腎臓機能障害者の高齢化に伴う支援のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
201419008A
報告書区分
総括
研究課題名
腎臓機能障害者の高齢化に伴う支援のあり方に関する研究
課題番号
H25-身体・知的-一般-003
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
日ノ下 文彦(独立行政法人国立国際医療研究センター 腎臓内科)
研究分担者(所属機関)
  • 戸村 成男(浦和大学総合福祉学部)
  • 秋葉 隆(東京女子医科大学血液浄化センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
1,890,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 昨年度実施した全国レベルの「障害透析患者の透析実態に関するアンケート調査」の結果をもとに高齢/障害透析患者の支援のあり方や将来モデルを議論し、透析医療が直面している課題を克服する具体的方策を模索するためのパネルディスカッションを企画した。
研究方法
 高齢透析患者に関わる諸問題について各地域の実情を把握し、将来に向けた建設的な方策を話し合うため、東京、福岡、大阪、名古屋の4ヶ所でパネルディスカッションを開催した。「障害透析患者の透析実態に関するアンケート調査」で浮かび上がった問題点を整理して、パネリスト並びにフロア参加者に提示し、それぞれの問題点について各地の臨床医や研究者らからご意見、ご提案を聴取した。
結果と考察
 まず、地域によって透析医療の実状や考え方、抱えている問題点が異なることを確認できた。例えば、送迎問題に対する考え方や長期留置型カテーテルの活用も現状や方針は地域より異なっており、全国一律に考えていくのはなかなか難しい側面があることが理解できた。経済的なハードルや法制上の制約等々から実現が難しい方策があったものの、実行に値する現実的な方策や実現可能な提案が示されたのも事実である。また、ある地域や特定のある医療施設で常識となっている具体策が、他の地域や他の医療施設に周知されていないこともあり、そうした対策を周知させることの重要性を強く認識できた。
 以下、主なテーマごとに4回のパネルディスカッションで得られた対策を下に記す。
(1)HDにおける送迎と通院介助
・無制限に送り迎えをするのではなく、今後は送迎患者の選別が必要
・地域自治体、行政からの公的支援
・PDへの誘導
・過疎化への対策
・透析施設の経営を勘案して送迎のコストも賄えるよう配慮
(2)HD患者の長期入院透析
・慢性維持透析管理加算の有床診療所への適応拡大
・自立できないHD患者の介護関連施設(特に特養)への受入れ促進
・大都市部における入院HD可能な療養型病床の確保
・HD導入の厳格な評価と各患者の病状・実状に合わせた将来設計
(3)HDにおける介護保険サービスの問題
・医療と介護保険サービスのシームレスな運用
・介護保険サービス従事者のHDへの関心向上、啓発活動・多職種勉強会の促進
・HD医療者およびHD患者の介護サービスに対する関心をもっと高める
・HD患者に対する特養の活用推進
・HD医療における介護の重要性を認識(通院、送迎を考慮した介護度の認定など)
・介護保険制度変更に対する危惧(要支援患者に対する介護サービス低下の防止など)
(4)PDにおける注排液の問題
・自立できない高齢者向けPDのさらなる普及と簡略化
・各地域での多職種サポート体制の充実
・訪問看護ステーションとデイサービスセンターの活用
・ヘルパーなど介護系職員によるPD介助や労力の軽減
(5)在宅PDと医療保険診療、介護保険サービス
・在宅を終の棲家とするPDの重要性の認識
・在宅PD患者に対する医療区分の格上げ
・介護度のミスマッチの是正
・PD医療者(医師、看護師)や介護施設へのインセンティブの導入
結論
 昨年度実施したアンケート調査結果をもとに計4回のパネルディスカッションを開催し、現場から様々な意見やコメント、提案を頂いた。腎機能障害者の高齢化に伴う諸問題は全国共通の課題であると同時に、問題によっては地域性の違いも認識することとなった。今年度は東京と首都圏以西の大都市でパネルを開催したが、次年度にはまだパネルを開催していない北日本地域の意見も聴取し、すべてを集約したうえで、適切な政策提言に結び付けらるよう尽力していきたい。

公開日・更新日

公開日
2017-05-22
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201419008Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,100,000円
(2)補助金確定額
2,100,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 8,328円
人件費・謝金 372,975円
旅費 198,708円
その他 1,309,989円
間接経費 210,000円
合計 2,100,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2017-05-23
更新日
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