業務フロー図に基づく医療の質向上と安全確保を目指した多職種協働チームの構築と研修教材・プログラム開発に関する研究

文献情報

文献番号
201424019A
報告書区分
総括
研究課題名
業務フロー図に基づく医療の質向上と安全確保を目指した多職種協働チームの構築と研修教材・プログラム開発に関する研究
課題番号
H26-医療-一般-013
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
飯田 修平(公益社団法人全日本病院協会)
研究分担者(所属機関)
  • 西澤 寛俊(公益社団法人全日本病院協会 )
  • 永井 庸次(株式会社日立製作所 ひたちなか総合病院)
  • 長谷川 友紀(東邦大学医学部)
  • 嶋森 好子(公益社団法人東京都看護協会)
  • 小谷野 圭子(公益財団法人東京都医療保健協会 練馬総合病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
3,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
病院では多職種が多部署で同時並行して業務を遂行し、臨時や変更が多く、業務フローが複雑である。業務フローを可視化し、標準化・共有の仕組みを構築して、多職種協働・役割分担・責任権限を明確化することが必要である。
全日本病院協会では、医療安全管理者養成講習会で根本原因分析(RCA)、故障モード影響解析(FMEA)等を、厚生労働省「医療の質の評価・公表等推進事業」(平成22、24、25年度)、厚生労働省「多職種協働によるチーム医療の推進事業」(平成25年度)で業務フロー図作成講習等を実施したが、多職種が関与する診療行為等の質向上と安全確保に活用可能な教材、講師、インストラクタ等の養成は今後の課題として残された。
研究方法
(1)多職種で業務フロー図作成、インシデント・アクシデント事例解析演習を実施する。初年度は特に業務フロー図作成支援ツール開発を、次年度は各病院の業務フロー図事例等を収集する。ハイリスクで、医療事故の様態別割合で最も多い与薬業務に焦点を当てる。講習会でのグループワークと共に参加病院内での業務フロー図作成と改善事例収集をする。
(2)医療安全管理活動における多職種の協働の状況を明らかにするために、全国アンケート調査を実施する。また、業務フロー図作成の実態、医療安全への貢献度等を全国調査する。
(3)欧米における多職種協働チーム構築に関して、医療安全体制の調査により検討する。
(4)医療安全推進のために、いずれの医療機関においてもすべき医療安全行動について検討する。
結果と考察
(1)研修を、①「特性要因図・業務フロー図作成研修会」(平成26年8月2日・3日)、②「医療ITと安全・個人情報保護・機密保護研修会」(平成26年10月25日・26日)の2回開催した。
(2)全国の病院3953病院に対してアンケート調査を実施し1146病院より回答を得た(回答率29.0%)。
(3)医療安全管理に関する多職種の専門教育が行われている。公的病院のGeneral Director(GD:総長に相当))には、弁護士、会社経営経験者、医師などが就任することが多い。その下に、診療、事務の統括責任者が配置される。医療安全管理者は多くの病院に配置されている。
(4)いずれの医療機関でもなすべき医療安全行動として、①患者確認行動、②要注意薬品の適切な管理、③手術及び侵襲性の高い処置における「タイムアウト」、④転倒・転落防止対策、⑤経鼻胃管先端位置確認の5項目に取り組むべきである。
結論
(1)多くの病院の分析結果について情報共有をはかることにより改善を支援できる可能性がある。参加者の評価はおおむね肯定的であったが、特性要因図を自院で活用できるまでには、一層の支援が必要であることが示唆された。
(2)多くの医療機関では、多職種が協働して医療安全管理活動にあたっていた。今後は、医療安全管理活動や、重大な医療事故の原因究明における、看護師以外の職種の関与の度合いや、その役割、参加した効果等を検証する必要があると考えられた。
(3)院内調査については、方式を定めた規定はなく、地方行政府が専門家の紹介などの支援を行っている。これについては日本への導入も検討すべきと考える。
(4)各医療機関が基本的な5つの医療安全行動を確実に実施できるようになるために、各項目に関して安全な業務フローを設計する上で基本となるコンテンツを提供することが必要である。

公開日・更新日

公開日
2016-02-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201424019Z