリーニング法として信頼性・実用性が高いことが明らかになった。ハーブやミネラルに関する安全性の実験結果、また小児や医薬品服用者における健康食品の利用実態調査結果は、有害事象の収集や分析および安全性確保に資する情報と考えられた。以上の研究成果を活用することで、健康食品が関係した健康被害の未然防止・拡大防止が可能となる。

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
2015-09-07

文献情報

文献番号
201426006B
報告書区分
総合
研究課題名
いわゆる健康食品による健康被害情報の因果関係解析法と報告手法に関する調査研究
課題番号
H24-食品-一般-006
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
梅垣 敬三(独立行政法人国立健康・栄養研究所 情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 浩(静岡県立大学薬学部)
  • 石見 佳子(独立行政法人国立健康・栄養研究所 食品保健機能研究部)
  • 志村 二三夫(十文字学園女子大学)
  • 千葉 剛(独立行政法人国立健康・栄養研究所 情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
いわゆる健康食品(以下、健康食品)による健康被害の未然防止・拡大防止を目的に、健康被害情報の効果的な収集法、因果関係の分析法の開発、健康食品特有の健康被害に関する安全性の基礎実験ならびに調査研究を行う。
研究方法
健康食品に特化した健康被害の因果関係評価法に関して、健康食品との関連が疑われる実際の情報(苦情を含む)を適用して、信頼性と妥当性を高める改変をした。保健所・消費者センター・企業で扱われている健康食品との関連が疑われる被害情報を入手し、その特徴の分析・情報収集法・因果関係評価法の実用性を検討した。天然・自然を標榜した健康食品の原材料(特にハーブ、酵母)に関する安全性の実験的検討、ハイリスクグループ(高齢者、病者、小児、妊婦)における健康食品の利用実態についてアンケート調査を行った。
結果と考察
健康食品の特性を加味した2つの因果関係評価票を開発し、その信頼性・汎用性を確認した。健康食品の被害情報として、保健所を介して厚生労働省に集約されている情報、消費者センターを介して国民生活センターに集約されている情報、各企業が顧客から受けている情報の特徴を調べ、健康被害として消化管症状やアレルギー症状が多いことを明らかにした。また、収集した一部の情報を因果関係評価票に適用し、評価法として樹枝状評価法が実用的で、消費者対応および健康被害情報の取り扱いと報告に役立つことを確認した。天然・自然を標榜した健康食品の原材料に関する安全性について、医薬品との相互作用の視点で検討し、コレウスフォルスコリなどが医薬品と相互作用を起こす可能性を示した。ハイリスクグループ(高齢者、病者、妊婦、乳幼児)のアンケート調査から、高齢者および病者では、年齢が上がるに従って健康食品を治療目的に利用する割合が高くなり、その利用を医師に伝えていないこと、妊婦は推奨時期などを正しく理解しないで葉酸サプリメントを利用していること、母親は製品の詳細を把握しないで乳幼児にサプリメントを与えていることを明らかした。以上の結果から、健康食品・サプリメントの安全性確保において、正しい情報提供が重要と考えられた。
結論
健康食品と健康被害の因果関係評価法が、種々雑多な健康食品関連の有害事象のスクリーニング法として信頼性・実用性が高いことが明らかになった。天然・自然を標榜した健康食品素材の安全性の実験的評価において、必ずしも安全とはいえない事例があった。ハイリスクグループにおける健康食品の利用実態調査から、不適切な利用が行われていることが明らかとなった。以上の研究成果を活用することで、健康食品が関係した健康被害の未然防止・拡大防止が可能となる。

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
2015-09-07

行政効果報告

文献番号
201426006C

成果

専門的・学術的観点からの成果
健康食品による健康被害の因果関係を客観的に評価する方法は、これまで国内外で見当たらない。本研究で作成した因果関係評価法は信頼性・汎用性・実用性が高く、被害事例を効率的にスクリーニングできる方法である。また、健康食品による健康被害は、小児、妊婦、高齢者で起きやすいと考えられ、それらの対象者の健康食品の利用実態と問題点が明らかにできた。
臨床的観点からの成果
健康食品は適正な医療を行う上での障害となっている。本研究で示した因果関係評価票、特に高齢者で認めた医師に健康食品の利用を伝えていない実態は、臨床的な観点で重要である。
ガイドライン等の開発
健康食品の安全性確保における行政対応で必要な基礎資料が得られた。2015年から始まった機能性表示食品に関して、健康被害情報の収集に関するガイドラインの参考資料となっている。
その他行政的観点からの成果
情報収集と因果関係評価法に関する研究成果は、消費者委員会「「健康食品」の表示等の在り方に関する建議」(2013年1月29日)の中の対応の一つとして紹介された。また、消費者庁の「食品の新たな機能性表示制度に関する検討会」(第4回2014年4月4日)において、機能性表示食品の安全性確保における一つの方法として参照された。第8回機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会(平成28年9月1日)において紹介された。
その他のインパクト
健康食品関連の業界紙で取り上げられた。また、日本食品衛生学会と日本臨床薬理学会のいわゆる健康食品に関するシンポジウムで得られた成果を紹介した。

発表件数

原著論文(和文)
8件
原著論文(英文等)
7件
その他論文(和文)
2件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
22件
学会発表(国際学会等)
5件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
山田浩、一丸佳代、小野彩奈、他
健康食品の摂取に伴う有害事象の因果関係評価のための樹枝状アルゴリズムの構築
臨床薬理 , 43 (6) , 399-402  (2012)
原著論文2
一丸佳代、井出和希、小野彩奈、他
健康食品の摂取に伴う有害事象の因果関係評価のための樹枝状アルゴリズムの改変
臨床薬理 , 44 (5) , 405-410  (2013)
原著論文3
梅垣敬三、山田浩、千葉剛、他
健康食品に関する健康被客事例の情報源およびその有用性評価
食衛誌 , 54 (4) , 282-289  (2013)
原著論文4
Yokotani K, Chiba T, Sato Y et al.
Influence of dietary macronutrients on induction of hepatic drug metabolizing enzymes by Coleus forskohlii extract in mice.
J Nutr Sci Vitaminol , 59 (1) , 37-44  (2013)
原著論文5
佐藤陽子, 中西朋子, 千葉剛 他
妊婦における神経管閉鎖障害リスク低減のための folic acid 摂取行動に関する全国インターネット調査
日本公衆衛生雑誌 , 61 , 321-332  (2014)
原著論文6
Chiba T, Sato Y, Nakanishi T et al.
Inappropriate usage of dietary supplements in patients by miscommunication with physicians in Japan.
Nutrients , 6 (12) , 5392-5404  (2014)
10.3390/nu6125392
原著論文7
Umegaki K, Yamazaki Y, Yokotani K et al.
Induction of fatty liver by Coleus forskohlii extract through enhancement of de novo triglyceride synthesis in mice.
Toxicology Reports , 1 , 787-794  (2014)
原著論文8
千葉剛、佐藤陽子、中西朋子、他
特定保健用食品の利用実態調査
日本栄養・食糧学会誌 , 67 (4) , 177-184  (2014)
原著論文9
Chiba T, Sato Y, Suzuki S et al.
Concomitant Use of Dietary Supplements and Medicines in Patients due to Miscommunication with Physicians in Japan.
Nutrients , 7 (4) , 2947-2960  (2015)
10.3390/nu7042947

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
2018-07-05

収支報告書

文献番号
201426006Z