国際医療交流(外国人患者の受入れ)に関する研究

文献情報

文献番号
201424032A
報告書区分
総括
研究課題名
国際医療交流(外国人患者の受入れ)に関する研究
課題番号
H26-医療-指定-019
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
遠藤 弘良(東京女子医科大学 国際環境・熱帯医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 川口 陽子(東京医科歯科大学大学院健康推進歯学分野)
  • 岡村 世里奈(国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野)
  • 遠矢 雅史(公益財団法人日本医療機能評価機構事業推進部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
1,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
①歯科医療機関における外国人患者の受入れの状況を把握、②国際医療交流の世界的な潮流に関する継続的な把握、③外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)への関心から認証取得に至る行動変容の分析、④医療通訳体制の現状と課題の整理、を目的とした。
研究方法
①東京都医療機関案内サービス「ひまわり」を利用して検索・調査を行った。
②国際医療交流に関する海外の国際会議等の中で最も規模が大きい「The 7th World Medical Tourism& Globall Health Conference」(2014年9月20~23日、ワシントンDC,米国)に参加し
情報収集・分析を行った。
③平成25年度に実施した外国人患者の受入れ実態調査結果を基に、JMIP認証に関心があると回答した病院に訪問調査を行った。
④2014年8月29日に東京、9月12日に大阪において、外国人患者を受入れている医療機関の参加を得て、受入れの課題抽出のためのワークショップをそれぞれ開催し、続いて、課題の中で最も重要と思われた医療通訳体制の課題について、12月15日に東京において医療通訳体制を整えている病院からヒアリング勉強会を開催した。
結果と考察
①東京都内の歯科医療機関における外国人患者への対応については、英語はすべての対応レベルを
合計すると、60%以上の歯科医療機関が対応可能としていたが、「言葉に不自由することなく対応
が可能」としていたのは、4.8%であった。英語以外に関してはすべての対応レベルを合わせても
5%以下であり、そのほとんどが、「会話の自信はないが図示や単語の羅列で対応が可能」であった。
②国際医療交流の最新の国際動向は、「患者安全」や「ケアの継続性」、「感染症対策」、「医療
機関やファシリテーターに対する規制や質の向上を目指した取り組み」等の問題に対して引き続き関心が高いことに加え、国際医療交流類型の多様化が進んでおり、また国際医療交流自体に対して規制を行う国が増えてきている点等がある。
③JMIPについて「認証取得に関心」から実際に「認証取得」に行動を変容するためには、ア)
情報共有などの場の設定、イ)国や県レベルの積極的かつ継続的な支援の実施、などが必要であることが判った。
④医療通訳体制に関しては、ア)配置型や派遣型、電話通訳等様々な種類がある、イ)必要とされる
対象言語や対象外国人患者の種類は、当該病院の性格や地域性によって大きく異なる、ウ)共通課題
としては、「休日・夜間の医療通訳者の確保」、「医療通訳者の養成・質の確保」、「医療通訳コス
トの問題」等がある、エ)医療通訳者の役割は単なる通訳行為にとどまらず、院内文書の翻訳や日本の診療の流れやシステムを外国人患者に説明するという、いわゆるアシスタント業務的なものも大きいということ、オ)医療通訳は必要ないと考えていた病院においても、医療通訳の導入により外国人患者と医療者間のコミュニケーションが円滑になり診療の質の向上や未収金防止等の効果が見られた等が明らかとなった。
結論
①今後は歯科に関する多言語のコミュニケーションツールの開発ならびに活用が必要である。
②世界に通用する国際医療交流を推進してゆくための方策を具体的に検討する必要がある。
③外国人患者受入れ病院とそれを支える民間組織との情報共有の場の設定や国・県レベルの積極的かつ継続的な支援が必要である。
④個々の医療機関では対応困難な「休日・夜間の医療通訳者の確保」、「医療通訳者の養成・質の確保」、「医療通訳コストの問題」について国や地方自治体による施策を検討する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2015-05-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201424032C

収支報告書

文献番号
201424032Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,948,000円
(2)補助金確定額
1,843,900円
差引額 [(1)-(2)]
104,100円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 70,000円
旅費 337,600円
その他 983,300円
間接経費 448,000円
合計 1,838,900円

備考

備考
JMIP認証制度評価の対象となる認証病院数が予定数より少なく、施設訪問に要する旅費が予定より少なかったため。

公開日・更新日

公開日
2016-02-03
更新日
-