急性感染も含めた肝炎ウイルス感染状況・長期経過と治療導入対策に関する研究

文献情報

文献番号
201422008A
報告書区分
総括
研究課題
急性感染も含めた肝炎ウイルス感染状況・長期経過と治療導入対策に関する研究
課題番号
H25-肝炎-一般-010
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
田中 純子(広島大学 大学院医歯薬保健学研究院疫学・疾病制御学)
研究分担者(所属機関)
  • 内田茂治(日本赤十字社血液事業本部 中央血液研究所)
  • 山崎一美(国立病院機構 長崎医療センター)
  • 池田 健次(虎の門病院 肝臓センター肝臓内科)
  • 相崎英樹(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
  • 日野啓輔(川崎医科大学医学部 内科学)
  • 江口有一郎(佐賀大学 肝疾患医療支援学 )
  • 三浦 宜彦(埼玉県立大学)
  • 阿部 弘一(岩手医科大学医学部 内科学講座)
  • 島上哲朗 (金沢大学附属病院 消化器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 肝炎等克服政策研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
33,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肝炎、肝がんによる健康被害の抑制、防止および体制整備を目標とした疫学基盤研究
肝炎・肝がん対策推進(関連事案の評価、再構築)に対応可能な疫学的基礎資料を収集、提示すること
研究方法
基礎医学、臨床医学、社会医学の専門家の参加を得て組織的に実施
結果と考察
Ⅰ. 新規感染も含めた肝炎ウイルス感染状況に関する疫学
1)日赤個別NAT導入後の輸血後肝炎発生予測推定を行い、輸血HBV感染0.7~1.0件/年、同HCVは極めて稀
2)全供血者集団対象としたRetrospective cohort study(287-315万人、5年間)を行い罹患率を推定。HCV新規感染リスクは低下。女性50歳代後半のリスク高、感染症サーベイランスとも合致。感染経路の特定と予防対策が必要。HBVはHCVより高リスク、20歳代の罹患発生。関東、九州等西日本で高傾向。新たな感染経路の探索と感染予防対策は重要
3)健康増進事業HBs抗原検査法の評価を4999人で行い、化学発光法は「凝集法等よる定性検査」より検出率は高いが、住民検診におけるHBs抗原検査法の記載を改訂すべきとは言えず
4)2011-14年職域定期検診時に出前肝炎ウイルス検査を実施、11事業所2105人の過去の検査受検率13.3%低率。HBVキャリア率1.05%、同HCV0.48%、キャリア32人の内13人は初感染を認識
5)2007-13年職域検診ドック43,272人のHBs抗原陽性率男性1.3%女性1.1%、高齢群で高い傾向。27,774人のHCVキャリア率男女とも0.8%、男性40歳前後60歳代、女性5・60歳代が高傾向。初診時臨床診断ではHBVキャリア78人の14%がCH。HCVキャリア24人の4%LC、54%CH
6)20の大規模事業所に属する約60–79万人の診療報酬記録計16828129件のべ2127048人の期間有病率を算出しウイルス性肝疾患関連の患者数推計。肝疾患関連患者数112.4~126.2万。患者調査で補足できない患者推定数を得た。急性肝炎に関して、医師届け出が不十分の可能性。個人IDによる時系列検討により疑診・重複・検査目的例を可能な限り除去した推定が可能

Ⅱ.感染後の長期経過と治療導入対策に関する研究
1)住民コホートHBVキャリア952例の病態進展様式を検討。HBeAg陽性ACからCH進展は年率2%。HBeAg陽性CHからLC進展は年率1%
2)住民コホートHBVキャリア1067例の病態推移モデル数理疫学研究によりsero conversionの時期別検討。より早い年齢のsero conversionを目指した治療が有効
3)2000年以後小型肝癌の発見比率が低下。非B非C型肝癌の低中高リスク群を正確に把握する、1年1回程度の画像診断や半年1回の腫瘍マーカー測定が有用かという具体的な検討が必要
4)肝細胞癌患者の治療前に外科的切除か内科的治療かの選択決定には、EOB-MRIによる腫瘍肉眼型の推定と、ADC値の測定で客観的にかつ正確に腫瘍の微小血管浸潤の程度の予測が重要
5)C型肝炎抗ウイルス療法非介入例のDAAs治療効果の可能性について、繊維化と長期予後を検討し、治療効果の最も期待できる集団と判断
6)空腹時血糖やHbA1c測定では糖尿病と診断できないC型慢性肝炎症例は、75gOGTTインスリン負荷120分値の上昇が肝線維化進展の危険因子であり、積極的な糖負荷試験を行うことにより肝病態の進展抑止にも役立つ
7)H23年度全国肝炎受検率調査データ23720件による三次解析を実施、自己申告受検率に関連する要因を多変量解析により検討した結果、はがきによる個人への勧奨、肝炎ウイルス検査の重要性を記した分かりやすいパンフレットの配布、B型/C型肝炎の病態や治療法の情報提供、無料検査や治療費助成の周知が受検率向上に寄与
8)岩手、岐阜、茨城、石川、佐賀、広島のキャリア対策と治療導入対策では、フォローアップシステムFSの導入効果や改善点が提示。医療機関への未受診や通院中断のHCVキャリアの対策が必要。人間ドック検診受診後の陽性者への働きかけ重要。ポスターよりチラシを局所的に大量に配布する事が有効。FSに参加した約50%が年一回の専門医療機関受診に結びついていない。精密検査受診群は有意に受診勧奨があった。ウイルス性肝炎がほとんど症状を呈する疾患でないために感染の重大性が理解出来ないことが課題

Ⅲ.対策の効果評価および効果測定指標に関する研究
300~370万人であった肝炎ウイルス持続感染者は2011年時点210-275万人と推定された。肝炎ウイルス検査は急速に普及し施策の効果が認められた。検査受検後の政策が必要
結論
得られた知見は研究目的に適う

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201422008Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
40,000,000円
(2)補助金確定額
40,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 13,192,081円
人件費・謝金 5,716,783円
旅費 6,007,787円
その他 8,488,449円
間接経費 6,600,000円
合計 40,005,100円

備考

備考
差額分5100円の内訳は、利息84円、自己資金5016円である・