発生動向を理解するためのHIV感染者数の推定手法の開発

文献情報

文献番号
201421035A
報告書区分
総括
研究課題名
発生動向を理解するためのHIV感染者数の推定手法の開発
課題番号
H26-エイズ-若手-004
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
西浦 博(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 エイズ対策研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
855,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、日本におけるHIV感染者数の推定手法を開発し、複数の推定手法の妥当性や推定値の不確実性を比較・評価し、推定値をエイズ発生動向の理解に役立てること。
研究方法
初年度は基本モデルを構築する段階とし、複数の数理モデルを利用して日本全体のHIV感染者数を推定し、その妥当性、信頼性と推定値の不確実性を検討した。2年度目は、まず初年度に検討した基本モデルの推定結果を出版・報告する。また、異なるモデル(競合リスクモデル・隠れマルコフモデル)も検討し、より詳細な観察データに適用する。特に、病変報告制度の変化など、日本の発生動向データの特性に応じた推定を行なう。3年度目には、地域別の診断率・報告率の同時推定も試み、推定のルーチン化のためのプログラム完了を目指す。
結果と考察
多状態モデルを利用することにより、病変報告制度の改訂に対応した尤度方程式が導出された。また、連続時間モデルを積分することによって報告期間の改定に対応した。
 2014年10月時点での日本国内の日本国籍の者におけるHIVの累積感染者数は28249人(95%信頼区間:27550-30142人)と推定された。全感染者における診断率は1986-1990年は時間当たり0.073(95%信頼区間:0.055、0.091)だったが、2006-2011年には0.154(95%信頼区間:0.148、0.160)まで改善した。感染経路別に検討すると、同改善はMSMの者で顕著であった。新規感染の頻度はMSMの者において2006-2011年の区間を最後に最近までに新規感染者数は減少傾向に転じたものと考えられた。
結論
日本におけるHIV感染症の発生動向を理解するための数理モデルを利用した推定研究の第1段目のモデル化と推定を実施した。日本全国で約3万人相当の日本人感染者がいるものと推定され、感染経路別での感染者数および診断率が推定された。2年度目以降、同モデルの原著論文出版に続いて、異なるモデル2件の研究実施に加え、妥当性の検証を着実に進めていく所存である。

公開日・更新日

公開日
2015-06-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201421035Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,111,000円
(2)補助金確定額
1,111,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 839,684円
旅費 15,316円
その他 0円
間接経費 256,000円
合計 1,111,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-06-09
更新日
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