文献情報
文献番号
201424006A
報告書区分
総括
研究課題名
感染制御システムのさらなる向上を目指す研究/特に中小医療施設を対象として
課題番号
H25-医療-一般-005
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
小林 寛伊(東京医療保健大学 大学院 医療保健学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 森屋 恭爾(東京大学 医学部 感染制御学講座)
- 賀来 満夫(東北大学大学院 医学系研究科)
- 大久保 憲(東京医療保健大学 医療保健学部)
- 緒方 剛(茨城県筑西保健所)
- 村上 啓雄(岐阜大学医学部附属病院 生体支援センター)
- 渡會 睦子(東京医療保健大学 医療保健学部)
- 菅原 えりさ(東京医療保健大学 大学院 医療保健学研究科)
- 吉田 理香(東京医療保健大学 大学院 医療保健学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
3,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
厚生労働省 院内感染対策中央会議の提言に基づき、継続的研究項目に新項目を加え、8項目 ①地域支援ネットワーク構築の現状分析と今後のより効果的支援策に関する提言 ②中小医療施設への訪問ラウンドと合同カンファレンスによる介入 ③インフェクション・コントロール・チーム ラウンド時介入項目リストIntervention Item List2014 年度版の活用実績評価による改訂 ④中小病院/診療所を対象としたガイドライン及びマニュアルの改訂 ⑤医療機関と保健所との協力体制 ⑥インフェクション・コントロール・ナース及びインフェクション・コントロール・ドクターの日常業務必要時間に基づく算定 ⑦委託業者に対する感染対策研修等の現状調査 ⑧院内感染関連法令・通知等の検討を、総合的に研究実施し、特に中小医療施設を対象とした感染制御システムの更なる向上を目的とした。
研究方法
①感染対策防止加算1および2を算定した医療機関を対象に調査を行い、合同カンファレンスの実状を明らかすると共に、モデルケースとなる岐阜県内感染防止対策加算算定全施設におけるデータ月例収集とフィードバックにより、地域にどのような変化がもたらされるかを検討した。②東京医療保健大学大学院 感染制御実践看護学講座の自施設実習において、指導者による訪問ラウンドとラウンド後のカンファレンスを行い、ラウンド時、包括的視点で指導を可能とする重点確認事項をまとめた「建設設備および環境的視点からみる自施設訪問ラウンドチェック項目」を考案、更にはその活用結果について調査検討した。 ③1年目の活用実績から、現場改善状況を分析し、改善の見られにくかった項目を中心に改訂をした。 ④中小病院/ 診療所を対象にした医療関連感染制御策指針(ガイドライン)2009、小規模病院/有床診療所施設内指針(マニュアル)2009―単純かつ効果的マニュアルの1 例―、無床診療所施設内指針(マニュアル)2009―単純かつ効果的マニュアルの1 例―、を改訂し2013 年度版を1年目の研究として作成したところであったが、2014年12月の厚生労働省医政局地域医療計画課長からの通知(医政発地発1219第1号)を受け、この通知と齟齬のないよう調整改訂する必要性が生じたことから、2014年版を作成。 ⑤昨年度作成した院内感染管理についての保健所の中小病院などへの支援・連携指針 2013 (案)について、様々な関係者から意見を聞くと共に、その後の状況変化を踏まえ改訂し院内感染管理についての保健所の中小病院などへの支援・連携指針 2014を作成した。また、写真集「中小医療機関と保健所のための院内感染防止ラウンドと立入検査における目のつけどころと改善例に関する写真集」の作成を企画し、サンプルとして、全体の構成(目次)と水回りの改善例を紹介した。⑥過去6年間に我が国で公表されているICNの必要人数に関する調査結果と、今年に行った感染制御実践看護学講座の受講生を対象としたデルファイ法に基づく調査の結果から、約255床に1名が必要であると算出した。 ⑦2013(平成25)年8 月に総務省が公表した「医療安全対策に関する行政評価・監視結果に基づく勧告」を受け、清掃業者、洗浄・消毒・滅菌管理業者に携わる病院清掃受託責任者と日本医療機器学会および日本滅菌業協会に所属する滅菌技師/士および受託責任者を対象に、所属施設内での感染制御に関する教育研修の現状を調査した。⑧院内感染対策関連通知の内容が現場の状況からみて、具体的な実施事項として妥当性について、最近数年間に発出された厚生労働省通知および事務連絡等に関して検討した。
結果と考察
感染制御策専門の先進的な研究者に分担、協力を仰ぎ行われた当研究は、8項目の施策を総合的に関連性を持たせてまとめられ、特に、感染制御専門の職員配置ができず組織化も進まなかった中小医療施設においても、感染制御が実践、推進できるように考案したものである。 一方、2012年に改正された感染防止対策診療報酬加算制度が、我が国の感染制御体制を大きく前進させ、また、底上げ効果をもたらしていることをも証明した。常に、時代に応じた国策としての感染制御システムと、施設事情に関わらず取り組むことのできる具体的対応策としての感染制御システムが、相互に作用することが、特に中小医療施設を対象とした感染制御システムの更なる向上には必要不可欠である。
結論
8項目にも亘る幅広い視野に立った施策を効果的に組み合わせた本研究は、国内の82%にも及ぶ中小医療施設を意識した施策を中心としており、感染制御システムの更なる向上に資すること多大であり、また、国外のシステムを模倣せず、国状に即したシステム構築により成果を得ていることは、医療安全、患者サービスに大きく貢献したものと確信する。
公開日・更新日
公開日
2015-06-09
更新日
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