被災後の子どものこころの支援に関する研究

文献情報

文献番号
201424056A
報告書区分
総括
研究課題名
被災後の子どものこころの支援に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H26-医療-指定(復興)-002
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
五十嵐 隆(独立行政法人国立成育医療研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 奥山 眞紀子(独立行政法人国立成育医療研究センター)
  • 菊池 信太郎(医療法人仁寿会 菊池記念こども保健医学研究所)
  • 小平 雅基(総合母子保健センター愛育クリニック)
  • 立花 良之(独立行政法人国立成育医療研究センター)
  • 中板 育美(公益社団法人 日本看護協会)
  • 福地 成(みやぎ心のケアセンター)
  • 藤原 武男(独立行政法人国立成育医療研究センター)
  • 舟橋 敬一(埼玉県立小児医療センター)
  • 本間 博彰(宮城県子ども総合センター)
  • 山本 恒雄(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会日本子ども家庭総合研究所)
  • 植田 紀美子(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター)
  • 亀岡 智美(兵庫県こころのケアセンター)
  • 杉山 登志郎(浜松医科大学)
  • 西田 佳史(独立行政法人産業技術総合研究所 デジタルヒューマン工学センター)
  • 本間 生夫(東京有明医療大学)
  • 本村 陽一(独立行政法人産業技術総合研究所サービス工学研究センター)
  • 八木 淳子(岩手医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
76,924,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
東日本大震災から3年以上が経過したが、未だ避難生活者が多い(20万人以上)現状であり、被災後の環境によるストレスが大きく影響し、子どものトラウマの回復が遅れ、持続するストレスによる影響が出現している危険が高い。本研究は①被災後の子どものメンタルヘルスケアに関して中長期のケアの実態を検討し、②外部からの支援のあり方、③精神症状への予防やケア、精神症状が出現した子どもへの治療に関してエビデンスのある方法を標準化して提示し、④子どものメンタルヘルスという視点からの今後の災害に役立つ情報を収集することを目的として研究を行った。
研究方法
各分担研究者が実際に支援を行い、その結果が纏められた。いわて子どものケアセンターでは他職種ケースマネージメント研修会の結果を分析して効果と課題が検討された。宮城では専門医が117校を訪問して現状を把握しつつ、一地域5校でコンサルテーションをする形で定点観測した。福島では郡山市の子ども27,000人の体力・運動能力調査の結果の分析、小学校での1300人を対象とした活動量調査を行った。他県への避難児に関しては経年で行った全国自治体への調査を総合分析した。遺児・孤児へのケアは聞き取り調査を行い、親族里親制度利用の利点と問題点を含めて分析した。保健師への聞き取り調査の結果より「災害時の親子の心のケア-保健師活動ロードマップ」を作成。支援・治療の標準化に関しては、呼吸ストレッチ等呼吸法を被災地の協力小学校全校で持続的に行って効果を実証し、現地だけで行える体制を構築した。キャンプを利用した心理教育を経年的に行い、延べ参加者124名の効果を実証した。福島県で行ってきた全県下の学校での心理教育・巡回相談等の支援事業の結果を分析した。症状を有した子どもの治療法として世界的に効果が実証されているトラウマに焦点化された認知行動療法を日本で利用できる基盤構築の一環として、応用である喪失体験を伴った子どもへのCBTにも対応した。作成した障がい児保育充実のためのツールを福島にて普及し、全福島県公立保育所の主任保育士記録を分析して震災後の3年間の子どもの変化と保育所の取り組みを纏めた。外部の支援者により3年間の子ども達の症状推移が纏められた。実証した遠隔支援を基盤に、特別支援学校への支援を行った。構築した支援者支援のホームページを基礎として、現地と東京でワークショップを行った。開発した遊具を情報システムと組み合わせて現地だけで行えるような方法を組み立てた。文化的配慮に関しては、海外支援者の聞き取り調査を基に、被災後早期に支援した6名と海外から支援した1名に聞き取り調査を行った。長期的なストレスにより複雑性トラウマの増加があるため、その脳科学研究者と治療の専門家を海外から招いて愛知と岩手と東京で講義を聞いて研修した。これら全ての研究結果を基に、分担研究者全員で東京で2日間のシンポジウム+ワークショップを行い、今後の災害に備えるための冊子を編纂した。
結果と考察
岩手、宮城、福島の各県で被災後3年以上たっても支援が必要な子どもは多く、福島・宮城で肥満が増加していた。ケアシステムの構築が続けられ、「連携」構築の効果があった。県外避難児童受け入れ、遺児・孤児支援の課題、被災保育園への公的支援が提言された。「災害時の親子のこころのケア-保健活動ロードマップ」が作成された。
エビデンスのある支援法として、呼吸ストレッチ等呼吸法、教室での心理教育、キャンプでの心理教育、等が提示され、長期的な効果が示された。現地で継続できる移行が行われた。治療としては、心的外傷性悲嘆に対するTF‐CBTの治療ガイドブックが翻訳されトレーニングにより日本で使用できるようになった。親のトラウマ症状への遠隔支援効果が分析され、特別支援学校でも遠隔支援が行われた。
障がい児保育のツールが開発され、ネットでも対応できるようになった。健康被害に関する不安の高い福島において保育士対象のヘルスリテラシー研修が行われて、高い受容が示された。
外部からの支援者により、子どものこころの問題の変遷が明らかになった。また、支援に当たっては地域の文化への配慮の必要性が明確になった。支援者の疲弊に関する支援者支援のホームページを基礎にワークショップが行われ、支援者支援の必要性やあり方が示された。有効と考えられる遊具とSNSを組み合わせて、現地で行える支援構築を行った。
本研究の結果を総合してシンポジウム&ワークショップを行い160名の参加を得、「子どものメンタルヘルスリスク軽減のための災害マネージメント」を編纂した。
結論
 被災後3年たっても子どもの心の問題は継続、複雑化しており、支援の構築を進めていく必要がある。本研究結果を基に研修を行い、今後の災害への備えに利用するための冊子を編纂した。

公開日・更新日

公開日
2016-02-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201424056C

収支報告書

文献番号
201424056Z