市町村における在宅医療・介護の連携の促進とその客観的評価に関する研究

文献情報

文献番号
201424038A
報告書区分
総括
研究課題名
市町村における在宅医療・介護の連携の促進とその客観的評価に関する研究
課題番号
H26-医療-指定-025
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
大島 伸一(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 鳥羽 研二(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
  • 大島 浩子(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
  • 三浦 久幸(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
  • 辻 哲夫(東京大学高齢社会総合研究機構)
  • 飯島 勝矢(東京大学高齢社会総合研究機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
6,930,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
在宅医療介護連携推進に資するために、1)『在宅医療・介護連携のための市町村ハンドブック』の有用性の検討、2)『在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会』の普及とその評価、3)在宅医療・介護連携を客観的に評価する指標を検討すること。
研究方法
1)2県2次医療圏8地域の地域包括ケアシステム関係者を対象に、『在宅医療・介護連携のための市町村ハンドブック』の配布と解説を行い、教育効果として理解度、応用可能性に関する質問紙調査を実施した。
2)『在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会』に関するツールの公開による普及を図るとともに、研修受講者を対象に、研修受講事前・直後・1年後の研修プログラムに関する質問紙調査を実施した。
3)在宅医療拠点を対象に、事業終了後の在宅医療・介護連携推進に関する客観的指標を用いた質問調査を実施した。
(1)市町村等中心の230の事業所を対象に、平成26年10月~11月に、在宅医療介護連携推進事業終了1年後の追跡調査
(2)医療機関等中心の105事業所を対象に、平成26年9月~10月に、在宅医療連携拠点事業終了2年後の追跡調査
結果と考察
1)217名を分析対象とした職種別の検討から、平均値は、医師と保健師が高く、行政事務官は全体をわずかに上回る程度で、介護支援専門員は低かった。正答・誤答の割合は、医療職がともに多く、事務系は未記入が多かった。また、連携準備法の理解と資源の把握方法の理解度が低く、医師の医療・介護連携の準備手順の誤答が多かった。
2)全国の13地域において在宅医療多職種連携研修会の普及が確認された。受講者における研修の事前・直後の第1段階Reaction、第2段階Knowledgeのレベルは総じてポジティブな変化が確認された。
3)客観的指標による在宅医療・介護連携の推移
(1)市町村等中心:在宅医療介護連携推進のタスクのうち、対象の8割以上が会議・研修の開催、住民啓発に取り組むと回答したが、24時間体制構築への取り組みは3割と他のタスクより低く、前年度より低かった(p<0.05)。客観的指標のうち、年間訪問診療患者数、在院日数、短期入所介護利用者数、在宅医療介護連携グループ数に増加が認められたが(p<0.05)、24時間体制は0件、在宅医療に新たに参入する年間かかりつけ医の数は8名、年間在宅看取り数は約60名と昨年度と同程度に推移していた。かかりつけ医の在宅医療への参入に関して新しい知見が得られた。退院から在宅療養支援、在宅看取り支援体制を含めた24時間在宅医療・介護連携体制の構築が喫緊の課題と考える。
(2)医療機関中心:診療所の在院日数、訪問リハビリテーション数、訪問看護指導算定件数、在宅療養を目的とした病院への年間緊急搬送数、教育・研修システム化数、在宅医療推進リーダー数は各々増加し、24時間体制、在宅医療に新たに参入するかかりつけ医の数に減少が認められた(p<0.05)。高齢者と家族が24時間安心して最期を迎えられる地域としてのシステムの構築活動には結びつかないことを示唆していると考える。医療機関が在宅療養から看取りを見通した支援にシフトしていくことが今後の課題と考える。
結論
1)『在宅医療・介護連携のための市町村ハンドブック』の職種別の有用性の検討から、今後は介護職をより重視したハンドブックの内容の充実が求められた。
2)「在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会」は全国に普及されつつあり、受講者において短期的には良好な反応を得ている。引き続き評価検証が必要である。
3)在宅拠点の在宅医療介護連携活動の推移から、主体別に有し得る機能が示唆された。
(1)市町村中心:在宅医療介護連携を目的とした会議、研修、住民啓発が中心であり、24時間体制の構築はほとんど取り組まれていないが、かかりつけ医の在宅医療への新規参入活動の機能を有し得る。
(2)医療機関中心:24時間体制や各地域において新たに在宅医療に取り組むかかりつけ医を増やす活動には限界があるが、在宅療養支援を目的とした在宅医療連携拠点の機能を有し得る。

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201424038Z