文献情報
文献番号
201424055A
報告書区分
総括
研究課題名
被災地における心不全患者の在宅療法に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H26-医療-指定(復興)-001
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 信夫(独立行政法人国立循環器病研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 小川 久雄(国立循環器病研究センター)
- 下川 宏明(東北大学大学院医学系研究科 循環器内科学分野)
- 坂田 泰彦(東北大学大学院医学系研究科 循環器内科学分野)
- 岡山 明(国立循環器病研究センター 予防健診部)
- 中村 元行(岩手医科大学医学部内科学講座 心血管・腎・内分泌内科分野)
- 竹石 恭知(福島県立医科大学医学部循環器・血液内科学講座)
- 河野 雄平(国立循環器病研究センター 生活習慣病部門)
- 中谷 武嗣(国立循環器病研究センター 移植部)
- 宮本 恵宏(国立循環器病研究センター 予防健診部、研究開発基盤センター予防医学疫学情報部)
- 西村 邦宏(国立循環器病研究センター 統合情報センター統計解析室)
- 安斉 俊久(国立循環器病研究センター 心臓血管内科)
- 桑原 健(国立循環器病研究センター 薬剤部)
- 宍戸 稔聡(国立循環器病研究センター 研究推進支援部)
- 河原田 修身(国立循環器病研究センター 心臓血管内科)
- 石原 正治(国立循環器病研究センター 心臓血管内科)
- 浅海 泰栄(国立循環器病研究センター 心臓血管内科)
- 竹上 未紗(国立循環器病研究センター 予防医学・疫学情報部)
- 安田 聡(国立循環器病研究センター 心臓血管内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
135,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
『被災地における心不全患者の在宅療法に関する実態調査』を、東北地区に既存する心不全コホートの枠組みを用いて行う。調査にあたっては、『Web上での循環器病管理システム・生活習慣病管理システム(仮称)』を用いることで、研究補助員や保健師の作業効率化と標準化をはかる。また被災地は「少子高齢化が進むこれからの日本社会の近未来像」とも考えられるため、他の既存コホート(都市型を含む)との比較を行う。
研究方法
被災地における心不全患者在宅医療の実態調査:東北地区24基幹病院(東北心不全協議会)による慢性心不全前向きコホート:CHART-2研究(NCT00418041)を活用する。この
循環器コホート研究解析比較:循環器疾患全般にわたり全国レベルで心不全関連データを収集するシステムを整備し、モデル策定に役立てる。国立循環器病研究センター移植部は国内有数の心臓移植施設であり、体内設置型補助人工心臓植え込み患者数も増えている。このような最重症心不全例に対する在宅医療モデルを構築する。
被災地における循環器病管理WEBシステムの構築:在宅心不全患者Web管理システムを開発しその有用性を検証する。
生活習慣病・生活不活発病への介入:被災地はもともと塩分摂取量の多い地域であることかた、塩を減らそうプロジェクトとして病院減塩食のレシピを提供し、血圧管理をゴールとした支援を岩手県東北部の震災被災地である野田村および久慈保健所管内行う。また在宅心不全患者およびそのハイリスク群に対して長期の保健指導を実施した場合、入院率、死亡率に加え生活習慣・検査成績が改善するかを明らかにすることを目的とした介入試験を行う。
循環器コホート研究解析比較:循環器疾患全般にわたり全国レベルで心不全関連データを収集するシステムを整備し、モデル策定に役立てる。国立循環器病研究センター移植部は国内有数の心臓移植施設であり、体内設置型補助人工心臓植え込み患者数も増えている。このような最重症心不全例に対する在宅医療モデルを構築する。
被災地における循環器病管理WEBシステムの構築:在宅心不全患者Web管理システムを開発しその有用性を検証する。
生活習慣病・生活不活発病への介入:被災地はもともと塩分摂取量の多い地域であることかた、塩を減らそうプロジェクトとして病院減塩食のレシピを提供し、血圧管理をゴールとした支援を岩手県東北部の震災被災地である野田村および久慈保健所管内行う。また在宅心不全患者およびそのハイリスク群に対して長期の保健指導を実施した場合、入院率、死亡率に加え生活習慣・検査成績が改善するかを明らかにすることを目的とした介入試験を行う。
結果と考察
全国1298施設を対象にした循環器疾患診療実態調査では、急性心筋梗塞患者数69,219名/年、心不全入院患者数212,739名/年に及ぶことが明らかになった。東北地区24病院による慢性心不全コホート・東北慢性心不全登録CHART (Chronic Heart failure Analysis and Registry in the Tohoku district)-2を活用し、介護・在宅医療の実態調査を行った。対象は10219例の登録症例中、2012年6月の段階で死亡が確認されていなかった8368例である。在宅における服薬状況や医療機関・制度との関連を中心に十数項目からなるアンケートを2012年10月にかけて発送し、2013年1月末までに62%の症例から有効回答を得て解析を行った。在宅の日常における意識に関しては、服薬に関してはほぼ処方通りに内服がなされていることが明らかとなったが、心不全の管理において重要な体重測定や、水分制限、塩分制限は必ずしもその意識が徹底されていないことが明らかとなった。平成24年度より開発を進めてきた在宅心不全患者Web管理システム(以下、開発システム)のフィージビリティに関して、同意を得た男性3名、女性2名の計5名に対し、入力テストを実施することで検証した。対象者が入力した情報は、すべてWebサーバを介して、臨床研究用サーバに設置した患者情報管理DBに保存できることを確認した。更に宮城県の保険薬局薬剤師を対象に、心不全の病態と薬物療法に関する講習、並びにフィジカルアセスメント研修を計3回にわたり実施した。研修を実施するにあたり、宮城県薬剤師会と共同で研修プログラム・テキストの作成を行った。
結論
本研究では、高齢者において「罹患率が高く」かつ「致命的」な疾患である心不全患者に着目し、同疾患をモデルとして在宅医療を推進し、早期回復と患者の負担軽減が図られる方策を提言することを目的とした。高齢化社会に伴って心不全患者数は増加し続け、近年我が国の患者数は100万人以上、治療費は1兆200億円相当とも推計されている。心不全在宅医療には、① 医療情報通信技術を活用した在宅心不全患者Web管理システム(健康管理、食事・栄養管理、服薬管理)や血圧・脈拍のテレモニタリングの導入、② 地域の薬剤師・保健師を積極的に活用した「新しい在宅医療チーム」構築とそのための効果的な研修支援体制 がKey Pointになるものと思われる。在宅療法による管理を行うことにより、仮に入院した場合でも入院日数の短縮が期待でき、医療費の大幅な抑制につながること、再入院率の回避により患者の生活の質の向上が期待される。
公開日・更新日
公開日
2016-02-03
更新日
-