文献情報
文献番号
201420008A
報告書区分
総括
研究課題名
WHO世界インフルエンザ監視対応ネットワークを駆使したわが国のインフルエンザ株サーベイランスシステムの強化と基盤整備、ワクチン株の検索および国際協力に関する研究
課題番号
H26-新興行政-指定-006
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
小田切 孝人(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 高下 恵美(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター )
- 藤崎 誠一郎(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター )
- 中村 一哉(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター )
- 原田 勇一(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター )
- 高橋 仁(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター )
- 浅沼 秀樹(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
1)季節性および新型インフルエンザ株サーベイランス体制の維持、強化のため国内においては地方衛生研究所、海外においては周辺諸国よびWHO-GISRSのNICと連携し、流行株の収集と解析力を補強し、より適切なワクチン株選定に貢献する。2)薬剤耐性株サーベイランスを強化する。3)新型ウイルスが検出された際には、速やかに遺伝子情報からヒトへの馴化の程度などのリスク評価を行う。ウイルスが入手された際には、ウイルス学的な性状解析から病原性や薬剤感受性およびパンデミックリスク評価を行う。4)海外からの流行株を入手するための国際協力、技術支援を行う。5)全国地方衛生研究所への技術支援およびサーベイランスキットの開発と配布を行う。6)細胞培養季節性インフルエンザワクチンの導入に向けた諸問題に取り組む。
研究方法
①国内外の流行株の収集と抗原変異株のモニターおよびワクチン候補株の検索
②フェレット感染実験によるウイルスリスク評価
③国内外の流行株の遺伝子解析、変異遺伝子、薬剤耐性遺伝子の同定とリスク評価
④薬剤耐性株の網羅的スクリーニングおよび薬剤感受性試験、新規薬剤感受性試験系の構築
⑤国内および海外の連携機関へウイルス分離用細胞、初期抗原解析用抗原抗体キット、試薬の配布。サーベイランス、検査技術の移転と国際協力
⑥細胞培養ワクチンの導入へ向け、GMP準拠施設で品質管理基準を満たしたMDCK細胞(MDCK-NIID細胞)で流行株からワクチン候補種ウイルスの分離、培養、遺伝的安定性、抗原的安定性の評価
②フェレット感染実験によるウイルスリスク評価
③国内外の流行株の遺伝子解析、変異遺伝子、薬剤耐性遺伝子の同定とリスク評価
④薬剤耐性株の網羅的スクリーニングおよび薬剤感受性試験、新規薬剤感受性試験系の構築
⑤国内および海外の連携機関へウイルス分離用細胞、初期抗原解析用抗原抗体キット、試薬の配布。サーベイランス、検査技術の移転と国際協力
⑥細胞培養ワクチンの導入へ向け、GMP準拠施設で品質管理基準を満たしたMDCK細胞(MDCK-NIID細胞)で流行株からワクチン候補種ウイルスの分離、培養、遺伝的安定性、抗原的安定性の評価
結果と考察
1.海外対応として、アジア地域のNICと連携し当該地域の流行株を収集、国内対応としては地衛研と連携して国内流行株を収集、これらの性状解析、リスク評価に基づいて、ワクチン株の検索と選定を行った。
2.国内および海外のNICから提供された検体、分離株の解析結果を適宜還元し、また、WHOワクチン株選定会議へ提供。WHOワクチン株選定会議に参画し、ワクチン株を選定した。この情報に基づき、国内の次年度のワクチン株選定を行った。また、台湾、インドネシア等から研修生を受け入れ、サーベイランス、診断関連の技術研修などの国際貢献を行った。
3.細胞培養ワクチンの実用化へ向けた基盤整備の一環として、臨床検体の確保、ワクチン種ウイルスの供給体制の整備を行った。
4.ワクチン接種前後のペア血清を入手し、ワクチンの有効性に関する評価を実施。この成績はWHOおよび国内ワクチン株選定の参考資料として活用された。
5.細胞培養季節性インフルエンザワクチンの開発を見据えて、過去2シーズン中に採取された臨床検体を確保する基盤の整備。臨床検体からのウイルスの回収とその性状について検討した。
6.ワクチン製造向けに安全性の検証された細胞(NIID-MDCK細胞)で分離したウイルスについて、増殖性、ウイルス抗原性の安定性等の検証を行い、本細胞の有用性を検討した。
改正感染症法が平成28年度から施行され、これによって法的にサーベイランス体制の強化が図られる。現行の国内株サーベイランス体制を維持しつつ、流行株の性状変化に応じた改善をし、地衛研との連携をより強固なものにしなければならない。また、海外のNICへの情報提供、技術支援を継続し、周辺諸国での流行状況も正確に把握し、WHOへ情報提供を継続する。これによって、新型ウイルスとなる可能性を秘めたウイルス発生の際にはワクチン製造候補株を優先的に確保できる。これは、国内インフルエンザ対策の推進とワクチン施策の実施にとって、直接的に影響するので、今後も現行の役割を維持し、国際貢献を継続する。また、株サーベイランスからの分離株、解析情報を細胞培養季節性インフルエンザワクチンの基礎研究に活用することで、実用化への支援を行う。
2.国内および海外のNICから提供された検体、分離株の解析結果を適宜還元し、また、WHOワクチン株選定会議へ提供。WHOワクチン株選定会議に参画し、ワクチン株を選定した。この情報に基づき、国内の次年度のワクチン株選定を行った。また、台湾、インドネシア等から研修生を受け入れ、サーベイランス、診断関連の技術研修などの国際貢献を行った。
3.細胞培養ワクチンの実用化へ向けた基盤整備の一環として、臨床検体の確保、ワクチン種ウイルスの供給体制の整備を行った。
4.ワクチン接種前後のペア血清を入手し、ワクチンの有効性に関する評価を実施。この成績はWHOおよび国内ワクチン株選定の参考資料として活用された。
5.細胞培養季節性インフルエンザワクチンの開発を見据えて、過去2シーズン中に採取された臨床検体を確保する基盤の整備。臨床検体からのウイルスの回収とその性状について検討した。
6.ワクチン製造向けに安全性の検証された細胞(NIID-MDCK細胞)で分離したウイルスについて、増殖性、ウイルス抗原性の安定性等の検証を行い、本細胞の有用性を検討した。
改正感染症法が平成28年度から施行され、これによって法的にサーベイランス体制の強化が図られる。現行の国内株サーベイランス体制を維持しつつ、流行株の性状変化に応じた改善をし、地衛研との連携をより強固なものにしなければならない。また、海外のNICへの情報提供、技術支援を継続し、周辺諸国での流行状況も正確に把握し、WHOへ情報提供を継続する。これによって、新型ウイルスとなる可能性を秘めたウイルス発生の際にはワクチン製造候補株を優先的に確保できる。これは、国内インフルエンザ対策の推進とワクチン施策の実施にとって、直接的に影響するので、今後も現行の役割を維持し、国際貢献を継続する。また、株サーベイランスからの分離株、解析情報を細胞培養季節性インフルエンザワクチンの基礎研究に活用することで、実用化への支援を行う。
結論
・国内地衛研および周辺諸国のNICと連携して、インフルエンザ株サーベイランスを実施。
・サーべイランス事業で収集した臨床検体を感染研へ供与する枠組みができた。
・細胞培養季節性インフルエンザワクチンの導入に向けての基盤整備、初期研究開発の支援を実施。感染研開発の精度管理されたMDCK細胞は、ワクチン製造用種ウイルスの供給に有効であることを確認した。
・サーべイランス事業で収集した臨床検体を感染研へ供与する枠組みができた。
・細胞培養季節性インフルエンザワクチンの導入に向けての基盤整備、初期研究開発の支援を実施。感染研開発の精度管理されたMDCK細胞は、ワクチン製造用種ウイルスの供給に有効であることを確認した。
公開日・更新日
公開日
2015-05-26
更新日
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