抗C型肝炎ウイルス活性と高いインターフェロン誘導能を併せ持つ高機能型核酸医薬の創製に関する研究

文献情報

文献番号
201423021A
報告書区分
総括
研究課題名
抗C型肝炎ウイルス活性と高いインターフェロン誘導能を併せ持つ高機能型核酸医薬の創製に関する研究
課題番号
H24-肝炎-若手-009
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
山口 朋子(独立行政法人医薬基盤研究所 創薬基盤研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 櫻井 文教(大阪大学大学院 薬学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 肝炎等克服実用化研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、抗HCV薬としてSmall Interfering RNA (siRNA)やLocked Nucleic Acid (LNA)などの核酸医薬が注目され、臨床試験でも優れた治療効果が得られている。しかし既存の核酸医薬は、副作用軽減のため自然免疫を活性化しないよう設計されており、患者の免疫機能が活用されていない。優れた核酸医薬を開発するには、免疫賦活化能を付与する必要がある。そこで、本研究では、C型肝炎ウイルス(HCV)の感染を抑制可能な核酸医薬を化学修飾することで、本来の抗HCV活性に加えて、インターフェロン(IFN)を誘導可能な我が国独自の高機能型核酸医薬を創製することを目的とする。
研究方法
IFNを高効率に誘導かつ複数のHCV遺伝子を同時にノックダウン可能なsiRNAの開発;昨年度までに 5’末端に3リン酸基を有した分岐型siRNA(3ptsiRNA)を作製した。そこで今年度は、3ptsiRNAのインターフェロン(IFN)誘導機構およびHCV増殖抑制能について検討した。
miR-122aに対する阻害能とIFN誘導能を兼ね備えたASOの開発;昨年度までにmiR-122aのアンチセンス配列にRIG-Iに結合可能な5’末端に3リン酸基をもつ二本鎖RNAを繋げた新規ASO(LNA-122DS)を作製した。そこで今年度は、LNA-122DSのIII型インターフェロン(IFN)誘導能および自然免疫活性化がHCVゲノムの増殖抑制に及ぼす寄与ついて検討した。
結果と考察
近年、抗HCV薬としてSmall Interfering RNA (siRNA)やLocked Nucleic Acid (LNA)などの核酸医薬が注目され、臨床試験でも優れた治療効果が得られている。しかし既存の核酸医薬は、副作用軽減のため自然免疫を活性化しないよう設計されており、患者の免疫機能が活用されていない。優れた核酸医薬を開発するには、免疫賦活化能を付与する必要がある。そこで今年度は、昨年度までに開発した5’末端に3リン酸基を有した分岐型siRNA(3ptsiRNA)を用いて、IFN誘導機構について検討した。その結果、末端構造は、Blunt endおよびSticky endどちらにおいても同等のノックダウン効率および自然免疫活性化能を有することが示された。また、3ptsiRNA作用群においてHCVレプリコンゲノムのノックダウンと自然免疫活性化による更なるHCV増殖の抑制は観察されなかったものの、核酸医薬によって自然免疫を活性化することによりHCV増殖を抑制可能であることが示された。さらに、miR-122aのアンチセンス配列にRIG-Iに結合可能な5’末端に3リン酸基をもつ二本鎖RNAを繋げた新規ASO(LNA-122DS)のIII型インターフェロン(IFN)誘導能および自然免疫活性化がHCVゲノムの増殖抑制に及ぼす寄与ついて検討した。その結果、LNA122-DSは肝細胞において自然免疫を活性化し、従来のASOであるmiR-122aに対するASOより高いHCV増殖抑制効果を示すものの、それにおける自然免疫活性化の寄与は低いことが示唆された。
結論
1. 3ptsiRNAは、主にRIG-Iを介して自然免疫を活性化させること、そのためには5’末端の3リン酸基が重要であることが示された。
2. 3ptsiRNAの末端は、Blunt end、 Sticky endどちらでも同等の自然免疫活性化能およびノックダウン効率を有することが示された。
3. LNA122-DSは、主にRIG-Iを介して3型IFNの発現を誘導することが示された。
4. LNA122-DSによるHCV増殖抑制効果は、miR-122a阻害や自然免疫活性化以外の経路も存在することが示された。

公開日・更新日

公開日
2017-01-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201423021B
報告書区分
総合
研究課題名
抗C型肝炎ウイルス活性と高いインターフェロン誘導能を併せ持つ高機能型核酸医薬の創製に関する研究
課題番号
H24-肝炎-若手-009
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
山口 朋子(独立行政法人医薬基盤研究所 創薬基盤研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 櫻井 文教(大阪大学大学院薬学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 肝炎等克服実用化研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、抗HCV薬としてSmall Interfering RNA (siRNA)やLocked Nucleic Acid (LNA)などの核酸医薬が注目され、臨床試験でも優れた治療効果が得られている。しかし既存の核酸医薬は、副作用軽減のため自然免疫を活性化しないよう設計されており、患者の免疫機能が活用されていない。優れた核酸医薬を開発するには、免疫賦活化能を付与する必要がある。そこで、本研究では、C型肝炎ウイルス(HCV)の感染を抑制可能な核酸医薬を化学修飾することで、本来の抗HCV活性に加えて、インターフェロン(IFN)を誘導可能な我が国独自の高機能型核酸医薬を創製することを目的とする。
研究方法
IFNを高効率に誘導かつ複数のHCV遺伝子を同時にノックダウン可能なsiRNAの開発; 5’末端に3リン酸基を有した分岐型siRNA(3ptsiRNA)を開発し、3ptsiRNAのインターフェロン(IFN)誘導機構およびHCV増殖抑制能について検討した。
miR-122aに対する阻害能とIFN誘導能を兼ね備えたASOの開発;miR-122aのアンチセンス配列にRIG-Iに結合可能な5’末端に3リン酸基をもつ二本鎖RNAを繋げた新規ASO(LNA-122DS)を作製し、LNA-122DSのIII型インターフェロン(IFN)誘導能および自然免疫活性化がHCVゲノムの増殖抑制に及ぼす寄与ついて検討した。
結果と考察
5’末端に3リン酸基を有した分岐型siRNA(3ptsiRNA)を用いて、IFN誘導機構について検討した結果、末端構造は、Blunt endおよびSticky endどちらにおいても同等のノックダウン効率および自然免疫活性化能を有することが示された。また、3ptsiRNA作用群においてHCVレプリコンゲノムのノックダウンと自然免疫活性化による更なるHCV増殖の抑制は観察されなかったものの、核酸医薬によって自然免疫を活性化することによりHCV増殖を抑制可能であることが示された。さらに、miR-122aのアンチセンス配列にRIG-Iに結合可能な5’末端に3リン酸基をもつ二本鎖RNAを繋げた新規ASO(LNA-122DS)は、I型およびのIII型インターフェロン(IFN)を誘導可能であることが示された。また、LNA122-DSは肝細胞において自然免疫を活性化し、従来のASOであるmiR-122aに対するASOより高いHCV増殖抑制効果を示すものの、それにおける自然免疫活性化の寄与は低いことが示唆された。
結論
IFNを高効率に誘導かつ複数のHCV遺伝子を同時にノックダウン可能な多足型siRNAおよびmiR-122a阻害能とIFN産生誘導可能な新規ASOであるLNA122-DSの開発に成功した。

公開日・更新日

公開日
2017-01-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201423021C

収支報告書

文献番号
201423021Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,400,000円
(2)補助金確定額
10,400,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 7,867,886円
人件費・謝金 0円
旅費 43,340円
その他 88,774円
間接経費 2,400,000円
合計 10,400,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2016-05-23
更新日
-