文献情報
文献番号
201424012A
報告書区分
総括
研究課題名
小児在宅医療の推進に関する研究
課題番号
H26-医療-一般-006
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
前田 浩利(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科発生発達病態学分野)
研究分担者(所属機関)
- 田村 正徳(埼玉医科大学総合医療センター 小児科 新生児学)
- 小沢 浩(島田療育センターはちおうじ 神経小児科 小児神経学)
- 奈良間 美保(名古屋大学大学院 小児看護学)
- 梶原 厚子(NPO法人あおぞらネット)
- 中村 知夫(国立成育医療研究センター 総合診療部在宅診療科)
- 田中 総一郎(東北大学大学院)
- 山田 雅子(聖路加看護大学 看護実践開発研究センターキャリア開発支援室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
3,080,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書（概要版）
研究目的
我が国は医療技術の進歩によって、世界で最も子どもが病気で死なない国になった。未熟児の出生率は、約10%でOECD加盟国中最多にもかかわらず、新生児の救命率は世界１である。しかし、一方でそれが、医療ケアと医療機器に依存して生きるこどもたちを急激に増やすことになった。それらの子どもたちを既存の病院中心の医療システムでは、受け切れなくなっており、高齢者が自宅で在宅医療を受けるように、自宅で医療を受けながら生活せざるを得なくなってきた。しかし、それを支える小児在宅医療は、制度、社会資源などの整備が大幅に遅れている。そのために、病院から地域への移行が遅れ、高度医療機関が満床で稼働できなくなったり、自宅で生活しながら家族が疲弊し、家族崩壊や、子どもの病状の悪化などの問題が発生している。当研究では、小児在宅医療の整備のために必要な制度、社会資源整備のための方策を明らかにする。
研究方法
小児在宅医療の対象となる患者は3つの群に分けられる。第1群は、NICUの卒業生。この子どもたちの支援には、医療ケアと子育てが一体化した支援が必要になる。第2群は、新生児期には明らかな異常は認めないが、成長に伴い異常が出現してくる群。筋ジストロフィー、小児癌、代謝異常症、先天性心疾患などの難病、事故や脳症で重い障害を持った子どもである。第3群は、これまで地域で生活してきた医療ケアが必要なかった重症心身障害児が加齢に伴い、経管栄養、気管切開、人工呼吸器などの重い医療ケアを受けている患者の群。この群では、主介護者の両親の健康問題が大きい。これらの3つの群に対して、医師、看護師、リハビリスタッフ、福祉職がどのように協働し、支援すればよいのかを、支援者をつなぐコミュニケーションツールの開発も含めて検討したい。そのために初年度は、3群の対象者の実態調査を行うと共に、3層（医療、健康、福祉）の支援の社会制度、社会資源の実情を調査、把握する。2年目にその成果を合わせ、0歳から50歳までを支える仕組み、特に介護保険との繋がりも含めての支援体制、地域モデルについて検討したい。
結果と考察
本研究で検討した結果、推定では、医療ケア、医療機器が必要な中学3年生以下の子どもだけでも、全国で少なく見て約48360名、その中で人工呼吸器を使用しているのが2440名いる。それらの子どもを支えるためには、医療面のみならず、健康維持、促進、さらに生活を支えるための仕組みが不可欠だが、現状の福祉と医療の制度では、そのような支援の構築が極めて困難である。
小児医療の急激な進歩によって生じた医療機器、医療ケアが必要な子どもたちの病態が、制度や社会資源に適合しなくなっている結果、そのような子どもたちが病院以外では生きていけない状況になっている。
小児医療の急激な進歩によって生じた医療機器、医療ケアが必要な子どもたちの病態が、制度や社会資源に適合しなくなっている結果、そのような子どもたちが病院以外では生きていけない状況になっている。
結論
小児在宅医療の対象となる医療ケア、医療機器が必要な子どもを支えるためには医療と福祉の制度の再構築に基づいた協働の仕組み、小児における地域包括ケアが必須で、その上に人材育成、多職種連携のICTの開発が必要である。
公開日・更新日
公開日
2015-06-11
更新日
-