文献情報
文献番号
201419094A
報告書区分
総括
研究課題名
中枢性脱髄障害の神経組織修復に関する研究
課題番号
H25-神経・筋-若手-007
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
村松 里衣子(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
4,154,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
炎症や外傷により、脳と脊髄からなる中枢神経系は傷害される。傷ついた部位に応じて、様々な症状が現れるが、症状の悪化を抑制するためには、中枢神経系の傷害を抑制する方法が有望とされている。神経系の傷害の抑制する方法のひとつに、既に加わった傷害後におこる二次的な傷害を防ぐことが挙げられる。二次的な傷害を誘導する機序の中に、血液脳関門の破壊による血液成分の漏出がある。血液の漏出は、浮腫や炎症反応を誘導したり、血液中に含まれる神経細胞死を誘導する物質が脳脊髄に直接作用することで、中枢神経系の傷害を悪化させることが知られている。そのため、血液脳関門を保護するメカニズムを解明しすることで、中枢神経傷害後の二次的な神経傷害を抑制させる薬剤のの開発へ繋げていくことができると考えられ。しかし現時点で、血液脳関門の傷害を抑制する薬剤は上市されておらず、血液脳関門の保護を主眼とした新規治療標的分子の発掘が待ち望まれている。 研究代表者はこれまでに、血管弛緩作用を持つことが知られている「プロスタサイクリン」という生理活性物質が、中枢性脱髄モデルマウスの髄鞘を修復させる働きを見出してきた。この研究を進めていく中で、プロスタサイクリンには傷害後の髄鞘脱落を抑制する働きを持つことを見出した。今年度はプロスタサイクリンが脱髄を抑制するメカニズムについて、特に血液脳関門の傷害に対する保護効果の可能性を検証した。
研究方法
本研究では中枢性脱髄効果を持つことが知られるリゾフォスファチジルコリンを用いた脱髄モデルに対するプロスタサイクリンの効果について、特に血液脳関門の傷害への作用を中心に検討した。具体的な内容は下記の通りである。
1.リゾフォスファチジルコリンによる血液脳関門のバリア機能低下に対するプロスタサイクリン類似体による保護効果をin vitroで検証した。
2.リゾフォスファチジルコリンをマウス脊髄内に局所的に注入し、プロスタサイクリン類似体を処置した際に、リゾフォスファチジルコリンによるペリサイト傷害が保護されるか、解析した。
3.リゾフォスファチジルコリンをマウス脊髄内に局所的に注入し、プロスタサイクリン類似体を処置した際に、リゾフォスファチジルコリン誘導性の脱髄が保護されるか、検討した。
4.リゾフォスファチジルコリンをマウス脊髄内に局所的に注入し、プロスタサイクリン類似体を処置した際に、リゾフォスファチジルコリン誘導性の運動機能障害が阻害されるか検討した。
1.リゾフォスファチジルコリンによる血液脳関門のバリア機能低下に対するプロスタサイクリン類似体による保護効果をin vitroで検証した。
2.リゾフォスファチジルコリンをマウス脊髄内に局所的に注入し、プロスタサイクリン類似体を処置した際に、リゾフォスファチジルコリンによるペリサイト傷害が保護されるか、解析した。
3.リゾフォスファチジルコリンをマウス脊髄内に局所的に注入し、プロスタサイクリン類似体を処置した際に、リゾフォスファチジルコリン誘導性の脱髄が保護されるか、検討した。
4.リゾフォスファチジルコリンをマウス脊髄内に局所的に注入し、プロスタサイクリン類似体を処置した際に、リゾフォスファチジルコリン誘導性の運動機能障害が阻害されるか検討した。
結果と考察
プロスタサイクリンが中枢性脱髄の進行を抑制すること、またそれは特にペリサイトの細胞死を抑制することで血管のバリア機能を維持した結果である可能性が示唆された
結論
プロスタサイクリンによる血液脳関門傷害に対する保護効果は、ペリサイトの細胞死を抑制した結果であることが示された。細胞保護効果におけるペリサイトの優位性に関する詳細な解析を追加で検討する必要がある。追加実験のデータを含めて論文発表するとともに、本研究で得られた知見を基にした中枢性脱髄疾患の新規治療薬の開発への可能性について検討していきたい。
公開日・更新日
公開日
2015-08-20
更新日
-