補装具の適切な支給実現のための制度・仕組みの提案に関する研究

文献情報

文献番号
201419007A
報告書区分
総括
研究課題名
補装具の適切な支給実現のための制度・仕組みの提案に関する研究
課題番号
H25-身体・知的-一般-002
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
井上 剛伸(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 我澤 賢之(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 )
  • 山崎 伸也(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 )
  • 石渡 利奈(国立障害者リハビリテーションセンター 研究所 )
  • 樫本 修(宮城県リハビリテーション支援センター)
  • 児玉 義弘(ナブテスコ株式会社 住環境カンパニー)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
3,658,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 補装具費支給制度は本邦における福祉用具の公的給付の根幹をなす制度である。補装具の価格は補装具費支給基準により定められているが、特に義肢・装具・座位保持装置(以下、義肢等)については基本価格、製作要素価格の項目が多岐にわたることに加え完成用部品を用いることから、その供給に要する費用と価格のバランスを適正に保ち続けるための仕組みが十分に整えられているとは言いがたい。また、全国の更生相談所の補装具判定における基準解釈の違い、地域格差の是正をなくし、公平・公正な判定の考え方の意識を統一する必要があると考えられる。
 完成用部品については、現在部品指定申請時に部品供給業者より提示された価格を元に厚生労働省が公示価格を設定している。その際、原価率等を確認する仕組みはあるものの、高額・高機能部品を含め部品の機能に応じた価格妥当性評価を行う仕組みは確立していない。そのため、類似の機能でありながら価格が大きく異なる部品がある等の問題が生じている。さらに補装具使用時にトラブルが生じるリスクを低減する趣旨による要件である想定ユーザーの試用に基づくフィールドテストについても、現在義肢・装具・座位保持装置共通の様式となっており、各種部品の特性に応じた評価条件の整備をする余地がある。こうした課題を解決することで、利用者にとって必要でより安全で使いやすい補装具が、適正な価格で安定的に供給されるようになるものと考えられる。
本研究は、義肢・装具・座位保持装置の価格を適正に設定する仕組みを整えるとともに、完成用部品の機能・操作性・安全性を評価する方法を確立することで、これら補装具の利用者の社会参加・自立を促進することを目的とする。
研究方法
 完成用部品の機能区分を整備することを中心に据え、それと完成用部品の価格および利用者の機
能との関連づけを行うことで、価格の決定や支給判定、申請手続きを適正かつ円滑に行う制度・仕
組みを提案することを目指し、以下の4つの小課題を実施した。
<課題1> 完成用部品の機能区分整備
<課題2> 製作費用の包括的把握方法と簡便なデータ更新方法の確立にかかる研究
<課題3> 補装具費支給判定基準マニュアルの作成
<課題4> 機能区分を踏まえた完成用部品申請手続きの整備
 完成用部品の機能区分整備については、部品指定リストに記載の骨格構造義足について機能の整理を行うために調査を行い情報を入手、分析した。製作費用については、昨年度実施した義肢等の製作事業者に対するアンケート結果および今年度新たに実施した調査結果をもとに、人件費単価、事業所収支、事業所活動の費用構成、素材単価の変化について分析を行った。補装具費支給判定基準マニュアルについては、昨年度作成したQ&A(暫定版)の更生相談所における6ヶ月試用後のアンケート調査を実施、分析した。申請手続きの整理については、昨年度の調査結果に基づき、様式、記入要領、説明会での説明方法の改善を行うとともに、さらなる改善点についての調査、分析を行い、新たな改善策の提案として纏めた。
結果と考察
 完成用部品の機能区分整備については、調査結果から、名称区分の考え方、機能区分の振り分け、適応活動レベルの考え方の統一、機能部品の調整についてさらなる検討が必要であることが示された。製作費用については、調査の主要な結果として、人件費時間当たり単価はわずかな低下、素材価格は上昇が確認され並行して利益率が低下していることが示された。補装具費支給判定基準マニュアルについては、昨年度作成したQ&A(暫定版)の更生相談所における6ヶ月試用後のアンケート調査を実施し、8割以上から役立っているとの回答が得られた。得られた結果を基に、暫定版の修正点を決定するとともに、公開版と更生相談所限定版を作ることとした。申請手続きの整理については、昨年度の調査結果に基づき、様式、記入要領、説明会での説明方法の改善を行い、その効果が示された。一方で、ユーザビリティの課題が指摘され、それらの改善策を提案した。さらに、機能区分に対応するための手続きの変更案をまとめた。
結論
 今年度は機能区分暫定案の作成とともに、製作費用の現況把握(結果の一部は平成26年度末の補装具費支給基準改定の義肢・装具・座位保持装置に係る検討の際参照された)、補装具費支給判定にかかるQ&A暫定版の修正作業、完成用部品申請手続きの整備を進めた。次年度は、義肢について機能区分を完成させるとともに価格との対応、適正処方との対応、申請手続きとの対応を提案し、その利点および欠点を整理する。さらに、これらをふまえた補装具費支給判定基準マニュアルを作成するとともに、補装具費支給制度への導入提案をまとめる予定である。

公開日・更新日

公開日
2015-06-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-09-17
更新日
-

収支報告書

文献番号
201419007Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,658,000円
(2)補助金確定額
3,658,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 827,874円
人件費・謝金 1,266,380円
旅費 498,400円
その他 1,065,346円
間接経費 0円
合計 3,658,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-06-03
更新日
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