多剤耐性結核に対する新規治療用DNAワクチンの開発・実用化に関する研究

文献情報

文献番号
201420038A
報告書区分
総括
研究課題名
多剤耐性結核に対する新規治療用DNAワクチンの開発・実用化に関する研究
課題番号
H25-新興-一般-016
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 全司(独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 俊洋(ジェノミディア株式会社)
  • 金田 安史(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 井上 義一(独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター 臨床研究センター)
  • 露口 一成(独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター 臨床研究センター)
  • 朝野 和典(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 庄司 俊輔(国立病院機構東京病院)
  • 齋藤 武文(国立病院機構茨城東病院)
  • 三上 礼子(東海大学 医学部)
  • 松本 智成(大阪府結核予防会大阪病院)
  • 熊ノ郷 淳(大阪大学大学院 医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
46,154,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.結核は世界の三大感染症で、多剤耐性結核は、有効な治療法がなく、莫大な医療費など社会への影響大。世界で毎年約50万人発症。HVJ-エンベロープ(E)/HSP65 DNA+IL-12 DNAワクチン治療が実用化されるとそのインパクトは非常に大きい。BCGに代わる新ワクチンの臨床開発は欧米でも成功していない。新規多剤耐性結核治療ワクチン開発が切望されている。
2.ヒトの結核感染に最も近いカニクイザルで本ワクチンは有効性が示されており、今後first in humanの臨床治験に進む必要がある。
3.国内患者数が約200人/年と少なく、公費の医師主導治験で開発する必要性
4.国内では新規技術のDNAワクチン開発が遅れている。国内開発ガイドライン策定に純国産品 first in human治験が必要。
研究方法
1.研究代表者は、HVJ-E/HSP65 DNA + IL-12 DNAワクチンの有効性を、世界に先駆けて、ヒト結核感染に最も近いカニクイザルで明らかにした。臨床で安全性と多剤耐性結核に対する治療効果を明らかにするため、国立病院機構(NHO)で多剤耐性結核に対する医師主導治験(第Ⅰ相)を目指す。
2.この新しい結核ワクチンの効果と毒性・安全性の非臨床試験
(1)ワクチンGMP製造 (2)用法・配合比(pDNAとHVJ-E)試験 (3)GLP毒性試験・安全性試験 (4)PMDA事前面談
3.first in humanの臨床治験を計画。
4.患者基礎データとして、NHOで加療の多剤耐性結核患者のプロフィールや治療内容を把握。
結果と考察
Ⅰ. ワクチンGMP製造
1.治験薬製造用大腸菌マスターセルバンクを元に、GMPレベルのpVAX/HSP65 DNA+ヒトIL-12 DNAを1000㎎作製した(岡田、中島)。暫定規格設定に必要な複数ロットの治験薬製造を完了。品質管理試験で信頼性検証。
2.これをサルに用いて安全性試験・毒性試験。
3.pVAX/HSP65 DNA+マウスIL-12 DNAを180㎎作製した(岡田)。マウスで本ワクチンの用法配合比予備試験。

Ⅱ. 用法・配合比(pDNAとHVJ-E)薬効試験
1.ワクチン用法検討(投与回数及び投与方法検討)が進展(岡田)。BALB/cマウスにワクチンを2週間に3回100μg筋肉内投与し、4w後の脾細胞を抗原HSP65蛋白、PPD刺激で1日培養。コントロールより約10倍強いIFN-γ及びIL-2産生(結核免疫能)を増強した。ワクチン効果確認。(岡田、井上、露口)。
2.マウスでpDNAとHVJ-E配合比検討(岡田)。pDNA:HVJ-E=100μg:100mNAU(1:1)が強力な結核免疫を誘導。
3.HVJ-Eによる遺伝子発現性は中和抗体に関係なく連続投与可能。HVJ-EにIL-12遺伝子封入により、MφのIL-18を介しIFN-γ誘導。(金田)

Ⅲ. GLP毒性試験・安全性試験
1.GLP毒性試験・安全性試験(非臨床試験):サルを用いて、試験デザインを計画(岡田、中島、井上)。
2.サルに本ワクチンを皮下大量投与して毒性試験を行った。摂餌量、体重、血液検査、血液生化学検査。毒性は認められなかった。
3.サル血中ヒトIL-12濃度測定法の検証: 本ワクチン投与カニクイザルの血中ヒトIL-12濃度の測定分析系を確立した。(岡田)
4.本ワクチンの投与液測定法バリデーション: 被験物質の投与量確認試験を行った。(岡田)

Ⅳ. PMDA事前面談
PMDA事前面談を平成26年12月5日に実施。治験届に必要なサル安全性試験パッケージ案を策定。投与経路の最適な筋内投与で策定。また、薬物動態は、pDNAの投与により発現するヒトIL-12を測定する計画。(岡田、中島、井上、三上)

Ⅴ. 多剤耐性結核患者の調査と医師主導治験に向けての計画
1.多剤耐性結核患者の調査と治験に向けての計画を行った。
 ①近畿中央:55名MDR-TB(7年間)のうち20名XDR-TB(露口、松本)。
 ②東京病院:10年間に43名MDR-TB、死亡者多い(庄司)。
 ③茨城東病院:複十字病院を含め1年間でMDR-TB 18名。(齋藤)。
2.医師主導治験に向けて阪大医学部治験管理センター組織化(大阪大を中心)(朝野、熊ノ郷、金田)
結論
1.本ワクチン(HVJ-E/HSP65DNA+IL-12DNA)のGMP製造
2.マウスを用いて本ワクチンの用法試験の予備試験
3.サルを用いたGLP毒性試験・安全性試験の実施、及び計画
4.HVJ-Eのアジュバント効果
5.PMDA事前面談
6.多剤耐性結核患者の調査と医師主導治験に向けての計画

公開日・更新日

公開日
2015-05-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2015-05-25
更新日
-

収支報告書

文献番号
201420038Z