文献情報
文献番号
201419015A
報告書区分
総括
研究課題名
身体障害者の認定基準の今後のあり方に関する研究
課題番号
H26-身体・知的-指定-001
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
江藤 文夫(国立障害者リハビリテーションセンター)
研究分担者(所属機関)
- 岩谷 力(国立障害者リハビリテーションセンター )
- 伊藤 利之(横浜市総合リハビリテーションセンター)
- 寺島 彰(浦和大学)
- 和泉 徹(新潟南病院)
- 奥村 謙(弘前大学)
- 岡田 弘(獨協大学)
- 飛松 好子(国立障害者リハビリテーションセンター )
- 稼農 和久(国立障害者リハビリテーションセンター )
- 北村弥生(国立障害者リハビリテーションセンター )
- 石川 浩太郎(国立障害者リハビリテーションセンター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
2,616,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、身体障害者認定制度における認定基準のあり方について、医学的知見を踏まえ考察を行い、認定基準の見直しの具体的な案を提言する。平成26年度においては、肝臓機能障害、聴覚障害、小腸機能障害を取り上げ、心臓機能障害と膀胱・直腸機能障害の検討準備を行った。
研究方法
肝臓機能障害については、国立病院機構長崎医療センターに通院した肝硬変患者267例に対して、平均3.5年の観察を行った。
小腸機能障害については、日本小腸移植研究会、日本小児外科学会認定施設、日本在宅静脈経腸栄養研究会の会員から応諾が得られた計63施設において354例の腸管不全患者のうち、応諾の得られた104例を対象に身体障害者手帳交付についてのアンケート調査を行った。
聴覚障害の認定の疑義に関しては、厚生労働省が都道府県に対して実施した他覚的検査機器の所有施設と指定医の数に関する調査結果を分析した。また、身体障害者福祉法第十五条指定医の基準と研修について、都道府県がホームページにより公開している情報を分析した。
小腸機能障害については、日本小腸移植研究会、日本小児外科学会認定施設、日本在宅静脈経腸栄養研究会の会員から応諾が得られた計63施設において354例の腸管不全患者のうち、応諾の得られた104例を対象に身体障害者手帳交付についてのアンケート調査を行った。
聴覚障害の認定の疑義に関しては、厚生労働省が都道府県に対して実施した他覚的検査機器の所有施設と指定医の数に関する調査結果を分析した。また、身体障害者福祉法第十五条指定医の基準と研修について、都道府県がホームページにより公開している情報を分析した。
結果と考察
肝臓機能障害については、死亡確認例では死亡までの中央値はC-P分類Cでは2.2か月であり、障害認定を受けて福祉サービスを受給できる期間は限定的であることが示された。
小腸機能障害については、8割以上が身体障害者手帳を所持し、約7割が1級であったが、施設間で等級と手帳所持率に差があったことを明らかにした。また、認定基準で記載される「推定エネルギー必要量」に関しては、腸管不全により患児の体重は年齢相当の体重曲線から下方に大きく逸脱するものがあることを確認した。
聴覚障害の認定の疑義に関しては、「聴覚障害の認定に関する検討会」の結論を導出する議論に協力した。その成果として、「指定医を原則として日本耳鼻咽喉科学会の医師を指定する場合は、聴力測定技術等に関する講習会の受講を推奨するなど専門性の向上に努めること。」が厚生労働省から地方公共団体に通知された。
指定医の基準と研修に関する公開情報の分析からは、(1)指定医の基準の平均経験年数は4.33年であること、(2)研修についてのホームページ上の記載は4県にあったこと、(3)聴覚障害に関する指定医のうちの専門医の割合は、人口密度が高い都道府県で高い傾向にあったことを明らかにした。
小腸機能障害については、8割以上が身体障害者手帳を所持し、約7割が1級であったが、施設間で等級と手帳所持率に差があったことを明らかにした。また、認定基準で記載される「推定エネルギー必要量」に関しては、腸管不全により患児の体重は年齢相当の体重曲線から下方に大きく逸脱するものがあることを確認した。
聴覚障害の認定の疑義に関しては、「聴覚障害の認定に関する検討会」の結論を導出する議論に協力した。その成果として、「指定医を原則として日本耳鼻咽喉科学会の医師を指定する場合は、聴力測定技術等に関する講習会の受講を推奨するなど専門性の向上に努めること。」が厚生労働省から地方公共団体に通知された。
指定医の基準と研修に関する公開情報の分析からは、(1)指定医の基準の平均経験年数は4.33年であること、(2)研修についてのホームページ上の記載は4県にあったこと、(3)聴覚障害に関する指定医のうちの専門医の割合は、人口密度が高い都道府県で高い傾向にあったことを明らかにした。
結論
1)肝機能障害の1級の基準はChild-Pugh分類C10点以上であったが、肝硬変患者の実態調査の結果から基準を再検討すべきであることが示唆され、C-P 分類 BとCの病態は基本的には不可逆的であり、今後7点以上の分類Bに基準を引き下げる等の改正をおこなうことで、肝硬変患者が適正に本制度の恩恵を享受することが可能になると考えられた。
2)小腸疾患の病名について見直し、小腸機能障害の認定に係る指定医の条件についても見直すことの必要性が指摘された。また、認定基準で記載される「推定エネルギー必要量」を、日本人の年齢別エネルギー必要量の表に基づき画一的に判定することは不適切と考えられた。ただし、症状および生活機能と等級の対応関係の妥当性と施設間・自治体間の公平性については課題が残された。
3)聴覚障害
国会およびマスコミに指摘された聴覚障害の認定の疑義に関しては、検討会の結論を導出する議論に協力し、厚生労働省から見直しが地方公共団体に通知された。
2)小腸疾患の病名について見直し、小腸機能障害の認定に係る指定医の条件についても見直すことの必要性が指摘された。また、認定基準で記載される「推定エネルギー必要量」を、日本人の年齢別エネルギー必要量の表に基づき画一的に判定することは不適切と考えられた。ただし、症状および生活機能と等級の対応関係の妥当性と施設間・自治体間の公平性については課題が残された。
3)聴覚障害
国会およびマスコミに指摘された聴覚障害の認定の疑義に関しては、検討会の結論を導出する議論に協力し、厚生労働省から見直しが地方公共団体に通知された。
公開日・更新日
公開日
2015-09-17
更新日
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