文献情報
文献番号
201420009A
報告書区分
総括
研究課題名
国内における豚インフルエンザ流行動態の解明
課題番号
H26-新興行政-若手-001
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
小澤 真(鹿児島大学 共同獣医学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
2,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
豚由来のインフルエンザウイルスは、パンデミックを引き起こす可能性があるため、その流行動態を注意深く監視する必要がある。しかし、産業構造などの理由により、国内養豚の血清や鼻腔スワブ検体にアクセスするのは難しく、国内における豚インフルエンザの流行動態はほとんど把握されていない。本研究は、国内における豚インフルエンザの流行動態を、血清学的ならびにウイルス学的に解明することで、豚インフルエンザウイルス流行株の人への感染リスクや、豚由来ウイルスが海外から侵入した際の養豚を介した国内蔓延リスクを評価することを目的とする。
研究方法
【抗体調査】
多検体の抗インフルエンザウイルス中和抗体価を効率よく測定するため、遺伝子組換えウイルスを活用して中和試験法を改良する。この改良法を用いて、全国各地から収集する養豚血清検体の中和抗体価を測定し、国内養豚における豚インフルエンザウイルスの浸潤状況を明らかにする。
【ウイルス分離】
豚インフルエンザウイルスを効率よく分離するため、様々な豚由来培養細胞株の中から、発育鶏卵よりも感染感受性が良く、ウイルス増殖効率も優れた細胞株を選び出して、ウイルス分離条件を最適化する。この最適化した分離法を用いて、国内の幅広い地域から収集した養豚鼻腔スワブ検体等からのウイルス分離を進める。
【ウイルス性状解析】
分離した豚ウイルス株の、遺伝子配列、レセプター結合特異性、抗原性などを解析する。
多検体の抗インフルエンザウイルス中和抗体価を効率よく測定するため、遺伝子組換えウイルスを活用して中和試験法を改良する。この改良法を用いて、全国各地から収集する養豚血清検体の中和抗体価を測定し、国内養豚における豚インフルエンザウイルスの浸潤状況を明らかにする。
【ウイルス分離】
豚インフルエンザウイルスを効率よく分離するため、様々な豚由来培養細胞株の中から、発育鶏卵よりも感染感受性が良く、ウイルス増殖効率も優れた細胞株を選び出して、ウイルス分離条件を最適化する。この最適化した分離法を用いて、国内の幅広い地域から収集した養豚鼻腔スワブ検体等からのウイルス分離を進める。
【ウイルス性状解析】
分離した豚ウイルス株の、遺伝子配列、レセプター結合特異性、抗原性などを解析する。
結果と考察
【抗体調査】
中和試験の改良:近年国内で分離された豚インフルエンザウイルスのHA遺伝子を、レポーター遺伝子と共に発現する組換えインフルエンザウイルス・全4種類を作出した。この組換えウイルスを用いて、従来法よりも感度の高い改良型中和試験を確立した。
血清検体の収集ならびに中和抗体価の測定:全国8道県の43農場から集めた母豚約440頭分の血清を用いて、改良型中和試験により抗インフルエンザウイルス中和抗体価を測定した
【ウイルス分離】
分離法の最適化:豚由来の細胞株4種類と発育鶏卵の豚インフルエンザウイルスに対する感受性を比較し、発育鶏卵が最も感受性が高いことがわかった。
豚インフルエンザウイルスの分離:発育鶏卵を用いて、九州の養豚から得られた気管組織乳剤より、1株のA型インフルエンザウイルスを分離した。
【ウイルス性状解析】
遺伝子配列の解析:上記分離株のHA遺伝子ならびにNA遺伝子を解析し、H1N1亜型で、2009パンデミックウイルスの子孫であることを明らかにした
今回確立した改良型中和試験法により、多くの血清検体の抗インフルエンザウイルス中和抗体価を効率よく測定することが可能になる。また、国内の養豚から分離されたインフルエンザウイルスの株数は非常に限られており、今回分離したウイルス株は、貴重な研究資材となる。また、HAならびにNA遺伝子の解析結果から、上記ウイルス株が2009パンデミックウイルスに由来するH1N1亜型ウイルス株であることが判明したことで、国内養豚にもヒト由来ウイルsづが広く浸潤していることが示唆された。今後、このウイルス株抗原性をはじめとする性状を詳しく解析することで、ヒト集団内におけるリスク評価が可能になる。
中和試験の改良:近年国内で分離された豚インフルエンザウイルスのHA遺伝子を、レポーター遺伝子と共に発現する組換えインフルエンザウイルス・全4種類を作出した。この組換えウイルスを用いて、従来法よりも感度の高い改良型中和試験を確立した。
血清検体の収集ならびに中和抗体価の測定:全国8道県の43農場から集めた母豚約440頭分の血清を用いて、改良型中和試験により抗インフルエンザウイルス中和抗体価を測定した
【ウイルス分離】
分離法の最適化:豚由来の細胞株4種類と発育鶏卵の豚インフルエンザウイルスに対する感受性を比較し、発育鶏卵が最も感受性が高いことがわかった。
豚インフルエンザウイルスの分離:発育鶏卵を用いて、九州の養豚から得られた気管組織乳剤より、1株のA型インフルエンザウイルスを分離した。
【ウイルス性状解析】
遺伝子配列の解析:上記分離株のHA遺伝子ならびにNA遺伝子を解析し、H1N1亜型で、2009パンデミックウイルスの子孫であることを明らかにした
今回確立した改良型中和試験法により、多くの血清検体の抗インフルエンザウイルス中和抗体価を効率よく測定することが可能になる。また、国内の養豚から分離されたインフルエンザウイルスの株数は非常に限られており、今回分離したウイルス株は、貴重な研究資材となる。また、HAならびにNA遺伝子の解析結果から、上記ウイルス株が2009パンデミックウイルスに由来するH1N1亜型ウイルス株であることが判明したことで、国内養豚にもヒト由来ウイルsづが広く浸潤していることが示唆された。今後、このウイルス株抗原性をはじめとする性状を詳しく解析することで、ヒト集団内におけるリスク評価が可能になる。
結論
改良型中和試験法したことで、養豚血清を用いた中和抗体価の測定を効率よく行うことが可能になった。また、新たな国内養豚で流行するインフルエンザウイルス株を新たに分離したことで、パンデミックのリスク評価に有用な知見が得られた。
公開日・更新日
公開日
2015-07-17
更新日
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