文献情報
文献番号
201419013A
報告書区分
総括
研究課題名
失語症患者の障害者認定に必要な日常生活制限の実態調査及び実数調査等に関する研究
課題番号
H26-身体・知的-一般-001
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
飯島 節(国立障害者リハビリテーションセンター 自立支援局)
研究分担者(所属機関)
- 種村 純(川崎医療福祉大学)
- 藤井俊勝(東北福祉大学)
- 中島八十一(国立障害者リハビリテーションセンター 学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
5,233,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
失語症は身体障害者手帳の対象障害であるが、脳血管障害による失語症者は必然的に高齢者が多く、介護保険対象であるため、本邦における実数把握は十分でない。そこで失語症者総数の推計値を求めることで、この社会的経費の算出を格段に容易にする。
一方で、失語症者がもつ日常生活及び社会生活における支援ニーズを評価のために、失語症に加えて、運動機能障害などをも併せ評価し、失語症者での障害の重症度評価の方策を定める。
一方で、失語症者がもつ日常生活及び社会生活における支援ニーズを評価のために、失語症に加えて、運動機能障害などをも併せ評価し、失語症者での障害の重症度評価の方策を定める。
研究方法
1. 失語症者実数調査の方針決定
失語症症例実数調査に当たり新規発生数と既存の症例数調査の対象とする。新規発生数については、失語症を伴う脳疾患の種類、その患者数の把握等についてどのように算出するか検討する。その他、失語症症例数算出に必要な諸条件を考慮し、試行的な調査を後方視的に実施する。
2 失語症者生活状況の実態調査の方針決定
症例数調査同様に全数調査または標本調査の選択をまず決定する。これにより調査対象者数を決定する。日常生活自立度や職業能力など測定すべき事項を決定し、使用する測定スケールについて検討する。これを基にして、重症度を測定できるか検討する。また、対象とする失語症症例の医学的属性についても、記載方法を取り決める。
(倫理面への配慮)
研究は必ず所属する施設の倫理委員会の承認を経て実施される。
失語症症例実数調査に当たり新規発生数と既存の症例数調査の対象とする。新規発生数については、失語症を伴う脳疾患の種類、その患者数の把握等についてどのように算出するか検討する。その他、失語症症例数算出に必要な諸条件を考慮し、試行的な調査を後方視的に実施する。
2 失語症者生活状況の実態調査の方針決定
症例数調査同様に全数調査または標本調査の選択をまず決定する。これにより調査対象者数を決定する。日常生活自立度や職業能力など測定すべき事項を決定し、使用する測定スケールについて検討する。これを基にして、重症度を測定できるか検討する。また、対象とする失語症症例の医学的属性についても、記載方法を取り決める。
(倫理面への配慮)
研究は必ず所属する施設の倫理委員会の承認を経て実施される。
結果と考察
1. 失語症者実数調査の方針決定
失語症の新規発生数については、これまでの研究によれば失語症症例の原因疾患の9割以上は脳血管障害であることから、救急を取り扱う医療機関で14日程度の観察期間で脳卒中に限定して失語症の有無を調査することが適切とした。
地域に居住する現在数については、新規発生数調査と同様に研究予算を考慮すると大規模調査は不可能であると結論した。人口1万人規模の地域を3つぐらい選んで調査を実施できれば望ましいとの意見が出た。
2 失語症者生活状況の実態調査の方針決定
生活評価の項目については高次脳機能障害支援モデル事業(平成13年-17年実施)の際に使用された項目を援用することが可能であるとの指摘があった。
3 新規発生数に関する試行的調査
木沢記念病院における平成26年1月1日から同年12月31日までの1年間に救急入院した脳卒中の患者のうち、死亡を見ることなく退院した患者総数は399名であった。男性226名、女性173名の内訳であった。この中で失語症を退院時に認めた患者は27名(総数の6.8%)で、男性13名、女性14名であった。
済生会熊本病院における平成25年4月1日から同26年3月31日までの1年間に救急入院した脳卒中の患者のうち、死亡を見ることなく退院した患者総数は898名であった。男性502名、女性396名の内訳であった。この中で失語症を退院時に認めた患者は158名(総数の17.6%)で、男性70名、女性88名であった。
4 介護保険関連施設における失語症利用者の実態調査
岡山県内の介護保険関連施設1,116に対して失語症者の有無と介護度の調査を平成27年1月から2月にかけて実施したところ、404件の回答数(回答率39%)を得た。利用者数20,217名に対して失語症を有する者は1,621名(8.0%)であった。
失語症者の新規発生数について、2つの地域での拠点救急医療機関でそれぞれ1年間の脳卒中患者の受け入れ状況と失語症を有する比率を試行的に調査した。
その結果、患者総数399名に対して失語症を示す患者27名(総数の6.8%)と、患者総数898名に対して失語症を示す患者158名(総数の17.6%)であった。この差が何に依存するするのか明らかにできないが、今後調査対象病院を増やす必要があると考えられる。
一方、岡山県の介護保険関連施設を利用する失語症者は利用者数20,217名に対して1,621名(8.0%)であった。施設はある意味でコミュニティに擬せられ、介護保険利用者数を別途参照できれば、コミュニティにおける失語症者数の推定値を出すことにつながり、方法のひとつとして受け入れられる。
失語症の新規発生数については、これまでの研究によれば失語症症例の原因疾患の9割以上は脳血管障害であることから、救急を取り扱う医療機関で14日程度の観察期間で脳卒中に限定して失語症の有無を調査することが適切とした。
地域に居住する現在数については、新規発生数調査と同様に研究予算を考慮すると大規模調査は不可能であると結論した。人口1万人規模の地域を3つぐらい選んで調査を実施できれば望ましいとの意見が出た。
2 失語症者生活状況の実態調査の方針決定
生活評価の項目については高次脳機能障害支援モデル事業(平成13年-17年実施)の際に使用された項目を援用することが可能であるとの指摘があった。
3 新規発生数に関する試行的調査
木沢記念病院における平成26年1月1日から同年12月31日までの1年間に救急入院した脳卒中の患者のうち、死亡を見ることなく退院した患者総数は399名であった。男性226名、女性173名の内訳であった。この中で失語症を退院時に認めた患者は27名(総数の6.8%)で、男性13名、女性14名であった。
済生会熊本病院における平成25年4月1日から同26年3月31日までの1年間に救急入院した脳卒中の患者のうち、死亡を見ることなく退院した患者総数は898名であった。男性502名、女性396名の内訳であった。この中で失語症を退院時に認めた患者は158名(総数の17.6%)で、男性70名、女性88名であった。
4 介護保険関連施設における失語症利用者の実態調査
岡山県内の介護保険関連施設1,116に対して失語症者の有無と介護度の調査を平成27年1月から2月にかけて実施したところ、404件の回答数(回答率39%)を得た。利用者数20,217名に対して失語症を有する者は1,621名(8.0%)であった。
失語症者の新規発生数について、2つの地域での拠点救急医療機関でそれぞれ1年間の脳卒中患者の受け入れ状況と失語症を有する比率を試行的に調査した。
その結果、患者総数399名に対して失語症を示す患者27名(総数の6.8%)と、患者総数898名に対して失語症を示す患者158名(総数の17.6%)であった。この差が何に依存するするのか明らかにできないが、今後調査対象病院を増やす必要があると考えられる。
一方、岡山県の介護保険関連施設を利用する失語症者は利用者数20,217名に対して1,621名(8.0%)であった。施設はある意味でコミュニティに擬せられ、介護保険利用者数を別途参照できれば、コミュニティにおける失語症者数の推定値を出すことにつながり、方法のひとつとして受け入れられる。
結論
失語症症例は新規発生数及び地域に居住する現在数ともに推定値を求める。
重症度評価と支援ニーズについては高次脳機能障害支援モデル事業で用いた調査項目を用いて調査することが適切であるとした。
失語症者の新規発生数と介護保険関連施設での利用者数を試行的に調査した。
重症度評価と支援ニーズについては高次脳機能障害支援モデル事業で用いた調査項目を用いて調査することが適切であるとした。
失語症者の新規発生数と介護保険関連施設での利用者数を試行的に調査した。
公開日・更新日
公開日
2015-09-17
更新日
-