高次脳機能障害者の社会参加支援の推進に関する研究

文献情報

文献番号
201419025A
報告書区分
総括
研究課題名
高次脳機能障害者の社会参加支援の推進に関する研究
課題番号
H24-精神-一般-009
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
中島 八十一(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 深津玲子(国立障害者リハビリテーションセンター)
  • 今橋 久美子(藤田 久美子)  (国立障害者リハビリテーションセンター)
  • 白山靖彦(徳島大学)
  • 生駒一憲(北海道大学)
  • 森 悦朗(東北大学)
  • 市川 忠(埼玉県総合リハセンター)
  • 種村 純(川崎医療福祉大学)
  • 山田和雄(名古屋市立大学)
  • 野村忠雄(富山県高志リハビリテーション病院)
  • 渡邉 学(大阪府立急性期・総合医療センター)
  • 永廣信治(徳島大学)
  • 平岡 崇(川崎医科大学)
  • 蜂須賀研二(産業医科大学)
  • 大塚恵美子(千葉県千葉リハビリテーションセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
6,550,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高次脳機能障害者が、ライフステージに応じて社会参加の目標をもち、医療・福祉サービスの利用により社会参加できる社会の仕組みを作ることを目的とする。
高次脳機能障害者の就労についてこれまでの支援事業では一般就労に重点を置いてきたので、本研究では支援拠点機関の相談者の半数以上を占める福祉就労レベルの当該障害者の福祉サービス利用を促進することにより、サービス利用層の一層の拡充を図る。中でも就労継続支援施設等での受け入れに必要な緒条件を明らかにし、家庭以外での居場所の充実を図る。
一方、学童期から大学生までの就学については、支援対象者が全国で約7,000名程度いると推計され、保護者からの施策に対する要望は強く、小・中学生まで含めた就学体制の構築の基礎研究を実施する。特に学童期の障害児まで視野に入れ、支援拠点機関窓口での相談から特別支援学級・学校の受け入れまでの道筋を地域ごとに明確にし、教育関係者への当該障害者(児)への教育面での配慮を促進する。
加えて、失語症者と高次脳機能障害者の施設共同利用、介護保険関連施設での老齢高次脳機能障害への理解の促進を並行して実施することにより、高次脳機能障害者と失語症者について年齢を問わない支援サービス提供・利用を容易かつ有意義なものにする。
以上に加えて、これまでの高次脳機能障害支援普及事業の運用を研究分担者の活動により継続する。
研究方法
研究組織はすべてを統括する研究代表者と全国を10に分割したブロックを統括する研究分担者と一部の学識経験者から構成される。ブロックは北海道、東北、関東甲信越、東京、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州沖縄から構成される。ブロック統括となる研究分担者は高次脳機能障害支援普及事業支援拠点等全国連絡協議会の学識経験者委員から募った。加えて特定の分野で専門家を研究分担者として選定した。
研究事業遂行にあたっては研究代表者が主催する会議に研究分担者が参加し、討議に加わることで、全国的に統一された事業遂行になることを図る。また、ブロックごとに行政機関と連携したブロック会議を設置し、意見交換の場にするとともに、ブロック内で必要な協議ができるように、研究分担者がこれを主導的に総理する。
高次脳機能障害をもつ児童、生徒を就学させるシステムの整備、失語症をもつ者への支援、地域支援ネットワークのあり方に関する研究にそれぞれまとめ役としての研究分担者及び研究協力者を配置する。
結果と考察
全国100か所の高次脳機能障害支援拠点機関において、375名の支援コーディネーターが年間95,510件の相談に対応した(前年比18,733件増)。同拠点機関が主催または協力した会合の実施回数も前年より増加していた。特にケース会議の実施回数が増えていることから、研修会・講習会による高次脳機能障害に関する一般的な普及啓発だけでなく、個別事例の支援についても活発に検討していることが示唆された。障害者支援施設における受け入れ状況は、3年間で26%から36%となり、劇的ではないにせよ確実に増えていることがうかがわれた。
結論
全国の支援拠点機関の活動はこれまでの中で最も活発であり、高次脳機能障害支援普及事業は当該年度の目標を達成したと言い得る。

公開日・更新日

公開日
2015-09-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

目次
総括研究報告書
総括研究報告書
総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2015-09-17
更新日
-

文献情報

文献番号
201419025B
報告書区分
総合
研究課題名
高次脳機能障害者の社会参加支援の推進に関する研究
課題番号
H24-精神-一般-009
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
中島 八十一(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 深津玲子(国立障害者リハビリテーションセンター)
  • 今橋 久美子(藤田 久美子)  (国立障害者リハビリテーションセンター)
  • 白山靖彦(徳島大学)
  • 生駒一憲(北海道大学)
  • 森 悦朗(東北大学)
  • 市川 忠(埼玉県総合リハセンター)
  • 種村 純(川崎医療福祉大学)
  • 山田和雄(名古屋市立大学)
  • 野村忠雄(富山県高志リハビリテーション病院)
  • 渡邉 学(大阪府立急性期・総合医療センター)
  • 永廣信治(徳島大学)
  • 平岡 崇(川崎医科大学)
  • 蜂須賀研二(産業医科大学)
  • 大塚恵美子(千葉県千葉リハビリテーションセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高次脳機能障害者が、それぞれのライフステージに応じて社会参加の目標をもち、医療・福祉サービスの利用により目標達成できる社会の仕組みを作る。社会人年齢層では「就労」を、若年者では「就学」を社会参加と位置付け、対象を支援ニーズと年齢面で拡張し、実行可能な地域支援システムの構築を全国規模で達成する。
研究方法
全国10地域において分担研究者がブロック会議を開催し、各自治体および高次脳機能障害支援拠点機関(以下、拠点機関)が行政的取り組みと支援ネットワークの活動状況を報告する。また、高次脳機能障害をもつ一方で画像所見陰性である症例を集積し、医学的属性を明らかにする。
一般就労が困難な場合の支援については、就労継続支援施設等での受け入れに必要な緒条件を明らかにして情報提供し、地域での居場所を拡充する。
当該障害児については、国立特別支援教育研究所と協力して、拠点機関および教育委員会を対象に相談支援の実態と特別支援教育の現状を調査し、利用可能な情報を還元する。

(倫理面への配慮)
研究は研究者が所属する施設の倫理委員会の承認を経て実施される。個人調査の場合には対象者及び家族等から文書によるインフォームドコンセントを徹底し、被験者または保護者・関係者が納得し自発的な協力を得てから実施する。対象者の個人情報等に係るプライバシーの保護ならびに如何なる不利益も受けないように十分に配慮する。結果の公表についても対象者及び保護者・関係者から、文書にてインフォームドコンセントを徹底し承諾を得る。また個人が特定できないように格別の注意を払う。
結果と考察
拠点機関は70カ所から100カ所、支援コーディネーターは同期間で178名から375名に増加し、全国で3年間合計244,298件の相談に対応した。また、全都道府県において高次脳機能障害支援のウェブサイトの構築および冊子(リーフレット)の発行を達成した。また高次脳機能障害をもつ一方で画像所見陰性である症例は、全相談者の0.5%存在した。
一般就労が困難な場合の支援については、高次脳機能障害者を支援した経験のある支援施設の職員を講師として、福祉の現場で働く職員を対象に研修会を行い、支援に必要な緒条件について情報を提供した。また、国立障害者リハビリテーションセンター近隣17市町村の支援施設における高次脳機能障害者の受け入れ状況については、3年間で26%から36%に増加した。
拠点機関における就学支援については、有効回答の9割以上で、自施設または他施設併用で行っていた。相談は主に保護者からで、学校・日常生活に関する内容のほか、診断・検査に関する内容が多かった。対応としては本人家族への説明、医療機関、社会資源の紹介がなされていた。学校については、教職員の理解や人間関係に関する相談が多く、在籍校や保護者への説明が行われていた。地域の実情に応じて社会資源活用しているものの、教育関連情報や児童福祉法に定められたサービスは周知・利用ともに不十分であった。教育委員会を対象とした調査結果を26年度総括・分担報告書巻末別刷に掲載した。

1)研究成果の学術的意義について
高次脳機能障害の診断技術、機能評価、リハビリテーションの方法を開発するとともにそれらの普及に努めた。
2)研究成果の行政的意義について
全国で地域支援システムの構築が展開され、医療・福祉連携の推進に寄与した。分担研究者が開催する地域ブロック会議に都道府県の障害福祉課(行政)と拠点機関(現場)が参画し知見を共有した。
3)その他特記すべき事項について
本研究で展開した高次脳機能障害者の地域支援システムを西太平洋地域WHO指定研究協力センターリハビリテーション作業グループ会議の機関誌にて紹介した。
結論
本研究を障害者総合支援法に基づく地域生活支援事業のひとつである「高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業」とタイアップして行うことにより、全国で地域支援システムの構築が進んだ。

公開日・更新日

公開日
2015-09-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-09-17
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201419025C

収支報告書

文献番号
201419025Z